「う…」
奈津雄はゆっくりと目を覚ます。病院のベッドの様だ。四肢に力が入らない。
「…起きたのね。」
ベッドサイドの椅子に腰掛けて携帯ゲームをしていた千景がヘッドホンを外しながら言った。
「ここ、は…皆は?あの後どうなった?」
「…一気に喋らない方がいいわ。あなた…、3日以上目が覚めなかったのよ」
3日以上も!?樹海化が解けたとこまでは記憶があるがその後は…。
「安心して。怪我の具合は良くないけど伊予島さんも土居さんも無事よ…。あれからバーテックスも攻めて来て無いわ。」
「そう…か。」
「千景はずっと側にいてくれたのか?」
「なっ!?違っ…わ、私は偶々近くに来たから寄っただけよ!!」
「そっかそっか。ありがとうな千景。」
「ッ~!////」
千景は真っ赤になって俯いてしまった。
ちょっと冷たさを感じてた彼女だがちゃんと心優しい所があるんだな。
「と、とにかく!私はもう行くから…。」
「あぁ。ありがとうな。」
千景は席を立つがドアの前で立ち止まった。
「今回は…」
「ん?」
「今回の戦いは結嶋君のおかげで勝てたわ」
「でも次は私が、あんなバーテックス私が倒してみせる…!」
「お、おい。あれは別に俺が…」
「それじゃあ。乃木さん達も、後から来るはずだから」
千景はそれだけ言うと病室を出て行った。
去り際の彼女の顔は何処か、何かに焦っているような感じに見えた。
奈津雄が球子と杏の病室を訪れられたのは身体の機能がある程度回復した数日後だった。
コンコンとノックをすると中から「どうぞー」と二人の声がした。
「よう。」
「おぉ!奈津雄!」
「奈津雄さん!」
「お互いしぶといな。具合はどうだ?」
「何とか元気になって来たよ!タマも杏も、もう少しで退院だって!花見やるぞ~!!」
「奈津雄さんは大丈夫なんですか?」
「あぁ。ここ2、3日でな、やっと身体が動く様になった。」
「良かったです!」
目の前の二人は夢にみた死に様とは違う。正真正銘元気な姿の二人だ。
「うん…本当…に、な。本当に良かった…」
気付くと奈津雄は駆け寄って二人を抱き締めていた。
「お、おい奈津雄!?」
「へっ!?へぇぇぇっ!?」
「お前等さ…死んじゃうんじゃないかって…俺、必死で…」
「…。」
驚いていた二人は黙り込む。奈津雄はいつの間にか大粒の涙を流していた。
「ありがとう…生きててくれて…本当にありがとう…。」
「…うん。」「はい…。」
「う…あ、あぁ悪いな。何か泣いちまって。」
「二人が無事なら良かったよ。花見、俺も行ける様にしはるからさ。またな!」
慌てて身を離した奈津雄は二人の病室を後にした。
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病室に戻った奈津雄自身はまだ出歩いていけない状態だったので戻った直後に見舞いに来た若葉達にたっぷりと説教をされたのだった。
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あの時の彼ったら起きるなりいきなり病室からいなくなってたんですよ
病室に行ったらもぬけの殻で本当に驚きました
自分だって...無事とはいえなかったのに