しかし、今世での身体が比べ物にならないので壊れちゃいました。
というか!
壊しちゃいました!(推敲を遂行、8/21)
やあ、響だよ。
今、私と電は鎮守府近海の警護任務に当たっている、つまり、出撃しているところ。
糧食に、と作ったおにぎりを頬張りながら、水上を白波を2線伸ばし進んでいく。
爆裂して使い物にならなかったあの艦装、
提督が新しい物に変えてくれたからバッチリ全快。
電に良い所の一つや二つ、見せないとね。
でも……
「次からはもう少しだけ大切に扱おう……」
と小声で意思表示。
「もうそろそろ作戦領域に入るよぅ。気をつけてねぇ」
無線機越しに提督の声が聞こえる。
提督は私たちの動向を機械で把握出来るようだけど……おっと。
なんだいその謎技術は……どう言う理論……
「了解しました! 電! 作戦領域に入ります!」
提督に手を振っているつもりなんだろうけど、あさっての方向へ手を振る電。
「……続いて作戦領域に入るよ……カレーはきちんと……」
「わかってるとも! ……集中したまえ、君は戦場に居るんだぞ」
食いちぎる様にかけられた言葉に思考が揺らぐ。
……家じゃない、ここからは戦場、緩い考えでは生きていけないし、倒せない。
沈んで錆びてそこで終わり。
それじゃ足手まとい、かえって迷惑だ。
……電に迷惑は、かけたくないね。
「……了解」
「分かればよろしい、気をつけてくれたまえよ」
幾分もの時間が過ぎたが、接敵どころか何も無い、ただただ水平線が白く磨かれているだけ。
「何も無いね……」
「なのです……」
「いいことじゃないか、平和で……」
そう提督が言葉を紡いでると、水平線上にクジラが見える、いや、クジラではなく、駆逐イ級。
敵、発見、そう伝えなくては。
「……!」
……声が出ない……どうして。
滲んでいくように理解する。
私は痛みを知った、それに怯えてるんだ。
電を見る。
どうやら彼女も一緒みたいだ。
このまま気づかれれば戦う事すらままならず全滅か、しっぽを巻いて逃げるか、その二択。
必要なのは推進力、最初が肝心。
なんのために戦うべきか、戦う理由を得ること……
……ふむ、そんなもの、簡単じゃないか。
宝物を守る為、それでいい。
「平和じゃあないみたい……接敵!」
震える手足に火をくべて、恐怖を融解する。
◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎
「……!」
目に映るのは駆逐艦、味方じゃないのです、黒いくじら。
最初こそ響ちゃんの初陣 、私がしっかりしなきゃって思っていたのですけど……
どうにも怖いものは怖いみたいなのです。
必死に踏み出そうとしても足が上がらなくて 、泣いちゃいそうで。
でも……私が何も出来ないでいると、響ちゃん……怪我しちゃうし……
ふらっと頭の隅っこに、走馬灯のように走る過去のこと。
……あの日、響ちゃんを見つけた時、響ちゃんはいっぱい怪我、してました。
その時の響ちゃんは辛そうで苦しそうで、想像するだけで息が止まりそうです。
あんな思いを響ちゃんにはさせたくないのです。
……なら、私が響ちゃんを守ってあげないと。
私、誰かのために戦おうとすると、いつもすくんでダメだったのです。
でも今はそうでも無いようです、なんだか力が湧いてくるのです。
「おなじく接敵します!」
歩み出した一歩は強く、鏡の陸を切り進む。
◎◎◎◎◎◎◎◎◎
「うわっ……! いきなりだねぇ……接敵了解! 、障害を排除したまえ!」
その言葉を川切りに、私はイ級へ ずどん 。
劈くような咆哮は真っ直ぐと線を結ぶ。
「当たれ……!」
そして想いを込めに込めた砲弾は、遠方に見えていたイ級を易々と爆煙に包んだ。
「敵着弾、発煙確認、中軽度の損傷を与えたのです!」
冷静に状況を報告する電、その顔に恐怖はなく、お互いに進むことが出来たらしい。
「やった!」
と声をあげる提督、それを制するように
「練度の低い駆逐艦の砲撃など知れています! 安心はしてはいけないのです!」
電がそう言う、確かにそうだ、駆逐艦の特徴としては、高速、高機動、が長所の艦で、
逆に短所は 火力が低く、低装甲、耐久が低いことが挙げられる。
モヤっとした煙が晴れると、そこにはボロボロになり、呻き声と煙を吐きながらもしっかり存在しているイ級がこちらを向いた。
「イ級、中破状態なのです!」
「……それが中破なんだね、うん、次も当てるよ!」
もう一度私はイ級へと照準を定めて、放つ。
それが甘かった。
口では当てると言ったものの今度の砲弾はイ級からは少しそれ、左側へと着水。
動く標的に当てるのはかなり難しいようだ。
少し恥ずかしい……と先の発言を悔やんでいると、イ級の砲塔が輝く。
ずどん、と先程自分の艦砲が鳴らした轟音のそれに似た音を聴いた次の瞬間、
「あうっ! ……」
視界を煙が覆うと同時に体に痛みが駆ける。
情けない声。
どうやらイ級の艦砲が、私に直撃したようだね。
ずきずきと痛みに耐えながら煙を払う。
よく見ると服がところどころ焼ききれているが、あまり体に怪我は無いので、これは俗に言う「小破状態」なんだろうね。
そんなことを考えていると、激昂したイ級が私目掛けて突進を仕掛けて来ていた。
まずい、
目の前が徐々に黒く染まる。
「この……! 当たって!」
電はそう言って、
どん、
私の目の前でイ級は爆煙に包まれ、沈黙、息絶。
鼻につく硝煙の匂いが意識を混ぜる。
今の交戦を成績に表すとS勝利……でいいよね。
気は抜かず、だが深く息を着く。
「提督……戦闘、終わったよ」
「大勝利です!」
電は嬉しそうに、でもどこか悲しそうに、言葉を紡ぐ。
……優しい。
「よくやってくれたねぇ……初めての勝利だとも、帰還命令を出すから、皆で祝おうじゃないか」
と1人声を荒らげる提督、初勝利がそんなに嬉しいのかな
「と言うか響ちゃんは……」
言葉の続きが幾ら待っても出てこない、おそらく……怪我じゃないかな。
「私たちは戦ってるんだ、多少の怪我はしょうがないよ」
「そうか……警戒を怠らない事だ……ご安全に」
「響ちゃん……大丈夫なのです?」
電がそう言って心配をしてくれる、本当に、優しい子……
「大丈夫さ、まだまだ行け……ん……?」
言葉を返してる途中で何かに気づく。
イ級の残骸が光ってる……
「響ちゃん……アレ……」
電もソレに気付いたようだね。
「提督! 倒したイ級の中にピカっと光るものがあるのです!」
「……ふむ、興味深いね……電ちゃん、ちょっと竹取の翁になりたまえよ」
提督はこの発光体を持ち帰れ、と私達に告げる。
こんな得体の知れないもの……いや、なんだか……なんだ……?
「……わかりました、提督」
電はそう言って発光体のそばへ寄り、発光体を艦装の中へ収納。
……使ったこと無い機能……収納も出来るんだ
「じゃあ、これより駆逐艦 響」
「同じく駆逐艦 電なのです!」
「鎮守府へ帰投するね」
「帰投します!」
.
特に問題もなく鎮守府へと帰還は終了。
煌々と揺らめく様な灯台を見つめていると、とても安心する。
ドックで提督が迎えてくれました
「……おかえり」
そういう提督に私達は笑みで
「「ただいま帰りました」」
と言うのであった。
◎◎◎◎◎
「ほら、例の発光体をよこしたまえ」
あ……はい!
急いで提督に手渡すと、提督は匂いを嗅いだり、角度を変えて眺めてみたり。
まるで博士みたいで、なんだかかっこいい……
「んー……不思議だね、女の子の香りがするよ」
前言撤回、少しもかっこよくないのです。
◎◎◎◎◎◎
提督に聞いたのだけれど、
発光体を解析するのには時間がかかるっぽくて、
それでも明日までにはすましておく……らしい。
それに提督からぽいっと謎の薬液が入ったバケツを持たされた。
どうにも手早く破損を修復出来る魔法の薬液。
……いきなりのマジカルかー、予想出来なかったね。
電に案内されて入渠ドックと書かれている所まで来ると、
私があの日目覚めた、お風呂のような光景が目に入る。
「電……これは?」
提督はこのバケツについて適当に言ったが、電は詳細に教えてくれるかもしれない……
えっへんと胸を張った電、
「これは……えと、これは……! その、被ると……傷が治る凄いお薬……なのです!」
それは知ってるよ。
せめて名称くらいは聞きたかったんだけどね……
「え、あ、なまえ? なまえ……ですか……」
知らないの?
「名前なら……バケツの方に書いてあるのですケド……」
ほんとだ、高速修復剤って書いてある。
名前からして良い物なのがわかるけど、いいの?
「今まで使うことが無かったので、溜まりに溜まってるのです、遠慮はしないで」
なら遠慮せず……と
お互いに一糸まとわぬ姿になり、身体を清めた後、バケツの薬液を被る。
ちゃちゃっと入渠を済ませて電と共に通路へ出ると、電がぐう、とお腹を鳴らしました。
……お腹、減ったのかい?
と聞いたところ、電のお腹はまたぐぅと音を立てて返事をくれる
「……はい……」
……実は私もお腹はぺこぺこだ。
……ふむ、何か作ろうか……?
「じゃっ……じゃあ! 提督を誘いに行きましょう!」
えっ、彼女今仕事の真っ最中だけど……邪魔してもいいのかな?
「仕事に夢中で食事が取れていなかったら次の日以降に支障がでるのです」
でも……うん、まぁいいか。
彼女の仕事の達成が遅れるのは
彼 女 自 身 の 責 任 だ ! ! !
「なら、執務室へ行こう」
と電を先導して執務室へ、
「鎮守府は広いから、はぐれないよう、手を繋いで行こうか」
電へ手を差し伸べると、
「う! ……うん!」
という声と共に私の手は強く握られる、
と言うか電、少し、私より背が高いんだね。
執務室へつき、空いてる方の手でノックをします。
「提督、 響だよ、ちょっといいかな」
そう聞くとすぐに室内から
「どうぞどうぞ! 」
と声が聞こえた。
電と手を繋ぎながら部屋へはいると少し提督はびっくりしたようにこちらを見て、
「仲良くなったねぇ!」
「姉妹だから仲が悪い訳がないのです!」
とすかさず電が言葉を刺す。
「そ、そういえばそうだったねぇ……」
忘れとったんかい!
「……本題に入ろう」
「あぁ、そーだね、聞こうじゃないか」
一緒に食事を取ろう、と言うと提督は悪そうに
「あー……すまないねぇ、もう済ましてしまったんだ」
あー……そっか、それならしょうがない。
「あ、いや、ちょっと待った!」
思い出した様に引き止められる。
「2人のお弁当、買ってみたんだ、ここで、どうかな?」
……恥ずかしさを噛み殺した顔は少し不気味だ
「じゃあお言葉に甘えるとするよ」
「頂かせてもらうのです!」
長椅子に座った提督を挟むように座った後、私は口を大きく開け、
「提督、食べさせてくれないか」
こんな奇行にも、理由はある。
まず、提督との交流。
名前と普段の接し方を見たら分かるように、彼女は少し特別な嗜好を持っている……ハズ……
次に、彼女の魔の手が電に及ばないよう、彼女の興味を私で塞き止める
最後に……わたしが甘えたいからだ。
成人一歩手前の高校生が……? ……だって?
今の姿、子供なのだから多少幼く、甘くなってもいいじゃないか、と言うかそうあるべきだ。
今の私としても、響としても。
「え、え! い! ……いいのかい!?」
ほら、ビンゴ、鼻息が荒いですよ。
「ほら、早くしてほしいな」
「えっあっちょ……いや! お言葉に甘えて!」
甘えてるのはこっちなんだけどね。
「ひ……響ちゃん……」
電、そんな目で見ないでくれ、後で弁明するから。
提督が小刻みに振動しているスプーンをこちらの口に差し出している、
「んむ! ……美味しいね」
差し出されているスプーンを食み、そう零すと、提督は吹っ切れたのか次々にお弁当を差し出してくる。
「んむ……うん……ご馳走様、ありがとう、提督」
最後のその1口を胃に入れ、満足気に言う。
「う! うん! 響と電も美味しく食べてくれてありがとうね!」
いつもの傲岸な物言いは何処へやら……
その後、寮に戻ると電が……
「……響ちゃん……思ったより甘えん坊だったのですね……」
と恥ずかしそうに言ってくる、言われる方が恥ずかしいんだぞう……
「うぇ……違うんだ、電、アレにはきちんとワケがあるのさ」
「ワケ……ですか?」
と心底不思議そうにこちらに聞き返す電。
「まず前提として、提督はロリコ……伝わらないか……言い直そうか、少女を好んでいる節がある。私はそれに甘える、提督は少女に接することが出来るので嬉しいはずだ。つまり需要と供給の取れた行いなんだよ」
危ない所だけを言い直し、電にそう説明。
「そうだったのですか! ……響ちゃんはすごいのです!」
と返してきたので、うーん、こんなので納得してくれるのか。等と思いながら、その日は就寝した。
いつもの2倍書いた、2倍疲れた。
電は特定の条件下でキツい言葉吐きます。