勇者達6人の壁外大型バーテックス討伐作戦、これの成功発表に世間は湧いていた。
大社とマスメディアは勇者の活躍を大々的に取り上げ人々を盛り上げている。
「どこもかしこも私達の事ばかりね…」
連日の報道に隣の千景は半ば呆れ気味だ。
二人は今、丸亀城敷地内の庭園で約束していた一緒にゲームをしている。他の皆も自然と集まって来て思い思いに寛いでいた。
「大戦果だったしな今回は。無理も無いさ」
「ねぇ結嶋君、あなたの活躍はその…全く知らされてないけど何か不満だったりしないの?」
「俺?あー…まぁ…何だ、その、実は自分は考えた事無いんだよな。」
「えー?ホントにかー?」
からかう様に球子が言う。
「嘘じゃないさ」
「お前らに拾われてからこっち、訓練に連戦続きだったからな。とにかく付いて行かなきゃみたいな事しか頭になかったし…」
「最初のお前は勇者の力をただ力任せに奮ってたからな…だがあの時からすれば腕も随分と上達したじゃないか。」
「どうだろう…あまり実感は無いけどな。でも今の俺があるのは皆のおかげだ。」
「こっちに来て何も無かった俺にとっちゃ、ひなたも含めて皆が俺の育ての親みたいなもんだよ。」
「育ての親って…奈津雄君もしかしてお母さんやお父さんが恋しかったりするの?」
友奈が実に的確な質問をして来た。親が恋しい、確かにそうだ。
「こないだもホームシックだとかで私の腕の中で泣いてたものね…」
「ぐんちゃんやめて下さいそれ言うの」
「あなたにその呼び方を許可した覚えはないのだけど…?」
ゴゴゴゴっと背景に音が入りそうな勢いで千景が怒る。
「と、とにかく!」
「俺の存在や活躍が世間に知られなくても皆が見ててくれてる、覚えててくれてる。」
「大好きな人達がそうしてくれてるなら、それで俺は満足だよ。」
「「「「「…。」」」」」」
その場いた全員が黙り込んでしまった。心なしか一同頬がいつもより赤い。
「お、おい?何かおかしな事言ったか!?」
「ま、全く…お前という奴は…///」
「うぅ~///」
「奈津雄さんたら…///」
「…///。」
「えへへ…///」
「もう…そういうとこですよ…奈津雄さん…」
ひなたは奈津雄に聞こえないよう小声で呟くのだった。
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―深夜。
丸亀城敷地内の一角で奈津雄は先日の戦いで会得した力を更にモノに術く鍛練をしていた。
内側から力を全身に引き出す。青いラインが行き渡る。
更に力を強めて長刀にも力を回す、青いラインが刀身にもはしる。
「ふぅ…」
長刀を収める。力の扱いはほぼ完全な物となっていた。
「他に何か出来ないのかなこれ」
面白半分、奈津雄は開いた掌に力を込めた。
「お…?」
開いた掌にバトンの様な光る棒状の塊が発生していた。更に力を込める、光る棒は更に太く大きくなっていた。
「もっと!」
更に力を込めると光る棒は電柱程の大きさに巨大化した。
「ふんッ!」
棒を空中に投げ上げた。手を離れた棒は状態を保ったまま霧散せず手に戻って来た。
「これ…。」
偶発的ではあるが新しい技の様な物が発見出来た。
恐らくこれに若葉達の勇者の力を込めたら更に強く、大きくなるんじゃないのか?
今度皆に頼んで試してみよう。まぁ次が何時になるかは解らないが…
軽く考える奈津雄の予想。それに反してその事態は間も無くしてやって来たのだった。
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奈津雄さんはご家族を失ってこちらに来ていたんですよね
私達にはあの時何とも無いように振る舞ってはいましたがその目は何処か寂しげな…遠くを見るような目をしていたと思い出します。