頭の中で響く音   作:かんしろ

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今の響ちゃんは触覚と聴覚を新艦装の細かな振動によって封鎖されている代わりに、高度の空間把握能力、そして制御電源から流れる電流がもたらす意識による異常な身体操作、更に触れるものを悉く穿ち、衝撃を振動によって弾き弱める強大な反作用を発揮することが可能です。

纏めると攻撃、防御と思考力に超バフが1分かかるということです。

一見強力なこの兵装ですが、デメリットの方がかなり多いです。
1 多大なリソースが必要なこと、
2 装着者達への負担が極めて大きい事
3 限定的な場面でしか効果を発揮しないこと
4他の通常艦装との運用が困難
5特定の艦娘しか効果を発揮することができないこと

以上のデメリットから開発の構想的には超短期決戦を想定されていて、軽いコストの"消費"によって大きな戦果をもたらすことを目標とされていたようです。

この艦装の開発は当初軍内部で密かに研究されていたものだが、それを何故か察知出来たヤバい女によって乗っ取られてしまったようです。


打ち砕く音、または焦がれる程の熱矛。

 

 

 ───最大活動可能時間、残り39秒。

 

…時間はもう半分を切ってしまうのか。

 

 水を蹴り弾き迫る私の強撃に、彼女は傷を付けながらも深入りできない間合いを維持し続けている。

 

…どういうこと? 、彼女はこれが始めての戦闘だと、そう言っていたハズ。

 

 ここに至るまで で格闘技でも収めていたのだろうか。

 

『彼女の戦闘力に驚いているようだね?』

 

 静寂の時間、僅かに声は揺れて届いた。

 

…どうして提督とはお話ができるんだい? 

 

『ふふ、今、君の心臓や肺を動かしているのは誰だと思う?』

 

 肺、心臓、そして脳。

 

 先程から己の意思の範疇から飛び出て各自が正確に動作し続けている。

 

…自分で、動かしていない? 

 

『うん、惜しい、君を動かしてるのはね。君と、そして私なのだよ』

 

 うん? 、よく分からないのだが、少し詳しく説明して欲しいよ。

 

『君の身体は接続電源から、そして膨大な情報は音叉の共鳴作用を利用した長距離通信システムにより私へと、流れてゆく。つまりほとんど一心同体となるわけだね』

 

 だとすると今の提督はどうなっているのかな。

 

『変わらないさ、君の情動の感応して変な気分にこそなってはいるが支障はない』

 

 

『それに、ほら。今もこうやって対話しているがさほど時は流れていないだろう? 、それもこの装置の恩恵だよ』

 言われてみるとこんな長々交信しているのに金剛はビクとも動いていない。

 

『止まってるままじゃつまらないだろう、ほら 、続きだよ』

 

 ワッ

 急に身体が動き始めた。

 何事も君は唐突にする癖があるが、きちんとそれは直すべきだ。

 

『検討するとも』

 

…まぁいい、それよりも今は彼女に集中、攻め切れる内に削り切る。

 

えーい!(下克上)

 

「そんなに近づいテ! 、食べられちゃっても知りまセーン!」

 

 急激な接近に彼女は驚きつつも反射で拳が振るわれる。

 

 戦艦クラスの質量と出力で触れられたら今までではまともな状態ではいられないだろう。

 

 だとすると、試すには良い機会じゃないだろうか。

 拳骨が額に触れ、鈍い重音、そして衝撃が頭に響いた。

 

「─ッ!、イッタ!」

 

 …くぅ、さすがに響くね、けど痛くなかった。

 

「このっ……!」

 

 彼女がまた拳を振り上げた

 

 …通用しなかっただろうに、浅はかだ。

 

 底のない浮遊感に体を揺らされながら、彼女の身体へ細木の様な腕を伸ばしていく。

 

 あの巨木を叩きつけられたような衝撃を押し返せるんだ、こっちからだって充分な……

 

capture!(捕まえた!)

 

 ぅあ? はぐっ……

 

 腹部から末端にかけて灼熱と衝撃が駆ける。

 

 息を吐きながら煙を掻き分け揺れる影を明白に晒すと、顔よりも先に砲塔と目が合った。

 

 続いて二度と耳を劈く轟音。

 

 もう何も見えなかった、自分の身でさえ知覚は出来なかった。

 

 だが行動に支障が出るほどでは無い。

 

「…もうイヤになっちゃうネー…」

 

 立ち上がると彼女は背を向け、徐々に距離を離していく

 

 ただ間を空けると言うには逃走に近い。

 

 あぁ、時間稼ぎ…ね

 

 背を向けて走る金剛は高速戦艦、駆逐艦の速度ですらそう安安と追いつけはしないだろう、仮に追いつこうとした所で

 

『戦闘可能時間は後14秒だ、どうするのかね?』

 

 …無理だよね、こうなったら。

 

『無理だろうね』

 

 だよね

 

『…ここで投了してもいいくらいなのだけどね』

 

 冗談 、どちらかが倒れる迄が勝負なんだ。

 

『勝負じゃなく、試験だよ。そこまで無理をする事も…』

 

『あ、でも…君が望むのならこの状態を解いてみようか?』

 

出来るの?

 

『…負荷からの急速解放(私との接続を切ること)が1番負荷がかかるんだけど……』

 

 ドンと来い

 

『……うーん、わかった。まぁ、このデータも無駄にはしないさ 』

 

 ばしゅんと空気や接続がはち切れ海面に余分になった艦装が消えていく。

 

「…君が望むことだしなぁ」

 

 溜め息。

 

 

 

 風の音、冷たい風が肌の産毛を逆立てる。

 

 もはや身体に正常な意識と浮遊感は無くなっていた

 

 

 

 

〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇

 

 

 突然、背後に靡く嫌な波が無くなった。

 

振り向くと、先程まで圧を放ち向かって来た姿は影も無く

 白波も、ぽつりとも音もなく、ただ水中へ沈む死魚のようにも見えるその寂れた姿が遠い水面に顔を映していた。

 

恐らくはあの装備の時間切れ、もしくは響自身が負荷に倒れたか。

 

 掌に温い汗が、皮膚の下に零度の針が流れる。

 

 悪寒…? それとも嫌悪?…イヤ、このふたつを彼女に抱く事は無い…ハズ。よーくわかんないけど(他人事)

 

 だって目の前に居るのは割れかけのコップなんだ、1つのきっかけでバラバラになる、そんな脆弱な存在。

 

 手を伸ばしたくなるほどに脆いが、涎を袖で殴り拭う彼女の顔にはまだ熱すら感じてしまう。

 

 そんな弱い彼女に、私はナニを抱いて……? 

 

 零し垂れ流すこの感情が善とは、彼女を思う気持ちとはかけ離れていることには気付いてる。

 けど、もっと、後ちょっとでいいから、小さな顔を、白い髪やその肌を……

 

 抑えるべきか、歪んだ望みにギアをかけるべきか、私は何がしたいんだ? 

 ううん、多分なんにも要らないんだと思う、彼女とあった時間のまま、一口も変わらないテイストで……

 

 ゆっくり、ゆっくりとよろけた身体で砲を、指を指すかのように向ける彼女。

 

 ふらっと 、彼女を手繰り寄せる。

 

 がん。

 

 身体にかかる衝撃と軽い金属の音、普段聞くものよりも半音は高い。

 

 

「……ぁ」

 薄く呻く彼女、意識は無いようデス。

 

『やっぱ無理かー、じゃあ早い内に撤収、撤収!』

 

 What's going on?(どういうことやねん) 説明、プリーズミー!

 

『言ってもわかん無いでしょ』

 

それは、そう。ってなんかバカにされてますネ?

 

 

 ってか、その、レディーには少し失礼だけど、結構重い、身体の主導権が完璧に委ねらているカンジ。

 

 あんなにクールだった響ちゃんがこんな姿で無防備に……

 

 普段だったら欲望ダイナマイト、大爆発と言ったところですが、この波と空気、あんまりセーフな感じじゃないですね? 

 

 

 なら、そうデスね、Strike while the iron is hot(熱いうちに鉄は打ちまショー!)

 

 待ってろよハネムーン! フルスピードで今行くゾー!!!! 

 

『その方向は逆、後そんなに急がないで、落ち着いて』

 

へへ…戻ったらまず…ハグかな?…それともキス? …

 

『あーもう!聞いてないね!?』

 

 帰路なぞ露知らぬバカ2匹、結局右往左往で道草を食った挙句、後に捜索隊まで派遣されてしまったそう。

 

 

 

 

 

 




強い装備にはとてつもない反動があるにきまってるだろ理論の元、装備を外した瞬間に肩代わりされていた負荷が数瞬の間に彼女をシャットダウンさせました。
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