「今出てきたあれを倒して若葉を連れ戻すって言ったら手伝ってくれるか?」
目の前の彼は確かにそう言った。
ただ無力で、大切な人も救えずに見送る事しかできずにいた私にその言葉は酷く衝撃的でした。
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「やるよ!神樹様には悪いかもだけど...。空のあれも放っとけないしね。」
「私も賛成よ」
「私もです!」
「...。」
「タマっち先輩?」
こういう場面で真っ先に声を上げそうな球子が難しそうな顔をしていた。
「タマ思うんだけどさ。」
「この作戦って神婚に見せかけて敵の親玉を引きずり出して倒すって作戦なんだろ?」
「そうだ。」
久美子が答える。
「神樹にはこの事伝えてあるのかよ」
「ない。これは私と極限られた人間しか知らない」
「伝えてないってそれ結婚詐欺なんj「友奈、土居球子を黙らせろ」
「え!?あ、はい!!」
「たみゅッ!!!???!!!!」
久美子の指示で友奈が球子へ秘孔をついた一撃を放ち沈黙させた。
「た、タマっち先輩!?」
「わー!?タマちゃんごめーん!!!!」
「…先生、戦う前から味方減らさんでもらえませんか?」
「何やってるのよ…」
その後どうにか球子を元に戻した一同は変身して樹海へと向おうとした時だった。
「千景さん」
「…?上里さんどうしたの?」
「これを」
ひなたは若葉との別れ際に託された生大刀を千景に差し出した。
「きっと必要になると思うんです。私は…ここから先には行けませんから、どうか…」
「わかったわ。乃木さんに必ずこれを渡して帰って来るから」
「皆でね。」
「…!はい!!」
「それじゃあ!」
勇者達は若葉が向かった先へ飛ぶ。
樹海に侵入した途端上空から雨あられと攻撃が降って来た。空に浮かんでる巨大な鏡からだ。
「お、おいこれって...!」
「倒して来たバーテックスを使役してる...!?」
上空の鏡は奈津雄が来る前、そして合流後に戦った進化体バーッテックスをお供に引き連れて襲って来た。
「どうしよう奈津雄君!」
「...分散するしか無そうだ。千景は若葉のとこに!サポートを友奈が頼む!残ったメンツでこいつらを片付けるぞ」
「よーし!!」
「了解です!!」
「わかったわ」
「うん!!」
四人から各々返事と共に散会した。
若葉の元へ向かう千景と友奈の元に進化体バーテックスが迫る。
「させるか!!」
それを球子・杏・奈津雄の三人で防ぐ。
「初めましての奴と...久しぶりの奴か。会いたくは、無かったけど」
サソリの尾を避けながら奈津雄は長刀を振るう
「何にしても変わらない、また潰してやる」
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奈津雄達と別れた千景と友奈は神樹の元へと向かう。
「乃木さんは...まだ先ね。」
「うん。タマちゃん達大丈夫かな...?」
「大丈夫よきっと、今までだってやってこれたんだから...」
千景が言い終わらない内に巨大な根が地中から二人を襲う。
「ツ...!!!?」
「これって!!」
二人は間一髪根を躱す。
それ神樹からの明確な拒否反応のようだった。
「ぐんちゃん...これって」
「ええ、高嶋さん、わかってるわ。」
「そう易々とは、通してくれないみたいね」
千景の頬を一筋の汗が伝った。