括弧の着いていない会話文は主に心情、相手が反応した場合は小声や独り言等…になっています。
おはよう。
……とても眠いね。
時刻は日が昇り数回息を着いたほどで、私はまだ眠気に晒され儘ならぬ意識を持ったまま、上体をむくりと手繰り起こす。
……朝、弱いのかな?
重い瞼を幾度か擦り、どうにか眠気を妨げる。
……昨日、電とお喋りが長引いたのも一因……かな。
縮み切った筋肉をぐぐーっと伸ばし、んーと喉から声を出す
ん、あ、そう、昨日と言えばなんだけどね
提督に聞きに行ったんだが、現在鎮守府には電と私以外の艦娘はいなくて、
後日以降に大本営から給糧艦の間宮、軽巡洋艦の大淀、が支給……されるらしい。
「軽巡洋艦が来るのか……水雷戦隊を編成出来るようになるんだね!?」
なんて感じで
それに支給される大淀は事務作業の効率化を図るために贈られるものだから。
とどのつまり、まったくの戦力外である、
そのせいで支援が来るまではご飯も、事務作業も自力でやるしかないようなんだ。
運営に必要なモノはきちんと最初から用意していて欲しいね
正直に言ってしまうと、非常に面倒。
だって、提督は……宛にならないし……電は……いや、年下を頼るのには抵抗感がある
は? 料理が出来るのかって?
はっ……舐めないで欲しいね
……これでもお弁当は自分で作っていたから、
……
は?
冷凍は作ったうちに入らない?
……
……
れ、冷凍を解凍する作業は野菜を調理するのと何ら意味を違わさない……だろう……?
だってどちらも食事に適した形へと変化させているに過ぎないからね……
……屁理屈ばっかり?
……そんなことよりも今日やらなきゃいけないことを確認しなきゃね……
やることとしては提督を叩き起すこと、
それに、……む、……朝食、の用意
あと、えーと……なんだっけ?
「お昼に鎮守府近海の警護任務、なのです!」
おぉ……それだ……
電、起きてたんだね、ブツブツ言ってたのが少し恥ずかしいよ。
起床の挨拶でも交わそうと上のベッドを覗く。
そこで見た光景に驚き、身が固まる。
私の目に映った電は無様に垂涎、口を開いて未だ微睡みの只中である。
一体さっきのは何が……そ、そうだ、
ま、まぁいいよ
い、電が寝ているのなら元の話へ戻そう。
私は電の寝顔を暫し見つめた後に、自身のベッドへ帰還する。
鎮守府近海の警備で私たちが出払うのなら、……提督に昼食が必要だね。
……適当な物を作ってあげようか
「どうしたのです? 響ちゃん」
再度聴こえる電の声。
わっ……また……!
「またって……何に驚いてるんです?」
上のベッドからひょこっと電が顔を出す。
良かった、ちゃんと電だ。
「……なんでもない……おはよう、電、朝食のことを考えてたんだ」
「おはようなのです! ご飯の事ですか?」
お腹が減っているのか、食事の話になった瞬間電の背筋が緩やか差を失ってピンと経つ。
「……そう、ご飯、補給艦の方はまだ来ないし、インスタントは色々と良くない、なら、私が頑張ろうかなって考えていたのさ」
「……あの
妹から容赦無く飛んできた刃の無い罵詈雑言、しっかと私の胸へと刺さる。
……電……次からは君がやってね……
「私も手伝います!」
「ありがとう……じゃあ早いうちに作っておこうか」
彼女の発言はピュア、悪気は無いのだ……そう、ピュア……
だから根に持つんじゃない、私、忘れるんだ。
電の案内で食堂まで行き、厨房に入ると様々な
さぁ飯を作るぞ、とは言ったものの知らないことは山積みで。
「……ねぇ……電……」
満ち溢れる好奇心の蓋と鍋の蓋を外し、電に問う。
「ど……どうしたのです? 響ちゃん」
雰囲気の変わった私に彼女は驚いたように返す。
私が知りたいこと……それはね。
「電にとって朝食って何が出てくるものかな……?」
電がはぁ、と息を零す、思っていたよりも遥かに普通な質問で気を張っていたのだろうか。
場所からして朝食の事、当たり前だ。
ここでは今まで見たもの、築いた常識が通用しないかもしれない。何が来ても驚かないよ
「えと……お米にお魚にお味噌汁……! でしょうか……」
WOW……思ってたんと違う……もっとこう……燃料! 的な物かと思ってたんだ……
……じゃあ今日はそれにしておこう
「やった! 、響ちゃんの勇姿、しっかり焼き付けるのです!」
いや、手伝ってね。
電にご飯を面倒見てもらいながら、私は魚を3匹、味噌汁の制作準備を進める
ここの調理設備、
腕を上げたり下げたり、やることがとても多くて疲れる。
ぐちっと呟いてみると
「なのです……」
はぁ……! 同志。
その後は特に何かあるわけでも無く朝食は完成した。ちなみに提督の昼食はカレーだ。
……提督は少し痩せ過ぎだ、多めに作っておいてやろう!
料理も出来て気遣いも出来るとは。我ながら恐ろしいよ、全く。(笑
執務室へお盆を持って行く。
電がやっていたように2、3回程ドアを叩くが、返事は無い、
起きるまで待っていたら色々と冷めてしまう、討ち入りだ。
がちゃりと侵入提督は机にうつ伏せですやすやすや……と寝ていた……
と思ったのだが、少し息苦しそうにしているね、いい夢見てるらしい
脇の長机にとりあえず配膳だけ済ましておくと、提督の側まで寄り、耳元で
「おはよう」
と一語一句全て丁寧に、ゆっくりと口に出す。すると……
◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎
むぐぅ……ん?
泡沫な意識の濁りの中、私は理解していて理解が出来ない深い空間へと身を晒していた。
辺りは赤色
それは懐かしい風景画で、昔見た映画のワンシーンで、昨日の記憶で。
私の持ちうる全てを内包したその世界、理解は出来ないがわかる。
夢、夢、人が睡眠状態に陥った際に出会うモノ。
それは理想で
そんな世界で、私は寝転んでいる。
滲むように音が聞こえてくる。
むぐぁ……まだ……結果を、残していないのか……だってぇ……?
聞こえた音は不快で嫌いな
せっかちが……過ぎるんじゃないか……禿げちゃうぞ……このはげ……
泡沫な空想の中に寝転ぶ私を引き離すように、声はやってくる。
「おはよう」
吐息が耳を擦る
良い匂い
目をパチりと開けば綺麗な白が特徴の綺麗な子
「響ちゃん……もう少し」
起きたら働かなければいけないじゃないか……
そんなもの勘弁、やな夢見たって聞くだけの方が楽だとも。
「おはようだ、提督、朝だよ、朝ごはんの時間だよ」
あ、あ……朝ごはん?
……ん、そっちに電もいるのかい?
「おはようございます、なのです」
君らのおかげでばっちり目が覚めてしまったじゃないか……
はぁ、
「2人とも、おはよう」
◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎
「電と朝食を作ったんだ、食べてくれないか」
と提督の分を押し付けると、提督は、いいの? と言った顔でこちらを見つめた後、
「ありがたくいただくとしよう。君達も席に着いて、一緒に、食べようじゃないか……」
と私達に席につけと促してきた。
「……そうだね」
色々と思う所はあったが、空腹に勝るものは無い、さっさと席に着いてしまおう。
「はいです!」
2人が席に着くと提督は……
「では……! 今日も元気に頑張るとしようか! いただきます」
と合唱をした。
……提督の頑張りにはどのくらいの力があるのかは未知数だが、電の負担は減らしてね。
「うん、頂きます」
と相槌をうつ、
「頂きます! なのです!」
そして
私たちはちょっと冷めてしまった朝食を食べ終えました。
短いぞ、なんか書いてて羞恥心を感じてしまった