刻渡りの勇者   作:嶽山

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西暦編 17.活路は見出だせるか

広がる樹海、奈津雄達6人は迫るバーテックスを目の前にしていた。

無数の通常個体に加え蝎型に匹敵する大型個体が六つ。

幸いにも先日の戦いで倒した超巨大個体はいないようだ。

 

「壮観だなこりゃ」

 

「今度は帰るだなんて言うなよ奈津雄」

 

「言わないさ…この状況で。」

 

これを乗り切れば大社が用意した防衛プランが2つ実行可能だと聞く。一つは結界の強化だそうだ。

 

この効果は大きいだろう。だが一つのプラン、これは何をするつもりなのかは明かされてはいない。

 

大社は何を企んでいる…?

 

いや、今は目の前の敵に集中しよう。奈津雄は長刀を抜いて構える。

 

「今回は総力戦だ私と友奈はもう一つの切り札を使う」

 

「もう一つってあれ大社に使うの禁止されてたよな!?」

 

「大天狗に酒天童子、だったかしらね。」

 

「その、いくらケアが万全とはいえ大丈夫なんですか?」

 

「やるしかないよ…ここで退くわけにはいかないから。」

 

「確かにそうだが…状況は逼迫している。やむ無しだろう。」

 

「…奈津雄?」

 

「…いや、二人の判断に任せるよ。でもヤバくなったら直ぐに言えよ」

 

「ああ!」「うん!」

 

二人が元気良く答える。

 

「さーてそれじゃ景気良く行くか!」

 

「降りよ!大天狗!!」

 

「来い!酒天童子!!」

 

「七人御先…!!」

 

「行くぞ!輪入道!!」

 

「来て!雪女郎!!」

 

勇者達6人がその身に精霊を宿し姿を変化させる。

 

「…俺も何か名前とか考えとくんだったな。」

 

奈津雄は身体の奥から力を引き出す。武器と全身に蒼いラインが行き渡る。

 

「各自散会して大型を叩く!切り抜けるぞ!!」

 

若葉の号令と共に勇者と欠番勇者はバーテックスの大群へ向かって行く。

 

地中に潜った大型バーテックスが神樹へと向かい、こちらを友奈が担当し残りのメンバーで5体のバーテックスを相手にする。

 

これまでの試練、そして治療の改善により若葉達は驚異的なコンビネーションで敵を圧倒していく。

 

杏が凍らせ、7人の千景が大鎌で切り裂き、球子の炎が焼き付くし、若葉と奈津雄の高速斬激の嵐が猛威を震う。

 

『一応は優勢みたいだが…友奈は…』

 

奈津雄は神樹の方へ目を向ける。

 

そこには、地中から引き摺り出されたとおぼしき巨大バーテックスが友奈にマウントを取られる形でタコ殴りにされていた。

 

「わーお」

 

原形を止めない程殴られた巨大バーテックスが消滅していく。

 

流石は伝説の怪異を名乗るだけはある。

 

「皆ー!戻ったよ!!」

 

友奈が合流する。

 

「高嶋さん!無事…?」

 

「大丈夫だよぐんちゃん!私はまだまだ行ける!!」

 

「うっし!んじゃ最後の一片付けと…あれ?」

 

「な…!」

 

集合した全員は信じ難い光景を見ていた。

 

そこには、周りの通常個体のバーテックスが今までに無い速度で結合・再生をする倒した筈の大型バーテックスの姿があった。

 

「周りのは補充用だったって訳か…!」

 

奈津雄の額を一筋の汗が伝う。

 

果たして勝機はあるのだろうか

 

―――――――――――――――――

 

神樹様の結界強化の為の作戦がこの時でしたね

 

私は樹海へ入れませんから…戦況は伝え聞いた事しかなくて

 

でも此方は以前よりも増した万全の状態で臨みました

 

しかし敵は更にその上を行っていたんです

 

 

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