異世界のオキシジェン・デストロイヤー ~Fランクハンターだけど、大物狩る許可はもらってます~   作:RightWorld

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第116話「側面攻撃部隊」

 

 広場の側面に回った探検者(エクスプローラー)の大部分は、配置に着いて突入の合図を待っていた。

 

「始まったかしら?」

 

 リエラがそう言うと、広場入り口の方から低い地響きと騒ぐ魔物の声が聞こえてきた。

 そしてものの数分で広場中にいたオーク・ソルジャーが入り口の方に向かって雄叫びを上げながら走り出した。

 

「やってるやってる」

「見事な引きつけだ」

「レオさん、ちょっと引きつけ過ぎじゃない? 凄い数が向かったわよ」

「なあに。その分こっちは安心して救出に専念できるんだ」

 

 レオナルドは皆に振り向いた。

 

「連中に被害が出始めたら行くぞ」

「「「「おう!」」」」

 

 皆は固唾を飲んで戦況を見守る。

 Aランクプラスのデッカーはどんな戦いを見せるのか。Aランクだというワリナの2人は? そしてマヤを知っている探検者(エクスプローラー)は、どんな物凄い理不尽な事が起こるのかと期待に胸を膨らませ、ワクワク顔で時を待った。

 

 すると、あれだけ響き渡っていたオーク達の怒号が、急に静まった。さらにどどどっと次々に倒れ込む音が響き、ほとんど音はなくなって土煙がもうもうと湧き上がるだけとなる。

 土煙が収まったとき、累々と地面に横たわるオーク集団の変わり果てた姿に、皆は驚愕した。

 

「「「「ええぇっ!?」」」」

 

 探検者(エクスプローラー)達の驚きの声が重なる。

 

「やった! アンリミテッド・パーティーがやりやがった!」

「デストロイ法力が炸裂したぞ!」

 

 マヤに期待を寄せていた探検者(エクスプローラー)からは喜びの喝采が上がる。

 レオが剣を抜いて立ち上がった。

 

「行くぞ! 雄叫びを上げて、あの残っている集団に斬りかかれ!」

 

 奥の方には、まだ状況をよく掴めていないオークの集団が2つばかりあった。探検者(エクスプローラー)達は各々の武器を抜刀すると、「うおおおおー!」と叫んで駆け出した。

 

「リエラ、檻の方へ!」

「心得てるわ!」

「リエラ様、護衛侍女(わたし)の後ろへ! って先に行かないでくださーい!」

 

 リエラはオーク達には見向きもせず、まっしぐらに兵士達が閉じ込められている檻へ向かって駆け出した。その後をレオが、さらにフィリアが慌てて追いかける。

 

 檻の前には見張りらしきオーク・ソルジャーが2頭立っていた。リエラとレオ、フィリアが駆けて来るのを認めると、釘バットのように棘の生えた棍棒を振り上げて迎え出た。

 

「何ですかあの武器! あれで殴られたら痛いところじゃないですよお!?」

 

 フィリアが叫ぶ。しかしレオもリエラも怯む気配は一切ない。

 

「リエラ、俺に任せろ!」

「いいえ、1匹はちょうだい!」

 

 そう言うとリエラはさらに加速し、剣を構えて1頭に斬りかかった。

 勢い良く振り落とされた棍棒を身を躱して避けると、すれ違いざまに剣を振り上げ、棍棒を持った腕を切り落とした。無くなった腕を見て悲鳴を上げ、怒り狂った顔をリエラに向けたオークだが、そこに姿はなく、既に死角に回り込んだリエラによって背中から胸を貫かれた。

 

「ひえええ、リエラ様なんてお強い!」

「おう、おっかねえお姫様だぜ」

 

 感心したレオにもう1頭が殴りかかる。

 レオは灼熱化させた剣で棍棒を受け止めた。と思ったら、剣は棍棒を一瞬で溶かして真っ二つにし、そのままオークの身体まで達して、身体も真っ二つにした。一振りである。

 

「流石ですね、レオナルド様」

「見惚れたか?」

「こ、こんな所で口説くつもり? 油断しないでくださいよ」

 

 リエラは顔を赤らめて小言をいう。

 檻の所へ駆け寄ると、レオは中の兵士に呼びかけた。

 

「無事か!? 助けに来たぞ!」

「エクスプローラーか!? よく来てくれた!」

「気を付けろ! この檻はポイズン・スパイダーの糸で作られている。下手に触るとお前達にも危険が及ぶぞ!」

 

 リエラが前に出た。

 

「私が開けるわ。私はミリヤのエクスプローラーよ。私には解毒法力があるわ」

「ミリヤ!?」

「ミリヤの解毒法力持ちか!」

「おおっ、領主様の隣国友好政策のおかげでミリヤからの応援が!」

 

 一部の兵士が感激して天を仰いでいる。

 

「何分くらいかかる?」

 

 レオがリエラに聞いた。

 

「一瞬。その為にオークを1頭もらったのよ」

 

 そう言って、オークとの戦闘でかいた額の汗を拭った。そして汗で濡れた手で檻を形作っている糸を掴んだ。

 

「危な……!」

「ええ!?」

「触っては危険……!」

 

 兵士達が言うが遅い。言葉を発したのは既にリエラが糸を掴んだ後だった。

 リエラは糸を掴んだまま檻をしばし見回すと、手を離した。

 兵士達はリエラに毒が回って倒れると思ったが、まったく平気な様子に目を見開く。

 

「もう糸の中の毒は解毒されたわ。檻を壊すけど、液体が降りかかっても単なる水だから怖がらないでね」

 

 そう言って剣で檻を切った。

 

「うわ!」

「剣で切っては!」

「あっ! き、切った!」

 

 これも止めようとするが既に遅い。言葉を発したのは既にリエラが糸を切った後である。

 切ったところを起点に檻を形作っていた糸が破裂し、中の液体が兵士に降りかかった。兵士達は真っ青になって悲鳴を上げたが、倒れる者も苦しむ者も出なかった。リエラが言ったように、既に解毒されていたのだ。

 

「ほ、本当に解毒されてるのか?」

「凄い。手で握っただけで……」

「こ、これがミリヤの解毒法力なのか!」

 

 びしょ濡れになった兵士達は唖然となって、礼を言う言葉を忘れる程だった。

 レオはリエラの耳元に近付き、小声で尋ねた。

 

「どうして一瞬で解毒できたんだ? 解毒波じゃこうはならないはずだ。確かそれはお前の体液に触れればだったと思うが、手に唾でもつけてたのか?」

 

 レオは以前、手に掛かったアンフィスバエナの毒液を、リエラに舐めてもらって解毒してもらった事がある。リエラの唾液には瞬間解毒の力があったのだ。

 

「私の体から出る体液なら何でもいいのよ。血液でも唾でも、汗でも」

「なるほど、今回は汗か」

 

 リエラは俯いて顔を赤くした。

 

「あ、あんまりきれいなものじゃないから、言わないでくださいね」

「言ったら喜ぶ奴がいそうだが」

「……変態」

 

 レオはリエラに背中の肉をひねられた。

 

 

 

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