炸裂した小型種の鋭いガラス片のような肉片が周囲にまき散らされ、海未の肌をかすめていく。紙で指先を切ったかのような薄っすらとした傷があちこちで血を滲ませた。
海未は動きながら、自身のダメージを確認する。
幸いにして、大きなダメージは無かったが、もし回避が間に合っていなければ、当たり所によっては重傷を負っていた可能性もある。
木の根から木の根へと跳び移りながら、追いついてきた小型種を少しずつ撃ち落としていく。小型種の自爆攻撃は脅威ではあるが、来ると知っていれば対応自体は難しくはない。
問題はその数だ。
圧倒的な数をもって攻められれば、包囲されてしまうのは避けられない。
樹海の隙間を縫うように駆けながら、海未は背後に向かって矢を放つ。
爆ぜた炎の中から小型種が飛び出してくるのを見て、海未はぎりっと奥歯を嚙みしめて、跳んだ。
急上昇した海未に合わせて、小型種もまた上昇する。
その途中、樹海の根や蔓にぶつかって散っていく個体も少なくはないが、全体的に見れば微々たるものだ。
上昇が落下へと変化し、海未の身体は真っ逆さまに落ちていく。目もくらむような高さからの自由落下、生身であれば命はない。
落下する海未を追って、小型種の濁流が大きな口を開けた蛇のように追いすがった。
海未は落下の最中ギリギリまで溜めておいた力を、一気に放った。
放たれた閃光は、濁流に吸い込まれるように消え、そして膨らんで大きな破壊をまき散らした。
小型種の表皮がそれに耐えたのは一瞬。荒れ狂うエネルギーによって粉砕され、機能を維持できないと判断すると、元々備えている自爆本能によって自戒の連鎖が起こっていく。自ら爆発することで、わずかでも威力を減衰させ全体としての損耗を避けるためだ。
それでも、多数の個体が消失し、濁流は本来の勢いを失ったまま、落ちていく海未を追って地表へとぶつかった。
ぶつかった衝撃で押しつぶされた個体が自爆し、さらなる破壊が連鎖していく。しかし、それも長くは続かない。押しつぶされ、自戒した小型種の残額が、やがて緩衝材の役割を果たし始めたからだ。
――本当に埒が飽きません。
海未は着地の瞬間に離脱したことで、小型種の破壊の連鎖に巻き込まれることはなかったが、小型種を地表にぶつけるために寸前でしか離脱の動作を取れずにいた。着地の瞬間、咄嗟に衝撃を緩和したものの、完全に相殺することは出来なかった。
生き残った個体はそれほど多くはない。しかし、分母が大きいだけに、海未の周囲にはいまだ十分な数の小型種が漂っていた。
海未を見つけた小型種たちが、次々に襲い掛かってくるのを、海未は危ういところでかわしていく。しかし、綱渡りのような状況は、長くは続かなかった。
不完全な着地による衝撃は、神樹の力によって強化された身体でも無傷とはいかなかった。
痺れの残る身体を、引きずるようにして海未は跳ぶ。
目の前で小型種が爆ぜ、視界が真っ白に染まった。