刻渡りの勇者   作:嶽山

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西暦編 3.荒廃した街で その2

「いや~タマは絶対生きてる人がいるんだって信じてたんだよ。そりゃここに来るまで色々酷いもん見て来てちょっとこれどうなのかなーって思って…」

 

突如として奈津雄の前に現れた少女はこちらが質問する間もなく捲し立てていた。

 

喋り続ける彼女の腕には奇妙な事にバックラー盾の様な物が付いていた

 

盾…盾だよね。

 

「あんずと千景は諦めてたっぽく見えたけどタマは信じてたんだ!!」

 

あんずに千景、どうやら同行者が他にもいるようだ。

 

「あの、それでさ…」

 

奈津雄は漸く切り出す。

 

「ん?おースマンスマン、タマばかり喋っちゃったな」

 

「タマの名前は土居球子だ!お前は?」

 

「結嶋奈津雄だ。」

 

「奈津雄だな!うん!タマの事はタマって呼んでくれタマえ!」

 

「解った、俺の呼びも奈津雄でいい。宜しくなタマ。」

 

「おぅ!」

 

お互いに自己紹介を済ます。

 

「それにしてもさ、奈津雄はこんな所でどうやって生き延びてたんだ?」

 

「え、あー…ええと」

 

「?」

 

返答に詰まる。

 

自分は人類が化物によって滅んだ地球で一度死んで神樹を構成する土地神に魂を呼び出されて蘇生しました。

 

なんて説明して信じて貰えるのだろうか。

 

「おーい、どうしたー?」

 

球子が心配そうな顔で尋ねる

 

どうする、どうする…答えに詰まっているそこに

 

「タマっち先輩ー!」

 

可憐さと、何処か儚げな雰囲気のふわふわした髪女の子が此方へ駆け寄って来るのが見えた。

 

そんな彼女の手にはそんな見た目に不釣り合いな、どう見てもボウガンが握られていた。

 

え、ボウガン…?

 

「おー!!あんず!」

 

「ハァ…ハァ…も、もぅ…ここに着いたらいきなり…飛び出しちゃったから…探したんだよ…!」

 

息も絶え絶えに彼女が言う。

 

「ス、スマン…」

 

「…ふぅ。それでタマっち先輩、そちらの方が?」

 

「ああ!こいつは奈津雄。生存者だよ!やっぱりいたんだ!!」

 

正確には違うんだよな。

 

「結嶋奈津雄です。はじめまして。俺の事は奈津雄って呼んでくれ」

 

「はじめまして、伊予島杏です。その、じゃあ私も杏で」

 

「よーし!挨拶も済んだ事だし若葉達と合流だ!」

 

「タマっち先輩が飛び出してった後に合流場所を決めたからね。そこに行ましょう」

 

三人は歩き出す。程なくして指定合流場所、街の中心部にある交差点に到着した。

 

交差点には四人の少女。

 

「あ!おーい!タマちゃーん!アンちゃーん!!」

 

「球子!いきなりいなくなるから心配したんだぞ!」

 

「とにかく無事で良かったです。でも単独行動はダメですよ?」

 

「…そうね」

 

交差点で合流した四人、1人は何故か巫女装束に身を包んでいた。

 

凛とした雰囲気の少女は帯刀を

 

大人しげな少女は布に包まれているが見た感じ大きな鎌を持っていた。

 

特にこれと言った異様な物を持っていないのが最初に声をかけて来た少女くらいだった。

 

一体この娘達は何の集団なんだ。

 

疑問に疑問が重なり奈津雄は限界だった。

 

四人と挨拶を交わす。

 

最初に声をかけて来た少女が高嶋友奈。

 

帯刀の少女は乃木若葉。

 

巫女装束の少女は上里ひなた。

 

鎌を携えた少女は郡千景と言う。

 

球子と杏同様、こちらも呼び名は下の名前でという事になった。

 

「これで全員?」

 

「あぁ、そうだ。」

 

若葉が答える。

 

「そう…か。聞きたい事が色々とあるんだけどいいかな?」

 

「うん?」

 

そこから奈津雄は質問を始めた。

 

今が西暦が何年なのか、若葉達が何者でどうして自分を見付けに来たのかを。

 

若葉達は奈津雄の質問に一つ一つ答えてくれた。

 

今は西暦2019年で人類はあの化物、バーテックスと名付けられた敵の脅威に晒されている事。

 

若葉、友奈、千景、球子、杏はそれと戦う勇者と呼ばれる力を持った存在でひなたはその神樹からの神託を受けて勇者をサポートをする巫女である事。

 

ここに来たのは神託による生存者であり新たな戦力になりうる自分の保護であるとの事だった

 

「そうか…」

 

自分はどうにか目的の一つである勇者へ会えたのだ。

 

しかしこんな年端もいかない少女が戦わされているとは驚いた。

 

「とりあえずはこんなとこだ」

 

「奈津雄にはこれから私達と四国まで来て貰う。」

 

「四国?」

 

「香川の丸亀、そこに私達の本拠地があるんだ。場所はひなれてはいるが勇者を統括する組織、大社もそこにある」

 

「解った」

 

二つ返事で答える。

 

目的の一つを果たした以上ここに長居は無用だ。

 

彼女達に付いて行き神樹から言われた目的を果たす。

 

「よし、では出発だ!」

 

若葉が号令をした矢先。

 

奇妙な、だが聞き覚えのある鳴き声がした。

 

「うわっ出やがった!?」

 

出発する7人を取り囲む様に、いつの間にか無数のバーテックスが現れていた。

 

「あいつらは…!」

 

奈津雄の目は憎しみの色に染まっていた

 

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こうして私達は神託にあった彼とやっと合流出来たんです

新たな仲間を無事に迎えられて安心できたのも束の間でした

私たちの敵、バーテックスはこちらの都合なんてお構い無しなんですよ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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