「あの…郡様なら先程我々からご実家へ帰省なされるよう通達したのですが…もう向かわれてるかと」
大社本部で報告書を受け取った神官の言葉に一同は愕然とした。
完全に行き違った。
奈津雄の出したプランの一つは高知での報告書を提出しひなたと美佳を助言役に大社上層部の説得、千景の高知行きを阻止、彼女の両親を大社の権限を持って強制移送するという物だった。
だが今この方法は完全に断たれた。
「ひなた」
「はい…」
「もう一つの作戦、あったろ?あれを実行に移そう。」
「解りました。」
「ひなたは俺から連絡が来たら神官達を大会議室に集めてくれ。安芸さんや巫女の皆にも手伝って貰って。」
「奈津雄さんは現地に向かうのですね?」
「あぁ、花本さんも一緒に連れて向こうにいる烏丸先生と合流するよ。助っ人も呼ぶ。」
「そうですか、それなら此方は任せて下さい。どうかお気をつけて!」
「わかった。」
奈津雄は神官に見付からない様、美佳を連れて大社を出た。
「結嶋様、先程のもう一つの作戦というのは…?」
「今から俺達は高知にある千景の村に行く。最初のプランが失敗した時に直ぐに第二プランに移れるよう、先行して現地に到着してる烏丸先生と合流するんだ。」
「その後は?」
「今の千景の状態は普通じゃない。考えたくはないがあの村で何をするかわからない。」
「そこを俺と君、それと後から合流する助っ人と止める」
「烏丸先生にはライブ配信機材を持って行って貰ってるんだ。ひなたが集めた神官達に一連の様子を見せて現状の認識を改めさせてやるのさ。」
「成る程…ところでその助っ人というのは…」
「それはこれから呼ぶ」
奈津雄はスマホを取り出して答える。
かける相手は勇者の中で千景を一番よく理解する人物─
「もしもし高嶋です!…って奈津雄君?始めてだね!電話くれたの!!」
「友奈か。今、大丈夫か?」
「うん。どうかしたの?」
「突然だけど、昨日の花見の時さ、困ってる時は話して欲しい、力になれるかもって言ってくれたよな。」
「…うん。言った。何か、あったんだね?」
「あぁ、これから千景がちょっと大変な事になるかもしれない。だから友奈の力を貸して欲しいんだ」
「ぐんちゃんが!?わかった!どうしたらいいの?」
「今から友奈の端末に千景の実家の位置情報を送るからそこへ来て欲しい。勇者の力なら、そんな時間はかからないはずだ。俺も向かうよ。」
「了解!高嶋友奈、行きます!!」
「頼む!」
奈津雄はスマホを切った。大きな誤算はあったが第二プランの準備は整えられた。
「結嶋様…。」
「花本さん、俺達も行こう。皆で千景を助けるぞ」
「はい!!」
奈津雄はスコーピオンバーテックス以来久々となる勇者システムを起動させ勇者装束を見に纏うと美佳を抱きかかえる。
「飛ばすぞ、しっかり掴まってて!!」
「はい!」
美佳を抱きかかえた奈津雄は高知へ向かう。
こうして第二プランの幕は、今切って落とされたのだった。
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あれは完全に想定外の事態でした
でも大きな転機を産むきっかけでもあったんです。
彼の起こした行動が、若葉ちゃん達勇者の負担を減らす大きな...