異世界のオキシジェン・デストロイヤー ~Fランクハンターだけど、大物狩る許可はもらってます~ 作:RightWorld
結果として、レオナルド王太子殿下はヘキサリネに来て、2回も毒を浴びて死に損ねたことになる。アンフィスバエナの毒では腕を切り落とすかというところまで行ったし、ポイズン・ワームの毒では、領都の女性達をイチコロにしたお顔がぐちゃぐちゃになるところだった。
これって、かなりやばかったよね!?
王太子が損壊したら、ワリナ王国がだまってなかったよね!?
ヘキサリネやばかったよね!?
わたしのいた世界では、第一次世界大戦勃発の発端は皇太子の死だったもん。
まあレオさんの場合、自分から危険に首を突っ込んで死にそうになってるんだから、自業自得なんだけど。
そういったレオさんの決定的危機をいずれも救ったのは、瞬間解毒法力をもったリエラさん=マリエラ姫だったし、傷跡も残らずに済んだのは、サンドラちゃんが開発に成功した超回復ポーションのおかげだった。
そしてレオナルド王太子=レオさんが
日もだいぶ傾いた頃、わたし達はキャンプ・スプリングに到着した。
そこで首を首長竜にして待っていたワリナの馬車とお連れ様方に、見かけ上は少し埃が付いただけのお綺麗なレオナルド王太子殿下をお返しすることができた。
レオさんの黒塗りの馬車の前で、ヴェルディ様が頭を下げた。
「レオナルド王太子、今日……に限らず、滞在中は随分と助けてもらった。大変感謝している。マリエラ姫にもだ」
レオさんはそれはそれは満足そうに笑顔でふんぞり返った。
「そうだろそうだろ。ヴェルディ、これは貸しにしとくからな」
まるでイレムが大きくなっただけみたいだが、ヴェルディ様は嫌な顔せず、笑みを浮かべた。
「領都存亡の危機への借りか。こりゃ相当高くつきそうだな。それにしてもレオナルド王子。国に帰ればもう王太子として
レオさんはばつの悪そうな顔に加え、少し影を落とした
「確かに、帰ればもう次期当主として国のために政務、軍務に専念せざるを得なくなるだろう。親父の片腕として、親父の家臣、貴族、民、領土を率いてな。だがそれではだめなんだ。親父から王位を受け継いだ後、親父についていた連中が俺にもついてくるなんて保証がどこにある?」
「ワリナって、そこまで内輪の仲悪いんですか?」
さっきも国内が一枚岩じゃないってことばれちゃったし。
「マヤ。この世界で本当の腹心、仲間になる者は、共に死線をくぐった者でないと信用できねえ。
ケンやクーノは、例え自分の家が俺に楯突こうとも、家を捨てて俺の側につく。それくらいアイツらとは深く絆を結んでいる。そういう俺独自の繋がりや仲間を、俺自身の力でもっと持つ必要があった。
今回は平和裏に国外に出られる最後の機会だった。戦さが起これば、もうこんなのほほんとした外遊などあり得ん。俺にとっておそらくこれが最後の機会だったんだ。国外に足がかりを作る最後の機会だった」
「お嫁さん探しとか、ミリヤのお姫様の品定めじゃなかったんですね」
猛烈に殺気立った視線を放たれて、わたしは飛び上がる。
「し、信用できる人脈作りのために、無理して頑張っちゃったってことですね! なんたる勇気、行動力!」
命の危機に直面し、わたしはぱちぱちと手を叩いて一生懸命持ち上げる。
忌々しい奴めという目で見下ろされるが、鉄拳は落ちなかった。
「……頑張ったかいはあったさ」
そう言ってレオさんは、リエラさん、ヴェルディ様と巡に目を向ける。ヴェルディ様は後頭部を掻いた。
「まったく、こいつは高くつくと決まったようなものじゃねえか」
そしてわたしにも、さっきとは違った目を向けた。
「え、わたしも!?」
「Sランク
「オキシジェン・ビーナスを危険極まりない!?」
知ってるけど、一応抗議しておく。
「でも、三国が仲良くなるなら、わたしも頑張りますよ」
わたしの答えにレオさんは二ッと口端を上げると、再びヴェルディ様に向く。
「俺が何か頼みに行ったときは断るなよ?」
「ふふっ、いつでも頼れ」
ヴェルディ様は笑った。
「ヴェルディ様。わたくしも貸しを作ったと思いますの」
そう言ってくいっと顔を近付けてきたリエラさん。便乗して、自分も恩を売ったことを認めさせようというのだ。レオさんは「当然だな」と高笑いする。ヴェルディ様は眉を下げ、やれやれと肩をすくめた。
「マリエラ姫もな。いつでも頼ってくれ」
「はい。有効に使わさせていただきます」
「なんか、こっちの方が怖えぇな」
わたしは嬉しくなった。
三国はきっと一つになれる。サンドラちゃんを見ると、同じ様に笑顔でわくわくした顔をこっちへ向けた。
「マヤちゃんが思ってたようになりそうだね」
「ほんとね。よかったあ」