異世界のオキシジェン・デストロイヤー ~Fランクハンターだけど、大物狩る許可はもらってます~   作:RightWorld

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第193話「マヤちゃん、第二次成長期のお悩みに対処する」

 

 石山の爆破は意外というか、やはりというか、スムーズに進んだ。

 

 表向きはヘキサリネ軍による演習ということになっており、近隣には岩の破壊や崩した岩の運び出しが行われるので、危険だから近寄るなとアナウンスされた。砕かれた岩は領都軍が運び出してくれるので、マヤ達は爆破に専念するだけである。

 

 結局爆破は3日で終わってしまった。

 

「それじゃすみませんが、破砕した岩の搬出はお願いしまーす」

「おう、任せとけ」

 

 サムズアップしたのは、ヘキサリネ軍の工兵隊の人である。彼らにとってはこれは訓練なのである。彼らは北の森のスタンピードでも活躍しており、進路上の岩をどけたり、穴をふさいだり、橋をかけたりなどをする特殊な兵隊で、『リフト』や『排土板(ブレード)』などの法力を持った人が集まっている。

 

「どれくらいかかりますかねえ。1週間くらい?」

「2、3日だろう」

「そんなに早く!?」

「まあそれぐらいで見といてくれ」

「ふええ、凄い人達だなぁ」

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 翌日。

 

 マヤは朝食後の朝会で、奴隷達と今日の予定を確認し合った。

 

「マルリーゼは探検者(エクスプローラー)ギルドに行って、孤児院パーティー宛てにディオネアの枯れ葉の採取を発注してくんないかな」

「孤児院パーティーにですか? 素材屋から買うのではなく?」

 

 マヤの右前の席で姿勢を正して座っているマルリーゼが聞き返す。

 

「大量に揃えないとだから、お店に頼むと目立つでしょ。何に使うのか感付かれたくないのよね」

「なるほど。しかし子供達だけで揃えられるでしょうか」

「分かんない。足りなかったら商業ギルドの懇意にしている人に相談してみるけど。ノーバート、どれくらいいるのかな?」

 

 マヤの前にどっかり座っているノーバートに尋ねる。

 

「設計してみないと何とも。そのためには建設用に整地される敷地がどれくらいの大きさか測らないとです」

「測れるのは破砕した岩が取り除かれてからかあ。ま、とにかく孤児院パーティーへの指名依頼はしてね、マルリーゼ」

「承知しました」

「俺は検証用にディオネアの枯れ葉を入手して、性能をもっと正確に把握しておきます」

「分かった。お金は使って構わないからね、ノーバート」

「ははっ!」

「次にノアナ。例の試作品はできた?」

「完璧」

 

 リリーを挟んでマヤの左端にいるノアナがサムズアップする。

 

「リリーも縫うの手伝ったのよ!」

 

 ノアナのサムズアップにリリーの顔が被さる。

 

「おー、偉い偉い。二人ともさすがは服飾屋の娘だねえ」

 

 リリーとノアナの頭をなでなでする。マヤの右隣のカルラにも笑顔を向けると、カルラは顔をちょっと赤らめて恥ずかしそうに微笑んだ。

 

 実は三姉妹のうち年上のカルラとノアナが、体の傷が治ったことでそれまで気付かなかった痛みを気にしだしたのである。マヤは対策方法に心得があったので、それの実現のため服飾工房で手伝ってた経験を持つ彼女らに、とある服の試作をやらせてみたのだ。ノアナがいろんな服の型紙を覚えているというので、その中からマヤの考えてる服に近いのをおこしてもらい、そこに改良を加えたのだ。

 

「それじゃ試作品を持って出かけるよ。まずは孤児院。カルラ達三姉妹は、一緒に行ってお友達を作ろう。孤児院には同い歳の子がたくさんいるからね。それでシモーナって子を連れて服屋さんに行くよ」

 

 シモーナが耳の聞こえない子で、喋れないけど、魔物と法力で話ができるかもしれなくて、服屋の裁縫クモさんに引き合わせて、本当に法力か確かめたいのだと、連れ出す訳を伝えた。

 

「「「分かりました!」」」

 

 同年代の友達ができるかもしれないことに、期待でワクワクする三姉妹。

 最後にノアナの前の席で、もじゃもじゃの髭の中に果物を次々と消しているトムトへ。

 

「トムトもわたしらと一緒に孤児院に行って、男子をどっかに連れ出しちゃって。女の子だけで秘密の会議をしたいから」

「あのサル共の相手を一人でせいっちゅうんか。随分と年寄りに酷な命令じゃのお」

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 さっそくマヤは三姉妹とトムト爺さんを連れて、孤児院に向かった。

 

 到着すると、マヤは今日来た目的を院長先生に伝えた。院長先生は驚いていた。なにしろ生きる上で必須な事柄ではない。お金がかかるのではと余計な出費の心配するので、寄付するから大丈夫と安心させる。

 孤児院の財布の紐を締めに締め続ける院長先生だが、孤児院もそろそろ、生きるのに精一杯な段階からゆとりある生活へと次のステップへ移行していい時だと思うんだけどと、マヤも苦笑いする。

 

 そしてカルラ達三姉妹奴隷をみんなに紹介した。

 

「「「よかったらお友達になってください」」」

 

 マヤの自慢の美人奴隷三姉妹がバチコーンとウィンクすれば、男子共は赤くなって口元を緩め、女の子達はわあっと喜んだ。

 

「カルラちゃん達とは、石山で道にはみ出た岩を一緒に片付けた時に、もうお友達になっただわね」

「あの時はあたし達が受けたご主人様の命令を手伝ってくれて、ありがとう」

「マヤ姉のしでかした尻ぬぐいくらい、あたいらに任せてだわね」

「マヤ姉様とは昨日今日の仲じゃないもんねー」

「マヤ姉様はいつもやり過ぎちゃうからねー」

 

 言葉を返せぬマヤは額に汗をかく。

 一方の男子達。

 

「やべえ、うちの女どもと違ってすごい美人だぞ」

「あの真ん中の子、クールでかっこいいな」

「下の子の笑った顔、か、可愛いんだけど」

「いてえなシモーナ! なんで足踏むんだよ、聞こえてないはずなのに」

 

 なんとか仲良くなろうと歩み寄ろうとする、特に年長の男子。

 しかし無常にも男子は全員、お近か付きになる前にトムトに連れ出されてしまった。

 

 トムトが男子集団を連れて孤児院を出ていくのを見届けると、マヤは女の子達を多目的室(食堂ともいう)に集めた。

 

「マヤお姉ちゃん、女の子ばっかりにして、どうしたのー?」

「実はね、今日はおっぱいのことで来たのよ」

「「「きゃーっ、マヤ姉さまのえっちーっ」」」

「ち、違うのよ!」

 

 きゃーきゃーいう女児達をなんとか鎮める。

 

「こないだニーシャ、お胸触ると痛いって言ってたよね?」

「あ、あの時だわね? ……うん」

「何の時?」

「ま、まあなんでもいいだわね」

 

 レイヤに聞かれたニーシャは顔を逸らした。

 

「(こしょこしょ)きっとイレム兄に押し付けてる時だよ」

「(こしょこしょ)ニーシャ好きだよねえ、イレム兄」

「(こしょこしょ)ほら最近大きくなたから、アピールしてるんだよ」

 

 年少の娘達が小声でなんか言っている。

 

 ニーシャぁ、あんたみんなにもバレてんじゃんっ。つーかあんたから誘惑するなあ!

 

「と、とにかく女の子にとってお胸は大事なのっ。大切に扱わなきゃダメだよ。赤ちゃんができたらミルクを作って飲ませてあげるところなんだから」

「それは知ってるよー」

「でもいきなりミルクが出るようになるわけじゃないよね。それは、まだお胸が膨らんでない時から準備が始まってるのよ」

「あたしも?」

「君はどうかなー。お胸を押したら痛いとかチクチクするとかコリコリ硬いものがあるとか、あと先っぽが服にすれてかゆい痛いって人、いたら手を挙げて」

 

 年中組の大半と年長組が手を挙げた。

 耳の聞こえないシモーナは、ボードでの筆談と唇の動きから読みとるので、少し遅れてから顔を赤くして手を挙げた。

 

「ふむふむ。日本人より成長早いみたいね。みんな正しく成長してるから安心して。うちのカルラとノアナもなのよ」

 

 カルラとノアナが胸に両手を当てて話しをする。

 

「寝てるとき下向くと、ずきずきして寝返りしちゃうことがあるんです」

「服がすれて気になってしかたがない」

 

 そうなのだ。成長期でおっぱいがおっぱいになろうとしてるのだ。しかし初期の敏感な頃に、適切な服がここにはないのである。

 

「心配ないよ。それがお胸の中ではもう準備を始めてるって証拠だからね」

「あたいとレイヤは布を巻いてるだわね。こすれても痛くならないように」

「ニーシャはもうブラでもいいんじゃないかなあ」

「高いだわね」

「そうねえ。まあブラは稼げるようになったらかぁ」

「マヤ姉さまはどうしてるの?」

「わたし!? わ、わたしは大人だから、ブラ着けてるよ」

「「「ふう~ん」」」

 

 皆はマヤの胸をじーっと見つめる。

 

「なにその疑いの目は!」

 

 べつに~ぃっとあっちこっちへ目を逸らす子供達。

 

「と、とにかく、今日は、敏感なところが服に擦れて気になるようになった子に、お胸に優しい服っていうか、肌着だね。それを作ってあげようと思って、これから服屋へ行くの」

「あたい達のために作ってくれるの?」

「カルラとノアナも同じ悩みがあるから、どうせなら一緒にやった方がいいと思ってね。ゆくゆくは世の女の子全般のためにだね」

「マヤ姉も使うの?」

「うん。わたしも使おうと思ってるよ」

「マヤ姉さまが使いたいから作るんだ」

「合うサイズのブラがないのかな」

「ち、違うよ! けっしてわたしそこまで胸小さくないからね! わたしでも使いたくなるような良いものを作るってこと!」

「どんなのなのー?」

「それほど変わったものじゃないよ。ノアナ見せてあげて」

 

 ノアナは、ぱらりと白い服を2つ広げた。

 

「形はこういうの」

 

 いわゆるキャミソールとタンクトップだった。ただしどっちもカップ付きというのがミソなのだ。

 

「今着てるのと変わんないよ?」

「でも肩ひもが細い方の、ちょっと大人っぽくない?」

「ちなみに、型紙はこういうの」

 

 ノアナは服の部品が1枚の紙に隙間なく書かれているものも取り出した。ノアナは親の仕事を手伝った時に、いろんな服の型紙を覚えたのだ。

 

「これを線に沿って切って、縫い合わせると服になる」

「へえーっ、これがあれば服作れるの!?」

「服買わなくていいの!?」

「買わなくていいけど、縫う技術が必要だよ。みんなは縫い物したことある?」

 

 カルラが聞くと、穴の開いた服にパッチを当てるのは年長の子だとやってるようだった。

 

「じゃあ少し練習すればできるかもね」

「ねーねー、これ胸のところがふかふかしてるー」

 

 キャミソールを触ってる子が言った。マヤはにっこりすると、そこが重要なのよと言った。

 

「これはイメージを持ってもらうための試作品だから、内側にブラのカップを後から縫いつけてるんだけど、製品は最初から一体型にして作るつもり」

 

 ニーシャとレイヤも触ったり胸に当ててみたりした。

 

「おっぱいが包まれて安心だわね」

「肌ざわり良いね。これなら痛くなさそう。でも汗かかない?」

「汗の吸収が良い素材を使うよ」

「あたしにはぶかぶかだー」

「まだ胸が膨らんでない子には、ふかふかしてるだけのを作るよ」

 

 きゃっきゃと話しているのを聞いていると、みんなできあがるのを楽しみにしてるようだった。

 

「それでね、シモーナには一緒に来てもらいたいんだ」

 

 シモーナは、自分を指差してぽかんとした。

 

「これから行く服屋さんには、裁縫をする魔物のクモさんがいるから、シモーナが裁縫クモさんと話ができるかも確かめようと思って」

「そっか。シモーナは魔物と話せる法力があるかもしれないんだわね」

 

 シモーナと同い歳のリリーが、シモーナの手を引いてマヤのところまで連れてきた。カルラとノアナもにっこりと笑って迎える。

 

「それじゃ、シモーナ借りるねえー」

「「「「いってらっしゃーい」」」」

 

 

 

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