世界が、揺れている。
黒い海原に、立っている。
これは夢だろうか、それとも、理想の現実か。
帰還せねば。
海上には乱立した長方形が、摩天楼のように突き立っている、
いくつも、いくつも自我を食い尽くす様に。
抜け出せない、それもそうか、ここは私だ
私から私が抜け出すことなど出来ない。
溜め息すら着くことが出来ない、初めての体験。
振り向けば、
一つ一つに、
二つに一つは
三つに一つは…
どれも煌びやかで綺麗だ。
けど、細かく、ばらばらで、とても見辛いでしょう。
だけど、安心して、
1人、着いていますから。
振り返ると、黒い…影。
驚き慄いて、あとずさり。
なにかにぶつかり振り向けば、黒い影。
気がつけば、そこら中、黒い影。
走っても走っても、すぐそばに。
増えれば増えるほど、暗くなっていく。
ここは、日の届かない深い場所。
ひとつの悪意に蝕まれた、拙い心
[同調完了、
……?
聞こえもしないし見える訳でもない、ただ知覚ができる。
問題を見た時、パッと頭に答えが浮かぶのとよく似ている。
[
その文面と同時に、辺りが薄く、白く濁る。
言い表せぬ多幸感に包まれたその時、指先からぼろぼろと崩れて行った。
…え、あっ、ちょっ…嫌だ…
崩れて行った響から見えたのは、紛れも無く過去であった。
どんなにもがいて暴れても、理想はぐずぐずと解けていく。
最後に残ったのは、絶叫。
◎◎◎◎◎◎
Howdy…!徹夜明けでも元気な金剛デス!
3日前から寝っぱなしの響ちゃんをナーシングしてたんですけど、
ついうっとり眠っちゃってマシタ!
ん…? 眠ってしまっていたのなら元気とはいえない?
ぐおぅ!、キョーレツなサイドスピア!
グッサリ!、グッサリ行っちゃいましたヨー!
…ジョークとはここでお別れデス。悲しいケドも。
さっきから響ちゃんがおかしいんデスよねー、唸ってたり笑ってたり…
何度か起こそうとしたんですケドぜんっぜん起きなくて、不思議。
試しにもう1度やってみますネ?
「Hey!ゲタップ!」
掛け声と一緒に思いっきり体を揺さぶってみる。
ある程度強く揺すっているのに反応ひとつ零してはくれない。
うーん…さっきからずーっと、どーしたんデスカー!
いーっつもはめーっちゃくちゃサイレントなのに…唸ったり震えたり!
「Hey!ヘーイ!」
頬を撫でても、冷たい手で柔らかな手を包んでも、呼吸の音は揺らがない。
…まーだだんまりデスね?
なら考えがありマスヨー!
おねむのプリンセスにはプリンスのキッスと相場が決まってマース!
意を決して思いっきり接吻をぶちかます。
あー!めっちゃドキドキしマース!
本人に了承無くキッスしちゃったんですケド…響なら許してくれる…ハズ!
許してくれなかったら泣きマス。
すっごいスウィート!ヤバい!この体温を肌で確かめ合う感じ…!癖になりマス!
えへへ…えへ。
がぶっ
「ほあああぁ!!」
本人の意志を無視して無理やりキッスをした天罰か、もしくは制裁か。
勢いに乗って舌を入れてみたら思いっきり噛まれちゃいマシタ…イタイ
「ぉ…金剛。」
ってあ!起きてるし!
やっぱりプリンセスにキッスは効果覿面だったようデスね!!結婚しまショー!
「いきなり何を…え?キス…?」
えぇ、しましたよ、キッス、ファーストの、とびきりパッショネートなのをね。
「え、あ…し、したんだ…そう…」
白が特徴の彼女が朱に染る
もー!恥ずかしがっちゃってぇー!かわイー!
「…調子に乗るんじゃない」
えー?…そんな満更でもなさそーなフェイスで言われてもナー?
「調子に乗るな!」
あいたっ!
金剛が響に惹かれているのなら、立場が一緒の響もまた同様に…