異世界のオキシジェン・デストロイヤー ~Fランクハンターだけど、大物狩る許可はもらってます~ 作:RightWorld
その後、ヘキサリネ兵は生意気にも東の建物群を使って抵抗し、潰走を防いだ。そして努めてゆっくりと後退していた。その間に大広場の南に戦獣を集結させているのが確認された。
東側は、少ない兵力でこちらの足を止めておくのが目的のようだ。敵主力は南から西に展開している。
「小賢しい人間どもめ。弱いから浅ましい知恵で抵抗しようとする。
ゴブリン・ロードは唸るような返事をすると、北の広場に溜まりつつあるゴブリン兵に向かって吠えた。
「ワイバーンは引き続き敵の戦獣を狙うように。岩を持ってきて敵の後衛陣地に雨あられと落とすんだ」
上空にいたワイバーンがギャオーッと声を出すと後方へ飛んでいく。先程破壊した砦へ行くと、岩を掴んで戻ってきた。
「表南門側からも圧力をかける準備をするかねえ」
地面に描いた見取り図を木の枝で指しながら命令する。
「スパイダーの群れは森伝いで南へ移動。向かってきていた補給部隊を襲撃させたオーク・ソルジャーの到着に合わせて、南の門を攻撃する。そこへ泉の駐屯地を占領させたオーク・ソルジャーを北上させて挟み撃ち」
北門からなだれ込む魔物集団と、南門から突入したオーク・ソルジャー軍団が会合する基地の中央にバッテンを描くと、ガイアスはクシャっと木の枝を潰した。
「これでとどめだ」
タイガー・スパイダーの群れが動くのを確認すると、
北門からはまだまだ魔物の列が入ってくる。兵力は有り余っているのだ。
ガイアスは収納魔法でテーブルと椅子とワインを出し、ゆったりと椅子に座って寛いでいた。
そしてこの先の戦果を想像して、いひひひと笑っていると、パーン、パーンと聞きなれない音がしたので、基地上空を周回させている
それによると……
「なにこの古いの」
ヘキサリネ軍はカタパルトを使って攻撃してきていた。ただし飛ばしてきた鉄球弾は特殊で、炸裂するようになっていた。
ゴブリン集団へ放たれた鉄球は、命中すればその運動エネルギーで、3から5体くらいのゴブリンがへし折られる。そしてその鉄球は破裂する。飛び散る破片は半径5m程にいるゴブリンを殺傷する。鉄球1個が飛んでくるたびに、だいたい10体くらいのゴブリンが使い物にならなくなった。
驚いたことに、それを飛んでいるワイバーンにも撃ってきた。通常なら当たるとは思えないが、誘導する仕掛けがあるらしい。あるいは法力か。空中で破裂した鉄球によって2頭のワイバーンが負傷した為、ワイバーンが警戒して低空に降りようとしなくなってしまった。
小癪なことをする。
だが鉄球が破裂することと誘導されることを除けば、古典的兵器である。二百年前の大戦でも使用されていた代物だ。
「それに威力もこの程度かよ」
同じ威力の攻撃を自分が魔法で行おうとすれば、もう少し短い間隔で放てるだろう。ただし、それではこちらの魔力が先に尽きるに違いない。
「あながち魔法が古典兵器より優位とも言えないか。もっとも僕の魔法と比べればだけど」
魔族軍の上級魔導師が練りに練った魔法弾ならば、一発でこの数十倍は威力があるだろう。その代わり練るのには相当な時間が必要なので速射はできない。
どちらが有効かは場面によりけりで一概には言えない。
しかし。
人間共にはこういった魔法に相当する法力はないのか、あるいはそのような法力者はここにはいないのか。それ故に物理的な投擲弾が使われ、古典的なカタパルトを使用しているのだろう。
「これなら上級師団であれば魔法弾でねじ伏せられる。残念だけど今の僕の魔力ではそういったことはできないけど……」
破裂鉄球に飛ばされたゴブリンの死体が近くに落下した。ガイアスは、肉片となったゴブリンを足で払いのけた。
「だけど問題にならない」
魔法を使うまでもない。
ホットスポットからやって来るゴブリンは、損耗よりはるかに多い。それにまもなくオーク兵とサンダーウルフ、ラトロ・アトレイタの群れも加わる。
現在ヘキサリネ軍は、林の辺りで戦獣を使ってゴブリン集団を押しとどめようとしている。が、絶え間ない攻撃はまったく休息の時間を与えていないはずである。
「数の暴力には勝てないんだよ。すぐに疲弊する。時間の問題さ」
ガイアスは、ひへへははとこみ上がってくるままに笑った。
ワインをグラスに注ぐと、ゆっくりと揺らす。
「兵力数は10倍以上。しかも魔物にはこの僕が
そのはずであった。