天翔の蒼竜戦機(メリュジーヌ)   作:十連狐

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トリ子編です。
正直な話、ノリと勢いでこの作品群を書いています。
なので設定とか整合性が取れていない部分があるかもしれません。

なのでお願いです。絶対に突っ込むな!(まひろちゃん並感)


-赫い踵の愛娘- 1

―――しとしとと雨が降る。

暗く垂れ込める雨雲はこの世界ではごく当たり前の光景だ。

しかし、今ここに住む人々にとってこの雨は災禍の訪れを意味していた。

地下のシェルターに籠り、音を立てぬように。

決して微動だにしてはならない。

何故なら。

 

「――――――」「――――――――」

 

近づいてくる。

カツカツとヒールを鳴らすような足音と。

がりがりと、大きな刃物を引きずるような音。

 

「――――のかわいいむすめ――――」「みん――――なの――――」

 

何なのかをここにいる者は皆知っている。「妖精」だ。

                    ・・

「ばーヴぁんしー・・・バーヴァンシー・・・」カツ、カツ

「あかいかかとの・・・かわいいむすめ・・・」ガリガリがり

「むらの・・みんなの・・・にんきもの・・・」かつ、かつ

「かわいい・・・みんなの・・・」がりがりがっ・・・

止まった。息をのむ。

「アア・・・ああアアアああああああ!」

「――してやる・・・!――してやる・・・!」

けたたましい破壊音。

頭を抱えて蹲り早く消えてくれと祈る。

やがて音はやみ、またカツカツ、がりがりと音を立てて遠ざかっていく。

 

この地の人々は、悪夢にさいなまれ続けている。かつてと同じように。

 

 

 

 

 

 

 

「止まないな・・・」「止まないね・・・」

二人してそんなことを言いながら廃屋のそばで、2人は雨宿りをしていた。

バーゲストたちの「町」を出立して十数日。

とある小国の跡地に2人は差し掛かっていた。

かつて小さいながらも平穏であったこの国は西の島国

―――英国からもたらされた未知の技術によって

大きくその運命を変えられることになった。

この雨もまたその恩恵、あるいは弊害と言う物である。

この国がその名を消す少し前、この国を大干ばつが襲った。

その干ばつを解決しようと国はAVW技術を用いた降雨計画を実施したのだ。

結果として雨こそ降らせはしたがその制御が出来なくなり、

国は大雨による幾多の災害に見舞われ崩壊したのである。

今でも人こそ幾らかは住んではいるが、

大半は残された地下シェルターに籠る土竜のような生活を営んでいる。

「こうなったら多少強行する?」

「食糧や服が全部ずぶぬれになっても良いって言うならな・・・」

「だよねぇ・・・」そんな会話で時間をつぶしていた最中。

 

「――――!?マスター・・・!何か来る・・・!」

そんな緊張の張りつめた小声で彼女が伝えてきた。

 

雨で曇った景色の向こう。

町の大通りの道の向こうから、ナニカがこちらに向かってくる。

がりがりと大きな何かを引きずる音と、幽鬼のようなか細くもよく通る声が聞こえてくる。

「――――。―――――。」それは次第に大きくなりながらその異様を表した。

白さを通り越した若干の灰色のかかった肌。

足には鋭利な刃のごときヒールが嵌められている。

かつては美しいドレスであったろうその衣服は

ボロボロになり所々からその肢体をあらわにさせている。

そして、その下の肌は黒ずんで傷んでいた。

それはまるで創作に出る生ける屍の様で―――

そして、それはこちらを見つけて。

異様な隈のできた瞳を鋭い犬歯を覗かせる口と同じく大きく歪めて。

にぃぃぃっと嗤いながら。 

             

「――――イたァ・・・!みツけたァ・・・!」

 

溢れんばかりの激情を込めてそう、口にした。

 

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