大社本部から帰って来たひなたの話を聞くべく丸亀城内の教室に一同は集まっていた。
「全員集まったぞひなた。…なぁ、顔色がすぐれないようだが大丈夫か?」
「大丈夫ですよ若葉ちゃん。…今は私の事よりも皆さんにお伝えしないといけない事がありますから」
ひなたは心配そうな若葉を制し、ここ数日間の出来事を話始めた。
「先ず率直に言いましょう。皆さんの勇者としてのお役目は終わりました。」
「!?」
全員に衝撃が走る
「戦う必要が無いって言われても…結界が強化されたからって事だからか?」
球子が言う。
「…ねぇわかちゃん」
「結界が強化されても絶対無敵じゃないよね?もしそれを越えて敵が来たらどうするの?」
友奈の質問は最もだ。
「そうですよ!そのもしもの為にも私達がいなくちゃ…」
「杏さんと友奈さんの言う事も確かにですね。」
「今は神樹様の結界で守られてますがその力もいつまでもつか判りません。」
「結界が消えた時、私達のこの場所も炎にのまれててしまう…
「だからこそ」
「これを回避する為大社はある試みを実行し、成功させました。」
「試み?何をしたの…?」
「この世界を荒らす神、天の神に対して今後人類が壁の外に出ない事を条件に信仰を赦して貰う対話の神事」
「奉火祭を実施しました。」
「神代の時代にそれを実施して赦された前例があります。私達はこれを模倣したんです。」
「その、具体的にどんな事をやったんだ?」
「神託を受け取る者、選ばれた巫女に六人こちらの話を届けて貰いました。…炎の海の中へ。」
「生け贄、と言う訳か。」
「そ、そんな...!]
「はい。皆さんに話してしまったら神事に突撃してしまいますからね。ずるいと思いますが、事後報告です。」
「ね、ねぇ上里さんその、選ばれた巫女に花本さんや安芸さんは…」
淡々と事態を語るひなたに千景が遠慮しがちに聞く。
「心配はいりませんよ。彼女達は無事です。」
「そう…ごめんなさい。」
「謝らないで下さい…今まで貴方達勇者が頑張った分、今度は私達巫女が頑張る番ですから。」
「それと、儀式の後に天の神からの神託が来ました。」
「勇者の力を放棄すればもう攻めないと。」
「神の力を行使する事は彼らにとって禁忌なのでしょうね。」
ひなたは語り終えた。人類は生きる為に強大な力の前に屈するしか道がなかったのだ。
「戦いは…まだ終わってない。私達はまだ生きている。」
重苦しい空気が支配する中、若葉が口を開いた。
「今の私達では悔しいが天の神には勝てない…だからこそ力を付ける必要がある。」
「で、でも若ちゃん!奉火祭で力を放棄するって…」
「勇者システムは一時的に封印するしかありませんね。願いを聞き入れて貰った以上は従わざるを得ません。」
「神樹様の寿命は恐らく数百年…その上で天の神に気取られぬ様、時間をかけて対抗手段を構築する他ないでしょう。」
「できるのか…タマ達に。」
「弱気になるな球子!私達で繋げるんだ!!」
「そうだよ!タマちゃん成せば大抵なんとかなる!!」
「お、おぉ…そうだな!何かできる気がして来たぞ!」
「タマっち先輩ったら単純なんだから…」
「な、なんだよ杏なんか泣きそうな顔してたくせにー!」
重苦しい雰囲気が明るく変わって行く。これも若葉の闘気が成せる技か
「それと天の神とは別に神樹様からも神託がありました。」
「神樹様は何と?」
「そうですね…奈津雄さんはもうお判りなんじゃないですか。」
「…。あぁ、まあな。」
「おい、どういう事だ奈津雄?」
「俺には別件でな、神樹から指示が来てる。」
「この先の時代に渡って人類か、勇者をサポートしろだと。」
奈津雄が皆に勇者端末を取り出して画面を見せる。
そこにはリミットを刻む時刻、期限にして一週間程の数字が表示されていた。
------------------
奉火祭の事を皆さんに説明するのは本当に心苦しかったです
勇者の皆さんには黙って実行した事ですからね
犠牲は決して軽いものではありませんでしたが、これが未来への反撃の糸口となったんです
そしてその為の次の段階が彼にも訪れてました。