この日、神樹館小学校に通う山伏しずくは学校帰りにの帰路を大きく外れた神社内をを歩いていた。
しずくの家は環境がかなり複雑だ。
神経質が度を越えている両親からの虐待は苛烈を増し家に帰り辛い。
浮かない気持ちでとぼとぼと境内を歩いていた時だ。
「...あれ」
前方に人が倒れている。
駆け寄って様子を見る、
「生きてる…?」
特に外傷は見られない。
「運ば、なきゃ…」
「ん…しょ、ん…しょ」
しずくは少年を日陰へと運ぶ。流石に担げる程の力は無いので引き摺る形になってしまったが。
「どうしよう…」
少年を運んだは良いが、ここからは大人を呼んで任せるべきか。
「うっ…」
考え込んでると少年が声を上げた。意識が戻りかけてるようだ。
「あ…大丈夫?」
しずくは彼を揺すりながら声を掛ける。
「う…、ん?ここ、は…」
「良かった、目が覚めた」
「えっと…痛つつ、君は?あれ、ここ何処だ?」
「私、山伏しずく。ここは坂出市の神社。」
坂出か。自分は丸亀から飛び立ったはずだ、随分離れた場所へ降りたな。
「…。」
「あ、あぁスマン。はじめまして、俺は結嶋奈津雄。助けてくれてありがとうな、えっと…山伏さん?」
「しずくでいい。」
「そうか、宜しくなしずく。」
「うん。」
「なぁところでさ、今って何年?」
「…?神世紀298年だよ。」
「神、世紀…西暦じゃないのか?」
元号が変わってる。
「西暦は300年くらい前に終わった」
「そう、か…そうなのか。」
300年、か。かなり遠い未来に来てしまったな。
もうこの時代で自分を知る者はいないだろう。
若葉達はどうなったのか、自分が移動した後敵の動きは…様々な考えが駆け巡り奈津雄は混乱してしまう。
「大丈夫?」
「え、あぁ…うん。落ち着いたよ。」
一旦は考えるのをよそう。
「ところで結嶋はどうしてこんなとこで倒れてたの?」
「え。」
彼女は自分を助けてくれた恩人だ。だが勇者に関わる事を話しては…
奈津雄が答えに詰まってた同時刻
「おかしいですね、神託ではこの辺りだと」
大社の新官達は首を傾げていた。
本部の巫女に降りた神託で今日、指定された近辺に神樹の命を帯びた勇者を助ける戦力が来るとの事だった。
神託後に現地に急行したがそれらしき姿は見られなかった。
引き上げるべきか、どうするか。
そこへ
「もう少し探しましょう。彼の存在がこれからの戦いを左右します。必ず、見付けなければなりません。」
現場指揮を取る女性新官・安芸が言う。
「「「はい」」」
新官達は頷くと再び付近の捜索に乗り出し、一つ調べていない神社がある事に気が付いた。
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「えっと、それなんだけど…」
「…。」
「何も覚えてなく「嘘」
「うっ…」
大人しそうな見た目に限らず彼女はかなり鋭い様だ。
「ちゃんと話して」
「ウス…」
もうここは覚悟を決めるしかない。だが信じて貰えるだろうか西暦時代、勇者に関しては一般に全てを語られてはいなかった。
この時代ではどんな…。
「結嶋奈津雄君、ですね?」
ふいに声が掛かる。見るとそこには新官服を来た大人達が数人立っていた。
声を掛けて来たのは真ん中にいる女性新官だった。
「えっと、はい。そうですけど貴方達は?」
「神託により大赦から貴方を迎えに来ました。」
「そちらは山伏さんね。」
「…。」
「彼は大事な御役目に必要な人なの。」
「三ノ輪達と同じ?」
「そうよ。」
「彼は私達で保護するわ。だから貴方はもう帰りなさい。」
「…はい」
「ま、待った!しずく!」
「ほんのちょっとだったけど話せて良かったよ。また、会えたら良いな。」
「うん。今度はもっと話しよ?」
「ああ!」
「結嶋君、そろそろ…」
「あ、わかりました。」
「それじゃあな、しずく」
「うん、また」
奈津雄は安芸達に連れられて行った。
境内に一人残ったしずくは思う。
彼とは次、いつ会えるのだろうかと。