side???
俺には家族というものがなんとなくの感覚でしか分からない。
物心ついた時から俺には親はいなかった。当然兄弟もいない。血の繋がりのある家族なんていなかった。ほとんど一人で暮らしていた。
その事について別に何か不満に思ったり、周囲の奴らは俺と違ってちゃんと親がいるからどうとか……そんな事は一切なかった。
何故俺には親がいないのかとかもハッキリと考えた事はない。
どうしてかと言うと親はいなくても面倒を見てくれる人はいたし、クラスに友達だっていた。だから別に現状に不満なんてなかった。
強いて不満を言うなら
それだけがちょっとしたコンプレックスだった。
そんな日々を過ごしていたある日、保護者の学園長の知り合いであるタカミチ・T・高畑に女の子を紹介された。ここ一年くらい会ってなかったのにいきなり俺と同い年くらいの女の子を連れて来たのには驚いた。
かわいい。それが初めてあいつに会った時に思った感想。
「紹介するよ、神楽坂明日菜ちゃんだ。友達になってあげてくれないかい?これから三人で暮らすわけだし」
けどその女の子がどれだけ可愛くてもタカミチのとんでもない爆弾発言も大して気にならなかった。それ以上に強い違和感を感じていたからだ。
タカミチの表情だ。
その時のタカミチの顔は笑顔だったし、目もちゃんと笑っていた。しかし酷く複雑そうに見えたのを良く覚えている。
まるで俺達を引き合わせて本当に良かったものか、迷っているようだった。
それでもタカミチは俺に明日菜と友達になって欲しいと言ったのも事実だ。だから俺は彼女に向けて手を差し出した。
「俺、春場悠理!よろしく!今日から友達だな!」
「……ガキ」
「!?」
そして……
無表情で何考えてんだか分からない
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side三人称
「……さん!…場さん!」
心地良く吹く夜風に当たりながら春場悠理は世界樹に目を向けていた。意識が何だかぼんやりする。
何処からか叫んでいるような声が耳に入って来て少しずつ意識がクリアになっていく。
「春場さん!いつまでもボサッとしていないで、所定の位置に移動して下さい!」
「……あん?」
夜の麻帆良学園都市にて、悠理は隣を箒で飛ぶ魔法生徒としての先輩、高音・D・グッドマンにそう叱られた。
そういや今夜は俺も学園の警備当番だったな……と現状を思い返す。だからこんな時間に出歩いているのだ。なのになんかボーッとしてた。
「全く……最年少の『
顔を真っ赤にするほど怒らなくても良いじゃないか。そう思いながら浮遊術の為の箒を肩にかけて歩き出す。
「来年にはあの
「分かった。分かった。分かりましたよ。それよか高音さんも持ち場に付いて」
高音は何故か悠理への当たりが少しキツい。本格的に目の敵にされてるわけではないが、気にならないわけではない。
高音の態度について考えられる理由としては彼女の目指している『
後輩に先を越されては面白くはないだろうけど、そればっかりは実力差だと思って割り切って欲しい。……などと無神経な発言は流石にできない。
「でしたら貴方ものんびりしていないで警備に集中して下さい!」
「……うっす」
高音が箒の浮遊術でその場を去った後、悠理は周囲のパトロールをしながらこの警備の理由を思い返す。
ここ最近は麻帆良学園都市の警備はより一層強化されている。その理由は先程高音が語った通り、
ナギ・スプリングフィールドの息子という事もあってネギ少年は優秀な『
(だからっつってもやり過ぎじゃねーか?将来に期待してんなら多少の試練は必要だろ。成長の芽を摘んでどーすんだ……。それにそれならまずあの吸血鬼をネギ君とやらに近付かせないようにするべきだと思うけどな。ジジイはその辺どう考えてんのか……)
これらの動きはガンドルフィーニといったネギ少年の将来に強く期待している一部の魔法先生が主体となって行われているものだ。この件について麻帆良学園の長である近衛近右衛門は何も口出ししていないのだ。
もしかしたら学園長も悠理同様、これらの動きは少々過保護過ぎて返ってネギ少年の為にならないと考えているのかもしれない。だからこそ、あの吸血鬼の真祖については魔法先生達に触れさせないようにしているとも考えられる。
(それに大戦の英雄ねぇ……何があったらそんな破茶滅茶な人生歩む事になるんだか……そんなのの息子に生まれた子も災難だよなぁ。絶対親と比較されるんだから)
親がいくら優秀だからといって子供にそれが引き継がれるとは限らない。いや、件の
恥じない事と遜色ない事は似ているようで違う。
時代が違えば環境も違う。正直ナギ・スプリングフィールドの息子がその才能を十全に伸ばせる環境下で育っているとは思えない。親の威光と重圧に押し潰されない事を祈るばかりだ。
(だからこそ、この麻帆良が修行場所として選ばれたんだろうけどな……)
すると同じ魔法関係者である悠理の友人の一人が少しばかり心配そうに話しかけてくる。
「悠理、どうしたというのだ?仕事に集中していないなんてお前らしくもない」
「刹那か。んー、いや来年に来る
幼馴染の神楽坂明日菜のクラスメイトである桜咲刹那。正確には魔法使いではなく、京都神鳴流の剣士なのだが、悠理の幼馴染の一人であり、学園長の孫娘であり、西の長の一人娘である近衛木乃香の護衛としてこの麻帆良学園都市に滞在しているのだ。
ぼんやりしていた理由を問われたので考えていた事を軽く、本当に軽くだが説明する。
「……今は警備に集中しろ」
「へいへい。高音さんにも言われたよ」
しかし結局やる事はただのパトロールだ。この麻帆良学園都市に表立って襲撃を仕掛けて来る者など早々いないのだからこの時期にここまで色々とやる必要はないだろう。
「……!」
悠理はある感覚を感知した。
麻帆良の結界を魔力を持った何かが通り抜けた。年柄年中魔法関係者による警備こそある街だがこうして実際に魔法関係の侵入者が来る事自体は珍しい。
「……悠理」
「ああ。招かれざるお客さんって奴だな。今日は中々楽しめそうじゃねぇか。偶にはこーゆーのがなくちゃなぁ」
春場悠理は魔力を迸らせ、麻帆良の夜空を魔法使いらしく箒で飛ぶ。
「そんじゃま、魔法使いのお仕事といきますか」
1988年6月22日生
血液型:AB型
主人公。史上最年少で『
見た目は外国人の為、日本人の名前との差にコンプレックスを持っている。