広がる樹海、奈津雄達6人は迫るバーテックスを目の前にしていた。
無数の通常個体に加え蝎型に匹敵する大型個体が六つ。
幸いにも先日の戦いで倒した超巨大個体はいないようだ。
「壮観だなこりゃ」
「今度は帰るだなんて言うなよ奈津雄」
「言わないさ…この状況で。」
これを乗り切れば大社が用意した防衛プランが2つ実行可能だと聞く。一つは結界の強化だそうだ。
この効果は大きいだろう。だが一つのプラン、これは何をするつもりなのかは明かされてはいない。
大社は何を企んでいる…?
いや、今は目の前の敵に集中しよう。奈津雄は長刀を抜いて構える。
「今回は総力戦だ私と友奈はもう一つの切り札を使う」
「もう一つってあれ大社に使うの禁止されてたよな!?」
「大天狗に酒天童子、だったかしらね。」
「その、いくらケアが万全とはいえ大丈夫なんですか?」
「やるしかないよ…ここで退くわけにはいかないから。」
「確かにそうだが…状況は逼迫している。やむ無しだろう。」
「…奈津雄?」
「…いや、二人の判断に任せるよ。でもヤバくなったら直ぐに言えよ」
「ああ!」「うん!」
二人が元気良く答える。
「さーてそれじゃ景気良く行くか!」
「降りよ!大天狗!!」
「来い!酒天童子!!」
「七人御先…!!」
「行くぞ!輪入道!!」
「来て!雪女郎!!」
勇者達6人がその身に精霊を宿し姿を変化させる。
「…俺も何か名前とか考えとくんだったな。」
奈津雄は身体の奥から力を引き出す。武器と全身に蒼いラインが行き渡る。
「各自散会して大型を叩く!切り抜けるぞ!!」
若葉の号令と共に勇者と欠番勇者はバーテックスの大群へ向かって行く。
地中に潜った大型バーテックスが神樹へと向かい、こちらを友奈が担当し残りのメンバーで5体のバーテックスを相手にする。
これまでの試練、そして治療の改善により若葉達は驚異的なコンビネーションで敵を圧倒していく。
杏が凍らせ、7人の千景が大鎌で切り裂き、球子の炎が焼き付くし、若葉と奈津雄の高速斬激の嵐が猛威を震う。
『一応は優勢みたいだが…友奈は…』
奈津雄は神樹の方へ目を向ける。
そこには、地中から引き摺り出されたとおぼしき巨大バーテックスが友奈にマウントを取られる形でタコ殴りにされていた。
「わーお」
原形を止めない程殴られた巨大バーテックスが消滅していく。
流石は伝説の怪異を名乗るだけはある。
「皆ー!戻ったよ!!」
友奈が合流する。
「高嶋さん!無事…?」
「大丈夫だよぐんちゃん!私はまだまだ行ける!!」
「うっし!んじゃ最後の一片付けと…あれ?」
「な…!」
集合した全員は信じ難い光景を見ていた。
そこには、周りの通常個体のバーテックスが今までに無い速度で結合・再生をする倒した筈の大型バーテックスの姿があった。
「周りのは補充用だったって訳か…!」
奈津雄の額を一筋の汗が伝う。
果たして勝機はあるのだろうか
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神樹様の結界強化の為の作戦がこの時でしたね
私は樹海へ入れませんから…戦況は伝え聞いた事しかなくて
でも此方は以前よりも増した万全の状態で臨みました
しかし敵は更にその上を行っていたんです