異世界のオキシジェン・デストロイヤー ~Fランクハンターだけど、大物狩る許可はもらってます~   作:RightWorld

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第93話「領都に帰ってきましたー。フィリアさんの帰還報告 ~その3~」

 

「続いて護衛パーティーへの報酬です」

 

 報酬を受け取った薬草採取パーティーの興奮がまだ冷めやらぬ中、ケイトさんの声が響きました。買取カウンター前は少し静かになります。

 

「西街道の護衛パーティーは、討伐ランクB以上と指定が入って難易度が上がったので、依頼料を1日金貨1枚にいたしました。指定が入った2日目から適用するので、レオ様とリエラさんのところのパーティーの報酬は、金貨6枚と小金貨2枚になります」

 

 お、おおー! 1日金貨1枚ですか!

 小金貨なら10枚。2日で薬草採取パーティーの全報酬にほぼ追いつきます。やはり高ランクなパーティーは報酬額も高くなるのですね。

 予定通り私が護衛をやっていれば、それをいただけたのですか。マヤさんと交代したのが悔やまれ……いえいえ、そもそも私が護衛側にいたら、ランク不足でテオさんのように危険地帯には入れなかったのですよね。

 

 ブルーラインを護衛したホワイトガーディアンの方達も報酬を貰いました。

 トラの爪は、次の町までの街道の調査と安全確保という依頼を受けていましたが、依頼のうち次の町までの安全確保という部分は未達となりました。ですが、出てくる魔物の情報と、Bランクパーティーでも行くのは厳しいという街道の状況結果を持ち帰ったことで、完全成功報酬の半分を受け取りました。

 

 さて、ここまでは依頼に対する報酬です。ここからは各パーティーの力量によるプラスアルファ部分となります。

 

「護衛報酬とは別に、買い取りに出す物があれば、買取カウンターへお出しください。査定いたします」

 

 すかさずレオ様が、沢山あるぞと答えました。

 

「フィリア、獲ったやつを出してくれ」

「承知しました」

「俺達の護衛2パーティーは、結局終始協力してリトルウィングと孤児院パーティーを護ったので、両護衛パーティーで獲ったものは山分けすることにした」

 

 レオ様に呼ばれ、私は買い取りカウンターへ行くと、ストレージを開けました。

 

「預かっておりました物をお出します」

 

 まずはスパイダーの脚を次々と取り出します。するとイレムさんがやって来ました。

 

「なあレオ兄ちゃん。孤児院への土産に何本か貰えないか?」

「イレムが横取りしないで、皆にちゃんと食わせるって約束するならやってもいいぞ」

「よ、横取りなんてしねえよ!」

 

 イレムさんは、俺がそんなことする人間に見えるか!? とか言います。

 見える、と言いたいところですが、確かに食べ物を横取りするところは見てないですね。どうも普段の素行があまりよろしくないので、悪い印象を持ってしまいます。

 

「本当だな? それじゃフィリア。タイガー・スパイダーとラトロ・アトレイタ、それぞれ1匹分、売らずに残しといてくれ」

「承知しました」

 

 周囲から、ラトロ・アトレイタまで孤児院にあげちまうのかよと、ざわめきが聞こえてきます。そりゃあ貴族やお金持ちの商人に卸すような食材ですもんねえ。

 ラトロ・アトレイタの焼いた脚が屋台で売られるなんてことは、まずありません。ギルドでの買取額は1本小金貨1枚といったところでしょうが、調理されて店で出されるときはその何倍にもなります。野営の夕食で出されたクーノさんの竈で焼いた脚が、もし屋台で売り出したならいくらくらい値がついたでしょう。美味しかったですね。

 

「クーノさんの竈での焼き方は大変参考になりましたね。あの技術、私も吸収して料理スキルを上げさせてもらいます」

「スキルだって!」

「へえ! フィリアさんの料理スキルはもう最上位だと思ってたのに、まだ上がるんかい!?」

 

 私の呟きを聞き逃さなかったマヤさんとリネールさんが、また私で遊ぼうとします。なんなのでしょうこの人達は。リネールさんも実は子供だったりするのでしょうか。

 おっと、もう査定されたようです。

 

「タイガー・スパイダーの脚が56本。ラトロ・アトレイタの脚が16本。買取額は全部で小金貨44枚じゃな」

「ほう。道中で随分食ったんだな。持って帰るスペースがあるか分からなかったから積極的に消費したせいだな。分かった。フィリア、次頼む」

「は、はい。少々お待ちください」

 

 レオ様にせっつかれてしまいました。メイドたる者、先回りしてお手を煩わせないようにしなければならないというのに、マヤさんには乱されてばかりです。いけません、子供に引っ掻き回されてばかりはいられません。

 さあ次はゴルゴノプスです。

 牙が利用できる頭と、食料になる胴体と脚とに解体してあって、傷まないようにマヤさんの超冷たい青い氷で冷やしてあります。

 

「これは討伐依頼が出ておった奴じゃの。大きいのう。頭は5つあるが、体はどうしたんかの?」

 

 青い氷を回収しに来たマヤさんが説明しました。

 

「5頭がラトロ・アトレイタに捕まってたんです。2頭はフィリアさんが超美味しい料理にして皆で食べちゃったから無いです」

「超美味しい……」

 

 う、うへへへへへ。

 はっ! いけません! 子供の素直な感想にいちいち歓喜していてはなりません。大人の落ち着きを見せないとです。

 

「これって討伐の報酬は出ないんですか?」

 

 マヤさんは抜け目なく聞いてきました。

 くっ、私でも気付かなかったことを。少し悔しいです。

 

「討伐依頼を受注しとらんなら討伐報酬は出ないのお。素材の買い取り報酬のみじゃ」

「まあしかたないか。それにしたって、依頼受けてたテオ君達にとっては、横取りもいいとこだもんね」

 

 マヤさんが私に同意を求めてきました。

 

「そ、それはエリア侵入規制が入ったというイレギュラーが起きた事が根本原因ですから、気にする必要はないでしょう。それでも気になるなら、後で何か奢って差し上げましょう」

「そうね。それがいいね」

 

 どうです、見ましたか。大人のゆとりある対応を。ふふふ、少し持ち直しました。

 そうしている間にも、おじいさんによる検分が進みます。

 

「肉は3頭分で、120kgじゃな。冷やしておったから傷みもまったくないのお。小金貨24枚で買い取ろう。頭は1個当たり大銀貨1枚じゃ」

 

 続いて魔石です。子供達にも分散して持ってもらっていたので、皆がカウンターに置いていきます。

 

「討伐した魔物の魔石です」

 

 ゴロゴロガラガラと凄い量の魔石がカウンターに置かれていきます。それは討伐した魔物の数でもあります。買い取り助手の人が魔石を手に取って、目を大きくしています。

 

「どれも普段のより一回り大きい。これはサンダー・ウルフとギンガント・ウルフの魔石!? 50個もあるじゃないか!」

 

 カウンターから聞こえてくる話に、周りのハンター達も騒いでます。レオ様が答えました。

 

「群れ1つ分だからな。肉も持って帰れりゃあ市場も随分賑わっただろうにな。さすがに無理だった」

「そりゃ50頭なんて持って帰れるわけねえよ。狩ったらすぐギルドに運搬を頼むのが普通だ」

「でもエリア侵入規制が入っちまったし、薬草採取がメイン依頼だから、それもできなかったろう。50頭の体はどうしたんだ?」

「しかたねえから、燃やしたよ」

 

 もったいなかったねえというざわめきがサロンじゅうから聞こえました。

 

「その前にどうやったら群れ1つを全滅させられるんだ?」

「それこそがAランクパーティーの実力ってやつなのかな」

 

 レオさんが、言ってもいいか? と目配せすると、マヤさんがすごい勢いで首を横に振ります。

 そうしている間に、買取助手の人が査定を終えました。

 

「魔石78個、重量38.5kg。キロ当たり小金貨2枚なので、買取額は小金貨77枚です」

「買取額がミリヤの倍だわ!」

「ヘキサリネは魔素濃度が低いからのお。それでも普段は小さな魔石しか採れないので、こんな額になるのは珍しいことじゃ」

 

 そうするとこれはいくらになるのでしょう。

 私は濃い赤紫色をした、高級魔石の粉をストレージから出しました。

 

「な、なんじゃこれは!」

 

 それを目にした買取助手の人が息を飲む音が聞こえ、腰が少し曲がっていた買取係のおじいさんの背筋が、真っ直ぐピンとなったのが見えたのでした。

 

 

 

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