異世界のオキシジェン・デストロイヤー ~Fランクハンターだけど、大物狩る許可はもらってます~   作:RightWorld

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第128話「南門前の攻防 その1」

 

 岩によって道を塞ぎ、補給部隊の足を止めたワイバーンは、荷車かイグアノドンを横から襲おうとしていた。しかしかなり低空飛行で接近しようとしているようで、補給部隊からは森の木々が邪魔をして全く見えなかった。

 

「パイアス、現れる位置とタイミング教えろ!」

「あいよ!」

 

 だがそこは探知法力を持つパイアスがいる。目で見えてなくても、法力で位置を掴んでいた。

 迎撃するのも同じ『龍の鱗』パーティーのメンバー、やり取りは勝手知ったる仲である。

 

「俺の指す方向へ、3つ数えたら撃て!」

 

 パイアスの手が隊列の左、やや前へ向けられる。デッカーとガーター、ハルド、それに竜使いの弓持ちが、パイアスの指示する方へ向いて構える。

 左の方から風の音と、ざわざわとざわめく葉の音がしてきた。

 その音が急速に近づいてくる。パイアスがカウントを開始した。

 

「5……4……3……2……1、やれ!」

「アイシクル・バレット!」

 

 パイアスが手を向ける方向に向かって、まだ姿は見えないが、デッカーが氷散弾を、ガーターがクロスボウを撃った。それを見て弓持ちも慌てて矢を射る。

 

 氷散弾と矢が空中を飛翔して1秒。

 

 ドウッ!

 

 木の上からワイバーンが2頭出現した。脚を突き出し、爪を立てての攻撃。イグアノドンを狙ったものだった。

 だがそこは氷散弾と弓矢の弾幕の中だった。デッカーの放った氷散弾は文字通り広く散らしてあり、ワイバーンはその弾幕の中に突っ込んだ形となった。数発が当たり、ガーターの矢も命中。竜使いの矢も顔の前を通過し、ワイバーンを怯ませた。

 そこへハルドが法力を発動させた。

 

「疾風!」

 

 ワイバーンを押し戻すような突風が吹いた。ワイバーンは驚いて鳴き声を上げ、バランスを崩した。

 間髪入れずハルドの疾風が回転するように渦を巻いて、風の檻を作る。

 2頭のワイバーンは風の檻に捕らえられた。後は前回と同じ手順である。

 

「ガーターは下の奴を!」

「了解!」

 

 ガーターのクロスボウが下側のワイバーンの眉間を狙う。デッカーは大きく開いた両手の先に大きな氷の塊を生成する。

 

「狙撃!」

「アイシクル・キャノン!」

 

 2人が同時に攻撃。それに合わせハルドが疾風を止める。

 デッカーの氷砲弾が上側のワイバーンの首の付け根を、ズドンと打ち抜いた。首がもげて、首と体がそれぞれくるくると回転しながら墜落していった。

 下側のワイバーンの眉間にもガーターの弓矢が突き刺さる。だが氷砲弾ほどの威力がないため絶命には至らず、空中で暴れた。暴れながら道の脇に墜落した。

 

「す、すげえぇぇ!」

 

 デッカーらの戦いを見て目を輝かせたのはイレムである。

 びたんびたんと地面の上で暴れ狂うワイバーン。

 

「とどめを刺せ!」

「「「おおーーっ!」」」

 

 周辺にいた兵士達が飛びかかる。

 

「俺も行く!」

 

 そう言って飛び出そうとするイレム。マヤが飛びついてその襟首を掴んだ。

 

「何言ってんのあんた! 近付いたら巻き込まれるよ!」

「巻き込まれないように近付けばいいじゃん!」

「むわあ、こいつかわいくない! 口じゃ何とでも言えるわよ、あっ!」

 

 掴んでいたマヤの手をイレムがすり抜けた。しかしそこですぐに男の人に捕まり担ぎ上げられた。捕まえたのは『ホワイトガーディアン』のニエミネンだった。

 

「君はランク的にもだめだよ。僕達のパーティーでさえ、Aランクメンバーがいないから手を出せられないんだ」

「えっ、ニエミネンさん達でも? じゃあ、あの兵隊達はどうなんだ?」

「軍の兵士にはランクの制約はないよ」

「ちっ、軍隊に入ればよかった」

「軍への入隊は15歳以上だよ」

 

 そうこうしているうちに、ワイバーンは兵士達に動きを抑えられ、デッカーに氷散弾で頭を撃ち抜かれてとどめを刺され、動かなくなった。

 穴だらけになったワイバーンの頭の前で、ふうっと一息ついたデッカーがマヤの方に振り向いた。

 そしてニヤァと笑って、指を3本立てた。3匹仕留めたぞと言っているのだ。

 

「ムカッ」

 

 どどどどどっ!

 再び頭上を黒い影が横切った。

 その後ろからドドン、ドドン、パアンと火の玉や岩の礫などが飛ぶ。さっきの目を引き付けようとしているワイバーンだ。

 

「ひゃああっ!」

 

 マヤとサンドラがまた首をすぼめる。

 ワイバーン数頭が、まだ飛び回っているのだ。

 

 

 

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