異世界のオキシジェン・デストロイヤー ~Fランクハンターだけど、大物狩る許可はもらってます~   作:RightWorld

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第155話「ミリヤ的な反撃」

 

 魔族と対峙していたヴェルディだが、攻勢に出られないでいるレオナルドとマヤに、ファイア・ドレイクの方が難儀と感じ取り、リエラの方へ振り向いた。

 

「こりゃあっちの方が一大事だ。リエラ嬢、フィリア嬢。レオナルド王子に加勢してくれ」

 

 リエラも同じ思いのようで、即座に頷いた。

 

「申し訳ありませんヴェルディ様。フィリア、噴進筒をあのでか物に!」

「は、はい!」

 

 フィリアはストレージを開けると、「こ、これくらい凄いの使わないとダメでしょうか」とか言って、巨大なロケットランチャーをぬっと出した。

 

「それだとレオさん達も吹っ飛ばしちゃいます! もっとこう、あるでしょう、ミリヤ的なものが!」

「で、ではこっちを」

 

 こちらも太いが、先端がガラス球になってて、何かちゃぷちゃぷと液体が波打ってるロケット弾が入ったランチャーを取り出した。

 

「で、でもこれって、もうちょっと近寄らないと届かないのですが……」

 

 と、お伺いを立てると、リエラはくいっとファイヤ・ドレイクの方へ指を向けた。

 

「それってやっぱり行けってとこですよね?」

「当然です」

 

 フィリアはファイヤ・ドレイクを仰ぎ見て涙目になる。

 

「私も一緒に行くから安心なさい」

「い、いえ、リエラ様を危険に晒すわけには、いきません」

「私が撃たないと、あなた階級差違反になるわよ。ギガント・ウルフはCランクなんだから」

「リエラ様だって、ファイヤ・ドレイク倒したら階級差違反になるのでは!?」

「あれと引き換えなら違反になってもいいわ。それかここにいるのは知った仲間だから、黙っててもらうか」

 

 フィリアは顔をふるふると左右に何度か振る。

 

「それなら私が撃ちます」

「フィリアかっこいい! ふふ、2人で撃ちましょう」

 

 フィリアは頬を染め目を潤ませる。意を決して2人は射程内に向けて駆け出した。それと同時にリエラが叫んだ。

 

「レオナルド様、マヤさん、そこから逃げて!」

 

 

 

 

 リエラが何やら叫んでいるなと振り向いたマヤとレオナルドは、物騒な雰囲気のものを担いでいるフィリアを見て、お互い顔を見合わせた後、一目散に駆け出した。

 ファイヤ・ドレイクは逃げた者には興味無いようで、向かってくるリエラとフィリアに敵愾心を向けた。

 

 ぐわおーーーーんっ!!

 

 威嚇するように吠える。

 

「ひいいいい!」

 

 威嚇されて怯えまくるフィリアの悲鳴がマヤの方まで聞こえてくる。だがまだ射程に入ってないようで、涙が糸を引きながらもなんとか走り続けている。

 まだ動けないファイヤ・ドレイクに代わって、ギガント・ウルフが迎え撃つべく走り出した。さすがにサイくらいのサイズの魔物が狼のように軽やかに走ってくるのを見ると、フィリアも耐えかねたようである。

 

「リエラ様、も、もうダメです、撃ちます!」

 

 急停止したフィリアはランチャーを上に向けて構えた。リエラが導火線に火をつける。

 

「これで撃ったのは私。あなたは発射台を支えてただけよ」

「どっちでもいいです! 早く逃げましょうーー!」

 

 シュバーー!

 

 ロケット弾は上に向かって放たれた。

 ただちにフィリアとリエラは元来た方へ向かって駆け出す。

 ロケット弾の白い煙が昇っていくのを、走りながら見たレオナルドとマヤは叫んだ。

 

「フィリア、何を撃った!?」

「ぜったいヤバいやつですよね!? 毒ですか? 酸ですか!?」

「両方ですぅーー!」

「どれくらい離れたらいいんだ!?」

「できるだけ逃げてくださーい! せめて私のところまで」

 

 そう答えたフィリアは、撃ったとたんにUターンしてリエラとともに全速で走っており、マヤはそれを追っかける形となっていた。しかもフィリアの方が早いようで、遠ざかっていくではないか。

 

「そのフィリアさんが逃げてるんですけどー! まってえーー!」

 

 見上げると、ロケット弾はロフテッド軌道のようなかたちで、高く上がってから下を向いて落ちてきた。

 

「大丈夫なのか!? 狙いってどうなってる!? 練習したんだろうな!? 今あの位置で合ってんのか!?」

「け、計算通りですー」

「俺の目ぇ見て言え!」

「振り向かずに全力で走ってください!」

 

 レオ達が大声で飛び交わしているその後ろで、ガラス球はファイア・ドレイクのやや手前の上空でパンッと弾けた。ヤバいと推測される液体が雨となってファイア・ドレイクの周囲に降り注いだ。マヤとレオナルドがさっきまでいた所にもそれは容赦なく降り注ぎ、ギガント・ウルフが液体を浴びてバタバタと倒れていく。

 フィリアに噛み付こうと追っかけてきていたギガント・ウルフも、毒液の雨を被って断末魔の悲鳴を一瞬だけあげると、すぐ動かなくなった。雨粒の当たったところには、溶けて小さな穴が開いていた。

 

 ようやく立ち止まったリエラとフィリアは、振り返りドレイクを見る。

 毒液の雨はファイア・ドレイクにも降り注いだ。だが表面に触れた途端、纏う炎によって蒸発してしまった。

 

「ふええぇ、ドラゴンには効きませんですぅ!」

「あの炎はやっかいね!」

 

 フィリアとリエラが悔しそうにする。

 そこにマヤとレオナルドが、ヘッドスライディングで息切れ状態でたどり着いた。後ろを振り向いたレオナルドは、無傷なドレイクを見てクソっと歯噛みする。

 わたしはハァハァと喘ぎながらフィリアさんにしがみつき、なんてものをわたし達がいたところに向けて撃ちこんでんですかっ、と涙目で訴えた。仕方なかったんですぅ、他に良いのがなかったんですぅ~と揺さぶられながら言い訳するフィリア。

 

 実体化が進むファイヤ・ドレイクは、口を開けてはオレンジ色の炎をボフッ、ボフッとやっている。

 

「転送が終わったら炎を吐いてくるぞ」

 

 ワイバーンのブレスでさえ、砲台一つを一発で焼き払う威力があったってのに、AAランクの魔物のブレスともなるとどうなることか。想像もしたくない。

 

 

 

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