異世界のオキシジェン・デストロイヤー ~Fランクハンターだけど、大物狩る許可はもらってます~   作:RightWorld

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第151話「ワイバーン発着場 その1」

 

 砂山の裾に到達し、斜面を登っていって縁のところで這いつくばったまま目だけ出して、頂上の様子を伺った。

 

「!!」

 

 わたしは思わず悲鳴を出しそうになって、自分の手で口を塞いだ。

 そこにはおっかない顔をした15頭のワイバーンが翼をたたんで、横のワイバーンを、狭いんだよとど突きながらひしめいていた。ワイバーンの足元にはオーク・ソルジャーが20頭、四足歩行の大型魔獣が2頭、踏みつけられないよう時折場所を変え立っている。

 わたしの横でレオさんと領主様が、同じく目だけを出してじっくりと観察していた。

 

「あの四足歩行の大型魔獣はマンティコアか」

「輸送する魔物が揃うのを待ってるのかな?」

「ワイバーンが15頭いるから、あと8頭来るってことか」

「あの大型魔獣を2頭掴んで飛ぶのは無理じゃねえか?」

「ふうむ。もしそうならあと3から6頭。いずれにしろもうすぐ飛び立つな。イレム、光って見える奴はどこだ?」

「こっからは見えねえ。です。もっと奥の山の方だ。です」

 

 ヴェルディ様に問いかけられたイレムは妙な返事をする。

 敬語のつもりかしら。使い慣れてないからすんなり出てこないよ。レオさんやリエラさんにはタメ口なのに。ヘキサリネ領民のイレムにとって、一応領主様というのは特別らしい。

 

「見えるところまで移動しましょう」

 

 中隊長が動こうとすると、イレムが止めた。

 

「待った。でかいウルフがちらばっていろんな所にいるんだ。避けながら行かないと見つかるよ」

「むっ」

 

 中隊長は困って動きを止めた。

 ウルフは見張り役なのかな? イレムがいなかったらヤバかったわね。

 レオさんは指を舐めて風向きを確かめた。風は山の方から吹き下ろしてきていた。

 

「うまい具合に俺達は魔物らに対して風下にいる。イレム、このまま山の縁に隠れながら、ウルフに気付かれないように、光って見える奴の近くまで回り込めるか?」

「ああ、俺なら姿を見なくても探知で居場所が分かるから、ウルフを避けて移動できるぞ」

「よし、イレム先導しろ」

「おっしゃ! ついてきな!」

 

 水を得た魚になってすっ飛んでいこうとしたイレムを、わたしはがっしと掴んだ。

 

「待ったイレム!」

「なんだよガキババア」

「人が通れるところを選んでいくのよ。あんた今、そこの垂直な岩の方に行こうとしたでしょ。領主様やわたしはヤギやアイベックスじゃないのよ」

「んだよ、ガキババアが歩けないだけだろ」

「私もその岩を歩くのは無理かなぁ」

 

 リエラさんも笑顔でわたしに同意してくれると、イレムもムムムと口をへの字にした。

 

「し、仕方ねえ。少しだけ平らそうなところ通ってやる」

 

 そう言ってイレムは岩の下の斜面の方に向き先を変えた。

 危なかった。誰もついていけないところに連れていかれるところだったわ。この子の行くルートは引力を無視してるからね。

 

「マヤはヘキサリネの子供の扱いをよく分かっているな」

 

 ヴェルディ様がくっくと笑った。

 

「いや、あんな突貫小僧はイレムくらいでしょ。薬草採取クエストの時、他の子供はもっと行儀良かったですよ?」

「そうか? それじゃあ孤児院の子供達は随分と大人しい奴が多いんだな。それか院長の躾が厳しいのか」

 

 えっ、もしかしてイレムがヘキサリネの男子の標準!?

 そういえばリネールさんとか他の探検者(エクスプローラー)の男の人達も、やけにイレムに寛容だったのよね。昔の自分を見てるようだとか。

 まてよ? レオさんも同じようなこと言ってたっけ。ってことは、まさかアレが異世界の男子の標準?

 ……男の子の親にはなりたくないわ。

 

 皆はイレムの後を追って山の斜面を移動していった。

 

 

 

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