異世界のオキシジェン・デストロイヤー ~Fランクハンターだけど、大物狩る許可はもらってます~   作:RightWorld

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第22話「皇帝に呼び出される可能性大! しかしそれ以上の衝撃が…」

 

 街道を領都へ急ぐ1台の荷馬車。

 

「何だって、トロの弟子!?」

 

 チェスター中佐の驚く声が、横を行く騎乗のサラにも聞こえてきた。サラは中が見えないにもかかわらず、荷馬車の幌に顔を向けてしまった。

 

 馬車の中で、わたしはチェスター中佐にいろいろ問い詰められる途中、ぽそりとその事を口にしただけだったのだけど、チェスター中佐は聞き逃さず、しかも大変な食いつきをされた。

 

「東国の勇士のトロ様か!」

「し、知ってるんですかぁ?」

「ミリヤの旅伝道師の話に出てくる勇士の1人として、ミリヤでは名の知れた人だ。魔物の軍勢を窪地の沼に誘い込み、火山を噴火させて殲滅したという物語で、3人の勇士が出てくる。そのうちの1人です」

 

 それってお肉問屋の人が言ってた話だよね。大げさに飾り立てられた話って受け止められてたようだけど。

 

「12年前に実際起こった事とされていますが、市中ではお伽噺のように扱われています。当時、私はまだ駆け出しの騎士だったので知りませんでしたが、近衛師団に入って佐官に昇進してから、それが事実らしいと知りました。当時近衛師団は、出撃準備をして臨戦態勢をとっていたのです。結局出撃はなかったのですが、話から察するに、三勇士が方をつけてしまったのでしょう。真相は皇帝とその周辺しか知らないようです」

 

 そこでチェスター中佐は目をキラキラさせて、わたしに迫ってきた。

 

「あれは事実なのですね!?」

 

 中年のおじさんが、真相を知りたがってる子供のようになっていた。他の2人の騎士も次の言葉をワクワクして見守っている。副団長になっても知らされてないらしい事柄のようだから、そりゃ当事者に近い人間を目の前にしたら興奮もしようというものか。だけどごめん、わたしも真相を知りたい。

 

「ごめんなさい。わたしはお師匠様、トロ様の弟子になって日が浅いので、その話を聞いてないのです」

 

 チェスター中佐は全身から心底がっかりしたオーラを出して、首を(もた)げた。

 

「マヤ殿は本当にトロ様の弟子で……いや、さっきのあの不思議な法力、弟子という話に間違いはなさそうだ。貴女の法力は何なのです?」

「秘密です。ハンターの能力は明かす必要はない、聞くも不粋、なんですよね?」

 

 ヘキサリネのローカルルールじゃないよね? チェスター中佐が実に悔しそうな顔をしているのを見ると、ローカルルールではなさそうだ。

 

「でも、お師匠様ならできると思います。聞いた感じの戦場の様子から想像するに、やってる様が見えますね」

「どうやったか分かるんですね!? 貴女もできるんですか!?」

「いやあ、修行中のわたしには、とてもとても」

 

 できますなんて言いようもんなら、ミリヤに連れてかれて兵隊間違いなしだ。拒んだら、我が国にとって危険人物って言われて殺されるかも。ヘキサリネの領主様やハンターギルドのマスターは、オキシジェン・デストロイヤーを知ってるっぽかったけど、もしかするとできる事の一部しか知らない可能性があるな。かく言うわたしも、まだ把握しきれてないのだし。

 

 トロ様のやった事は、水素爆発だろうと想像できる。沼の水から酸素を取って、残った水素に火をつけたんだ。だけど勇士は3人いたんだよね? 東国三勇士って言われてたみたいだし。そうすると共同で戦った可能性が高いな。だとすると火山噴火のような爆発は3人の法力の相乗効果? 水素爆発以上の事をやらかしたのかもしれないね。相手は魔物だったようだから、単なる水素爆発くらいじゃ倒せなかったのかもしれない。

 

「そうですか。でも火山噴火のような攻撃があり得たというのは収穫です。これで12年前にミリヤに危機が迫っていたらしい事も、事実らしいと確信を持てました」

 

 チェスター中佐は断片的情報から、副団長クラスでも秘匿されているらしい当時の情勢を垣間見れたようで、少し満足したみたいだった。

 そしてわたしにとっても、チェスター中佐との会話は有用な情報だった。お師匠様は、かつての魔物退治した地方に再び出向いていたって事だ。12年前の事と関係あるんだろうか。向かっていたきっかけはあの手紙の内容なんだろう。来てくれとは書かれてなかったけど、手紙の差出人の所へ訪問しようとしてたし、わたしにその人の頼みを聞いてやってほしいと言い残したのだから。何か重大な事が起ころうとしているんじゃないだろうか?

 これはますます差出人の所へ行く必要性がありますね。

 

「ところでマヤ殿。昨夜私はミリヤへの訪問を打診しましたが、トロ様の弟子となると、これはもう正式にご招待する事になるかと思います」

「え! 招待!? 何で!?」

「12年前、先の三勇士は皇帝に謁見しております。記録があるので間違いありません。どの様な用事でというのは記録にないのですが、三勇士の行った事が事実となると、報告や褒章だったのかもしれません。弟子とはいえ、そのような方の弟子ですから、皇帝のお耳に触れれば呼んで来いと仰せになるのは明白。覚悟しておいて下さい」

「ええー。お耳に入れないようにしていただけませんかねぇ」

「見逃していたなどとなれば、私の首が飛びます」

 

 また嫌な汗が吹き出してきた。また国家元首に呼ばれるかもとか、なんなん! お師匠様、一般市民にはあまり知られてないくせして、国のトップには何の有名人!? こっちの身にもなってよ! 生き返ってえ! 生き返りの術とかの法力持ち、本気で探したろかい。

 

「と、ところで、三勇士のあとの2人って、どなたなんですか?」

「確か名前は……『ガリ』『テッカ』だったかと」

「な、なんですかそりゃあ!!?」

 

寿司か!

お師匠様、マジでマグロ!?

 

 

 

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