FGOのメリュジーヌがツボに刺さりまくってこんなものを書きました。
ほぼ世界観がオリジナル8割なうえ、色々ちぐはぐかもしれませんが
どうか温かく見守ってくださると続くかもしれないです。
―――ガタガタと音を立てて一台の車が荒れ果てたかつての道路を走っていく。
空は珍しい晴れ模様。こんな風になってしまったこの世界では珍しい物だと呟く。
―――今から何十年も前の話。世界は突如として終わりに向かいだした。
海の半分が枯れ、多くの動植物が消えていき、ヒトはその9割を失った。
原因は解らない。多分「上」の人たちや研究者は何か知っているのだろうが
それは自分達のような市井の人間にはひどく遠い出来事も同然だった。
残った人々は、それぞれが身を寄せ合い、小から中規模のコミュニティを形成した。
そうして世界がまた遠い物になって、それが普通になりつつあるこの黄昏の時代。
自分は「楽園」を目指して、自分のコミュニティを発ち、こうしてかつての道路を走っている。
「―――マスター。次の集落まではどのくらいなの?」
―――後部から聞こえる声。バックミラー越しにその姿を見る。
長い銀の髪に大きな瞳。小さく華奢な体躯とそれに似つかわしくない両の手の篭手。
彼女は外の移り変わる景色を眺めながらそんなことを聞いてきた。
「もうしばらくかかるな。せめて燃料は確保したいところなんだがな・・・」
「いくらかなら僕が抱えて「飛ぶ」けど?」
「・・・それは最後の手段だな。あまりに目立ちすぎる。」
他愛のない会話。はたから見れば兄妹のようにも見える光景だろう。
・・・実際には全く違う。年月というのであれば「彼女」の方が遥かに上だ。
年月だけでなく、その強さも何もかもがだ。
彼女の名は「メリュジーヌ」。
自分が出会った「この世界最後の神秘」にして彼女曰く「自分の恋人」である。
―――数か月前の話になる。
自分は日本のかつて「東京」と呼ばれた場所の「都庁」の住んでいた一人だった。
日本は主要都市の住民の半数を残して壊滅。
残った人々はこの「都庁」におのれの持てるものを持ち寄って集まった。
そうして共同生活を始めていくらかした頃、「それ」は発見された。
―――「都庁」の地下。そこに広がる広大な空間。無数のシステムに守られた防護扉。
そして―――その中に封じられた幾多の技術の結晶や食料や嗜好品。
人々はこの地下の空間を「宝物庫」と呼び、そこを探索し、見つけた物で糧を得る者達が表れ始めた。
自分はそんな「探索者」の一人だった。
ある日。いつものように「宝物庫」の「探索」に出た自分は今までに見ない道を見つけた。
決して見つからない様に偽装された下り階段。更なる「下」への道。
まだ見ぬ「宝」に胸躍らせながらそこを下った自分が見つけたのは。
巨大な機械に何本ものチューブで繋がれた、―――――1人の少女だった。
長い髪を無造作のその床に散らし、磔刑に掛けられる聖者の様に少女は眠っていた。
まるでこの世の物とは思えないその姿に目を奪われつつも
そのそばのコンソールを操作して装置を解除する。
操り人形の糸が切れるように倒れ込む少女を慌てて抱き留める。―――軽い。あまりに軽すぎる。
ちゃんとした質量を感じるにも関わらず、まるで羽毛のように軽い。瞬間に確信した。
「―――これは、唯の生物じゃない」そんなことを考えた矢先
「――――ん・・・」唇から吐息が漏れ出た。彼女の顔を見る。
ゆっくりと瞼が開かれその瞳が自分を捉える。「だ、れ・・・?」疑問が投げかけられる。
どう答えた物だろうか。そう考えた自分に、彼女は言ったのだ。
「かえりたいの・・・「らくえん」にかえりたい・・・」
「おねがい・・・わたしを「らくえん」につれていって・・・?」
あれから数日後。「彼女」を見つけ、自身の住処に連れ帰ってから幾らかの話を聞くことが出来た。
【AVW-P01ランスロット】。彼女の口から聞かされたそれは明らかなシリアルナンバーと機体名だった。
遠くは英国。かつてはまだ存在していた「神秘」。
それを研鑽し研究する共同体であった通称「時計塔」。
その真下の地下に現存する大迷宮。
消えゆく神秘による消滅から逃れようと足掻き、道半ばで朽ち果てた竜の遺骸。その名を「霊墓アルビオン」。
十数年前。緊張の高まった国々にその神秘の探索者の一人が「ソレ」を持ち込んだ事。
それが今の世界の現状を招いたのだという。「純血竜アルビオンの細胞」。そしてそれを用いて製造された神秘と科学の結晶。
A.V.W。「アルビオン・ヴァリアブル・ウェポン」。
各国は得体の知れないナニカに駆られるように多くの兵器を作りだし、競い合い。
―――そうして、その力によって滅んだのだと。
彼女はその第一号。最も「祖」に近いカタチを得た最初の竜戦機。それが彼女の正体だった。
「じゃあお前が言ってた「らくえん」ってなんなんだ?」自分はそう聞くと
「―――僕の「祖」、アルビオンが目指した場所だよ。星の内海。世界の裏側。よび方は色々在るけどね。」
彼女自身も何故「楽園」を目指さなければならないのかはわからないらしい。
確かなのは自身はどうしてもその「楽園」に到達しなければならない。その事だけだった。
「―――ふむ・・・英国か・・・。行けなくはないか・・・?」
現在の世界はかつてと大幅に変わっている。英国と言えば海に囲まれた西の果ての島国。普通では行けなかったが
海の半数が干上がった今であれば陸路で向かう事が出来るだろう。
問題は車輌の確保などだが、以前の「探索」で見つけた設計図などを出せば確保できる見込みはあるだろう。
そこまで考えた所で、怪訝な顔をした彼女に気が付いた。
「・・・なんだ、何か聞きたいことがあるのか?」
「いや、ずいぶんとあっさり信じた物だなぁと思ってね。それになんでそこまで考えてくれるのさ?」
「――――」そんなの決まっている。あの時の顔。独りな事に震えるか細い身体。
「おねがい。わたしを「らくえん」につれていって・・・?」
「―――あんな寂しそうな奴を放っておけるほど、俺は擦り切れてるわけじゃないんだよ。」
「必ずお前を連れて行く。その「楽園」に。そう決めた。そう誓った。なら後は行くだけだろう?」
―――瞬間、彼女が破顔して笑い出した。「ははっ、あはははははっ!」
「・・・なんだよ?なんかおかしいこと言ったか?」
「いいや!いいや!そんなこと無いよ!そうか・・・!ふふっ、君はそう言う人なんだ・・・!」
笑いを零しながら彼女はどこか満ち足りたような顔をしている。
「そうなんだね・・・君がそうなんだ・・・」何事かを呟いて彼女は自分に向き直る。
「ねえ、君の名前は?」・・・そういえば自分の名前はまだ言っていなかったか。
「芽無(めなし)唯一(ただかず)だ。解りにくいから皆して「ユイ」って読んでる。」
「唯一つ、か・・・うん、いいね。それはとても良い!」「なんなんだよ急に?」
「決めた!今日から僕は君の恋人になる!僕は君の物だし君は僕の物だ!」
「・・・はい?」
こうして自分―――いや「俺たち」の旅は始まった。
ご覧いただきありがとうございました。
一応、ここから旅をしながら他のキャラたちと出会ったりしていく予定になってます。
めちゃくちゃ叩かれたらどうしようとガクブルしてます。
それでも続きが見たいという方は感想欄に感想をお願いします。
それでは。