最近めっきり創作活動に手を付けずにいましたが、スズカさん関連の二次創作小説とか読んでて
ワイもトレスズ書きたい
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でもアニトレをトレース出来ない……
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別にオリトレでもええやん(開き直り)
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狂信者トレーナーとアムロっぽいトレーナーで悩んだ結果後者に
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それならスズカさんをニュータイプっぽい何かに目覚めさせよう(突然の舵切り)
みたいな感じで急に創作熱が湧いてきたので、久方ぶりに筆を取ってみました。
まぁ以前よりも明らかに書き方が下手になってるので、リハビリがてらAIのべりすと(https://ai-novel.com/index.php)を利用しながらの作品ですが、それでもよければどうぞ。
中山レース場は、その日も大きな賑わいを見せていた。
なんといっても見どころは、今日のメインレース。
重賞、芝1800m。そこに出走する一人のウマ娘が、この賑わいの要因の大部分を占めていた。
サイレンススズカ。現在、トゥインクルシリーズにて最もホットなウマ娘の一人。
彼女が最も得意とする――逆にこれしか出来ないとも言う――大逃げは、現代を生きるウマ娘の中でもトップクラスの走りとして、民衆にその名を知らしめていた。
「あれが、サイレンススズカ……」
一人のウマ娘が、ゲート前に立つ栗毛のウマ娘を見て呟く。
その言葉には、明らかな敵意が混じっていた。
彼女だけではない。その場にいたほとんどのウマ娘が、彼女に敵愾心、あるいは対抗心を抱いていた。
理由は至極単純。彼女らは、走る為に生まれてきたウマ娘だから。
多くのウマ娘はそれを「レースで勝つ」事として捉えており、故に最近勝利を重ねて台頭してきたスズカに対しそのような感情を抱くのは、当然と言えば当然であった。
そして――そんな敵意を、スズカは敏感に感じ取っていた。
(……けれど、関係ない)
だが、少し前の彼女ならともかく、今のスズカにとってそんなものは右から左へ流れる風も同然であった。
敵意を受け止めるのではなく、受け流す。
一重にそれは、彼女が師事するトレーナーとの努力の賜物に他ならない。
――ゲートが開くまで、あと数分。
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「どうだい、トレーナーさん。彼女の調子は」
ハンチング帽の下に隠れた垂れ目が特徴的な男が、コース前のスタンド席に立つ一人の青年に声を掛けた。
癖毛と優し気な目つき、そして青いスーツの腕を捲くっているのが特徴的なその青年は、ハンチング帽の男……某雑誌の記者の方へ視線を向ける事無く、ただ口を開いた。
「悪くないどころか、好調さ」
「つまりいつも通りってわけね」
トレーナーと呼ばれた青年は、クスリと微笑んだ。どうやら二人は、それなりに親しい間柄のようであった。
「彼女はめきめきとその才能を開花させていっている。それもレース毎に」
「確かに、ここ数戦で見違えるような別嬪さんになったって感じだな。ちょっと前まではどうもパッとしないトコがあったが」
そう言いながら、記者は懐から取り出したメモをペラペラと捲り始める。
そこに乗っているのは全て、一人のウマ娘……即ちサイレンススズカのこれまでのレース情報。
そこに載る情報は、全てが白星というわけではなく。
少し前まで遡れば、寧ろ黒星の方が多い、よく見かけるようなウマ娘の戦績といった具合であった。
「ったく。お前さんの事は昔から知ってたつもりじゃいたがね。一体どんな手品を使ったんだ? ……あ、わかったぞ。
「……茶化すなよ。大した事はしてない。ただ、彼女の可能性を信じた。それだけさ」
「可能性、ねぇ」
記者は、ニマニマと薄ら笑いを浮かべながらトレーナーを横目で見やる。
だがしかし、当人はそれを意にも介さず真剣そのものの顔付きだった為か、「まぁいいか……」とそれ以上追求する事をやめておいた。
その代わりではないが。
記者は彼の横に寄り添うようにして立ち、柵にもたれながら少しばかり顔を覗かせてコースを見やった。
「それにしても凄ぇ人の数なこって。ようやく彼女の魅力に気付いたってぇわけかい。ったく、これだから民衆って奴は……」
「その台詞、お前が言えた台詞か?」
「おっと、痛いところを突かれた。アイタタタ」
わざとらしく脇腹を痛がる素振りをする記者だったが、トレーナーはやはりというか、全くそちらを見る事無く、ただ正面に広がるターフの向こう側――己の担当ウマ娘がいるであろうゲートの方をじっと見つめていた。
(本当に……恐ろしいほどの才能だ)
そんな事を考え、トレーナーは僅かに俯いた。
そして、次に顔を上げて目に入ったのは、今まさにゲートを飛び出していく、美しい栗毛のウマ娘の姿であった。
******
結論からすると、レースの勝者はスズカだった。
序盤から他に逃げると目されていたウマ娘を尻目に先頭へ躍り出ると、いつものような大逃げで後続勢を置き去りに。
途中、息を整える為に僅かに減速すると、再度加速し、そのまま後方を突き放して、ゴール。
(化け物めッ!)
そんな意思が頭の中に流れ込んでくるが、スズカはあっさりとそれを受け流し――
(……今日も見れた、先頭の景色。それと――)
『スズカ』
レース後の余韻に浸るスズカの脳裏に、慣れ親しんだ男……トレーナーの声が聞こえてきた。不思議な事だが、歓声が響き渡る中でその声だけがハッキリと聞こえる。
それこそ――この世界には自分と、彼しか存在していないのではないかと錯覚してしまう程に。
『はい』
『よく頑張ったな。相変わらず、君はいい走りをする』
『ありがとうございます』
この間、彼女達は一切口を開いていない。ただ、遠くから見つめ合っているだけ。だというのに奇妙な話ではあるが、彼女達は得体の知れない力で互いの心の声とでも言うべきものをやり取りしていた。
そう、二人は所謂、テレパシー能力者なのだ――などと。冗談半分に言ったら誰しもが納得してしまいそうなくらいに、その繋がりは強固で確かなものだった。
それはともかくとして、褒められた事で嬉しくなり思わず頬が緩むスズカであったが、「どーしたの?そんなところでニヤニヤして」と、同じレースに出走していた、トレセン学園でそれなりに付き合いのある同級生のウマ娘に声を掛けられ、慌てて誤魔化す。
「な、なんでもないわ。ちょっと余韻に浸ってただけだから」
「ふーん?」
どこか訝し気に目を細める同級生の痛い視線に、スズカはただ、笑顔を貼りつかせる事しか出来なかった。
******
応援してくれたファンに感謝を伝えるウイニングライブも終え、日もすっかり落ち切った夜の街を、スズカとトレーナーは二人並んで歩いていた。
外灯に照らされながら歩く二人は、気の置ける友人同士のようであり、兄と妹のようであり、そして――
(――って、私今、何を思おうとしたのかしら。私達はトレーナーと、ウマ娘。それ以上でもそれ以下でも……でも……)
「――カ」
自分でも分からない謎の感情に悶々とするスズカ。そんな彼女の意識の外から、何か音が聞こえて来る。
「――スズカ!」
「あひゃい!?」
それが自分の名前だとようやく認識したスズカは、我に返ると慌てて返事をする。
「……くっ、なんだその返事は。上の空になっていたと思ったら」
「え、えっと、違うんです!これは……そ、そう、ちょっと考え事をしてて」
「ふふ、わかったわかった」
そう言う事にしておこう、とでも言いたげな微笑みを浮かべながら、トレーナーは正面に向き直った。
そんなトレーナーに、スズカは自覚なく僅かに頬を膨らませた。
「それで……今日はどうだった?」
そんな彼女の様子を知ってか知らずか、唐突に隣から飛んできた疑問に対して、スズカはレースの事を思い出そうとするのだが――どうしてだろうか、月並みの感想しか浮かんでこない。
「今日も……凄く、気持ちよかったです。後ろからは、相変わらずプレッシャーばかり向けられましたけど」
多くのウマ娘が抱く、勝利への執念。それは自然と形を変え、先頭を行くスズカにプレッシャーとなって襲い掛かるもので。
当然、そんなものを向けられれば、他者より感覚が鋭敏なスズカからすれば不快極まりない。
「けれど、トレーナーに教えてもらった通りに見える景色だけに意識を集中させれば、なんという事はありませんでした」
「そうか。我ながら曖昧な表現だから伝わるか不安だったんだが……為になったのなら、何よりだ」
スズカからの回答に、トレーナーはほっと胸を撫で下ろした。
「まぁ、君には特別な才能がある。俺が教えずとも、君なら自分でその境地に辿り着くだろうとは思っていたよ」
「……そんな事、ありません。だって――」
そこまで口にして、スズカは続きを言葉にするのを止めた。
確かに、自分は特別なウマ娘であるのかもしれない――だがそれでも、その特別というのは所詮、『普通のウマ娘と比べて少しだけ優れたもの』に過ぎない。
そして、一時期スズカは、そんな特別な部分が嫌で嫌でたまらなかった。
周囲の人間の感情を鋭敏に感じ取る能力。
先頭の景色を見たいという彼女の欲求に対し、それは煩わしいもの、足枷でしかなかったから。
だからこそ、彼女は前のトレーナーと分かり合う事が出来ず、レースでも結果を出せずにいた。
そんな、嫌で嫌でたまらないと思っていた才能を、ある種の正しい方向に持っていってくれたのは他でもない。恐らく、自分と同じ才能を持つ彼、今のトレーナーだったのだ。
だが――トレーナー自身は、その才能を持っている事に、引け目を持っていて。
――貴方という、同じモノを分かち合える人がいたから。
だからこそ、彼女はその続きを口にするのを止めた。それはもしかすると、彼曰く『ナーバスな部分』に触れ、傷つけてしまうかもしれなかったから。
「どうした?」
「……いえ。何でもないです。ただ……」
ただこうして、彼と一緒に肩を並べて歩いている、この平穏な時間を楽しんでいたかった。
「ちょっとだけ、昔を思い出していただけです」
「そう、なのか?」
いまいち理解できないといった顔をしながら首を傾げるトレーナーに、くすりと小さく笑いながらスズカはその横に寄り添うように近づいた。
スズカ自身、何故そのような行動を取ろうなどと思ったのかはわからなかったが、今はただ、彼の隣にいたい――そんな衝動に身を任せるだけだった。
そうして彼女は、記憶を呼び起こす。
彼との出会い。あれは、当時の彼女の心と同じ、曇り空が広がるグラウンドでの事だった――
本作でのサイレンススズカ
原典と違い、ニュータイプっぽい超感覚を最初から持っている。その結果、『静かでどこまでも綺麗な景色』を見たいという欲求が原典よりも強め。メンコをしているのは(主にプラシーボ効果で)他者の感情を読み取ってしまうのを少しでも緩和する為。