異世界のオキシジェン・デストロイヤー ~Fランクハンターだけど、大物狩る許可はもらってます~   作:RightWorld

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第83話「危険地帯で他のパーティーと情報交換中です」

 

 野営地で出会った薬草採取パーティー『ブルーライン』とその護衛達との情報交換は続いていた。

 

「魔物は出なかったのですか!?」

 

 護衛らしいひょろりと背の高い男の人が聞いてきた。護衛側としては気になるのはそっちだろう。ごつい筋肉隆々の人が、わたし達の答えを待たず結論付けた。

 

「採ってこれたという事はそうに違いない。あんたらラッキーだったな」

 

 当然そんなことはなかったので、レオさんは否定した。

 

「魔物? 魔物なら随分と出たぞ? クモやらウルフやら」

 

 するとイレムが我が事のように自慢気に話し出した。

 

「クモはな、3種類も出たんだぜ! Dランクのタイガー・スパイダーに、Bランクのラトロ・アトレイタだろ。それにカメレオ・タイガー・スパイダーまで出たんだ! しかもラトロ・アトレイタなんかスタンピんぐんごごご!」

 

 それは言わんといてください。っていうか言わない方がいい。どうやって始末したんだって話になって、面倒な事になる。

 余計な事をしゃべりそうになったイレムを、わたしとリネールさんで慌てて押さえつけた。

 

「それじゃあ、あんたらにもやはり魔物は出たのか」

「ああ。全部排除したがな」

「確かあんたらはAランクパーティーだったんだよな?」

「さすがはAランクパーティーだ!」

「まあこっちには1人、かなり非常識なのがいたからな」

 

 そう言ってチラリとわたしを見るレオさん。

 

「誰の事ですかそれ」

「ところでお前達は? それとそっちの状況がどんなだったかも聞きたい」

 

 わたしの抗議はあっさりスルーされ、自己紹介となった。

 

「ああすまん。申し遅れたが、俺は西街道調査を請け負ったBランクパーティー『トラの爪』のリーダー、バーガーだ」

 

 バーガーさんは腕も足も太い、筋肉の塊のようなパワー系探検者(エクスプローラー)だ。メンバーは5人で、全員同じ様な体型をしている。1人女性がいるが、この人も腹筋がバキバキに割れたアマゾネスだった。

 

「そしてここにいるのは、薬草採取パーティーの『ブルーライン』と、その護衛の『ホワイトガーディアン』だ」

「『ブルーライン』のリーダーのオスカです」

 

 オスカ君はサンドラちゃんとは既に面識がある15歳の男の子だった。15歳とは思えぬほどしっかりしている。

 

「Cランクパーティー『ホワイトガーディアン』のリーダーでBランクのニエミネンです。よろしく」

 

 こちらはひょろりと背の高い青年。メンバーは5人で、どの人も細身で色白。弓を持った女性が1人いた。

 続いてわたし達の方も名乗った。

 

「レオだ。こっちはクーノ」

「リエラよ」

 

 レオさん、クーノさん、リエラさんは握手を交わす。

 

「あ、ええとわたしは……」

 

 わたしも護衛メンバーなんで挨拶しようと手を伸ばした。

 

「おう、子供はちょっとあっちで遊んでな。今重要な話ししてんだ」

「むわ!? わたしは大人です! 護衛担当だし」

「は? お前が護衛だあ?」

 

 薬草取りの子供と思われてたらしい。

 ムカッ。リネールさんが口元を歪ませて笑いをこらえてるのが目の隅に入った。

 

「マヤ姉ちゃんはデストロイヤーなんだぞ!」

「違うよ、破壊神(ザ・デストロイヤー)だよ」

「Bランクの魔物だって瞬殺するんだぞ、破壊神(ザ・デストロイヤー)だから!」

 

 後ろから孤児院の子達が援護してくれるが、間違っってる。

 

「やめてええ!」

 

 教えてもないのに、いつの間にか孤児院の子には、デストロイヤー=わたしで定着してるし!

 冗談じゃないわ。わたしは女神と言われたいのよ!

 くそう、せめてデストロイヤーってところだけでも正しておかないと。

 

「お、おほん。わたし、重巡マヤです。ヨロシク。デストロイヤー(駆逐艦)じゃありませんから」

 

 そうなのだ。元いた世界では、わたしはフネを擬人化したキャラに似てるって言われてんのよ。

 ……擬人化したそのキャラを子供っぽくしたらって但し書きが付くけど。

 

 レオさんとクーノさんは、また変なこと言い始めたという顔をしている。リエラさんも今回はさすがにそっち側にいた。

 

「ジュージュン・マヤ? 変わった名だな。見た目といい、この辺のもんじゃないな」

「そうです。遥か東から来ました。わたしの民族、ヤマトナデシコは実年齢よりずっと若く見えるんです」

 

 うさん臭そうな目を向けてくるトラの爪の人達。

 

「ふーん。それでランクは?」

「Fですよ」

「F!?」

「それじゃ護衛できねえだろが!」

「舐めてんじゃねえぞゴラァ!」

 

 筋肉の塊が輪をかけて凄んでくる。ブルーラインのオスカ君は少し顔を青ざめて、護衛の人の袖を引っ張った。

 

「ちょ、ちょっと待ってバーガーさん。サンドラのところにいるFランクの女の子っていうと、ひょっとすると……」

 

 凄むみんなを前に、わたしはニヤリと笑ってハンターギルドのカードと、ヘキサリネ特有の仕事許可一覧カードを見せた。

 

「ふふん、ちゃんと許可もらってますよホラ」

 

 トラの爪とホワイトガーディアンの面々は、疑わしげにカードを覗き込んだ。

 が、急に目の色を変えた。

 

「おい、4階級差違反制裁中ってあるぞ」

「階級差違反? なにぃ、4階級だって!?」

 

 え、そっちに反応!?

 

「噂になってたのはお前か!?」

 

 とたんに皆の態度が変わった。

 

「わ、悪かった。そりゃあ危険地帯での護衛を任されて当然だ」

「4階級も違反するほどの猛者だ。魔物のクモくらいでビビるわけねえよな」

「知らなかったんだ、許してくれ。確かアンリミテッド・パーティーもあるんだよな?」

「アンリミテッド・パーティー? げえ、本当だ!」

「あわわわ、お前ら、怒らせちゃだめだぞ。4階級差違反なんてするのは普通の神経じゃできん。その意味わかるな?」

「ひい!」

 

 何なんですかこの反応は。間違って付いちゃった変な箔に、みんな引いてますよ。ホワイトガーディアンの若い人なんか、後退りしてるし。前科を自慢してるカタギじゃない人みたいで嫌なんですけど。

 ムカァ! リネールさん、木に手をついて爆笑してるし!

 

「まあそういう訳だ。よろしく頼む」

 

 そう言ってレオさんは話を纏め、先を促した。

 

「それでそっちの状況は?」

 

「あ、ああ。知っての通りタイガー・スパイダーが荷馬車を襲ったため、西街道はBランク以上がいる護衛パーティーがないと入れなくなった。薬草採取パーティーの『ブルーライン』が当初連れてきた護衛では先に進めず、ウェスト・(フォー)でBランクの護衛パーティーが来るまで1日待たされることになった」

「ウェスト・(フォー)?」

「領都の西4時間の事だ」

「あの道の駅、そんなカッコイイ呼び名あったんですか」

「道の駅? 確かに馬車の駅でもあるが、道以外に駅ってあるのか?」

「あ、そこはわたしの国のことなんで聞き流してください。それにしてもリエラさんの予想通りでしたね」

 

 わたしが仰ぎ見ると、リエラさんはうっふんと鼻を高くした。

 

「連絡を受けたギルドは、護衛のパーティーに加えて西街道調査のパーティーも送る事にした。それで我々が来たと言う訳だ」

「西街道調査ってのはなんだ?」

「西街道調査は、次の町まで歩いて、街道と街道周辺の様子を確認するのと、危険があれば排除するというものだ。ブルーラインが目的地にしてる薬草採取地の湖までは道が同じだから、俺らも一緒にウェスト・(フォー)を出発したんだ」

「ところが、途中で何度も魔物の襲撃に会い、さらに採取予定地の湖にはクモの群れがいたものですから、これを排除しないとアイポメアニールを採れないという事で、西街道調査パーティーにも討伐に加わってもらったのです」

「何とかクモの群れを退治し、アイポメアニールを採ることができたのですが、その時の戦闘で両パーティーともだいぶ負傷者を出してしまいまして」

「この魔物の出現具合では我々も街道調査は続行できないと判断し、全員でウェスト・(フォー)へ引き返そうと言うことになったのだ」

「帰りにもまた同じように魔物が出たら、私らでは護衛しきれないかもしれなかったので、戻ると言ってくれた時には助かりましたよ」

 

 ふうむ。あちらも魔物が頻繁に現れて大変だったようだ。

 

「どんな魔物がどれくらい出たんだ?」

「道中出たのはゴブリン、サンダー・ウルフ、タイガー・スパイダーといったところだ。群生地の湖にはラトロ・アトレイタが群れになっていやがった」

「1匹カメレオ・タイガー・スパイダーが混じってまして、これにかなりやられました」

「ふむ。ゴブリン以外はこっちに出たのと同じ魔物だな。数は?」

「カメレオ・タイガースパイダー以外はいずれも5匹です。」

「全部で21匹か。Bランク混じりで代わるがわる出てこられると、結構面倒な数だったな」

 

 こっちには魔物探知のイレムがいたからいいけど、いつ出るかわからずびくびくしながら進むのは、精神的にも堪えたろうなと思う。

 

「そちらは?」

「クモなら20匹くらいか?」

「ウルフは50頭いましたからねえ。誰かさんが一瞬でやっつけましたけど」

 

 レオさんとリエラさんが軽くそんな事言うものだから、驚愕して顎を外しそうになってた。

 

「と、とにかくお疲れでしょう。奥へ入って下さい」

 

 ニエミネンさんに促されて、わたし達は野営地の奥へと入った。

 

 

 

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