knights & magic ~odic theory~ 作:Drac
倉田が生きていた世界の別の誰かかもしれませんし、私たちの世界の誰かかもしれません。
ちなみにあらすじはそれっぽく書いただけで、特にこれといった意味はありません。
最近自分の中でナイツマ熱が再燃してきていろいろ妄想していたのですが、王道?な主人公への転生が見当たらなかったので勢いで書きました。(多分探しかたが悪いだけ)
独自設定が出てきます。
勢いで書いているので更新はどうなるかわかりません。優しい目で見守っていただけるとうれしいです。失踪したらごめんなさい。プロット?知らない子ですね。
それでもいいという人はよろしくお願いします。
大小二つの人影の前で、彼らは戦っていた。
一方は力強く剣を振り抜き
もう一方は盾で受け止める
ただ、そこに殺気は乗っていなかった。
彼らは騎士であり、ここは騎士を養成する場所であり、今は訓練の最中だからだ。
証拠に、先ほどから振り回されている剣は刃が潰されていた。
ふと、盾で受け止めていた方が自分たちを見ている人影に気づき、訓練を止めて人影に向かった。
一見すれば、見学している者に話をしにいく微笑ましい光景だろう。しかし、そこには異様さがあった。
人影は騎士よりもずいぶんと小さい。いや、騎士が人よりもずいぶんと大きいのだ。
騎士はおよそ10mほどの巨躯を持っており、その全身は金属でできていた。
騎士は人影の近くまでくるとその胸元を開き、中から新しく人影と同じくらいの大きさをしている者が出てきた。
いましがた出てきた人影は騎士を伝っており、周囲の人に話しかけていた。すると別の人間が騎士へ乗り込み、騎士は訓練へと戻っていく。
騎士から出てきた人影は、先ほどから訓練の様子を見ていた人影の大きい方と会話をしていた。
「ティナ、どうしたんだ?学園に来るなんて珍しいな」
「散歩のついでに来ちゃった。エルにあなたの仕事を見せてあげようと思って」
「そうか。エル、どうだ?お父さんの仕事は」
騎士から出てきたのは男性で、名をマティアス・エチェバルリアという。彼はこの場所で戦闘指導教官という立場についており、騎士を育て上げる仕事をしている。金髪を短く切りそろえた大柄な容姿をしており、生徒の一部からは鬼教官と恐れられている。
話しかけられたのは女性で、名をセレスティナ・エチェバルリアという。紫がかったなめらかな銀髪を腰まで伸びるストレートにし、柔和に感じる容姿をしている。もう一つの小さな人影は彼女の息子なのだが、一児の母とは思えない雰囲気を醸し出している。
名前からもわかるとおり、彼らは夫婦だった。
そんな彼らに話しかけられても、彼らの息子は反応することなく、二人に聞こえないほどの声でただつぶやいた。
「ろぼっとだ...」
「ううむ、これは聞こえていないな」
「ふふ、私たちの声も入らないくらい
「それが縁で騎士を目指そうと思う子供も多いからな。エルも相当気に入ったんだな」
反応のない我が子に苦笑しながら、彼は息子の母親譲りの紫がかった銀髪をなでていた。
これまで呆けていたことをようやく気づいたように子供は舌っ足らずな言葉で二人の会話に入っていく。
「ご、ごめんなさい。とうさまとかあさまをむししてしまって」
「いいえ、エルもやっぱり男の子なんだなって。お母さんうれしくなっちゃった」
「お父さんもだ。どうだ?あれが、この国と民を守る巨人の騎士、
「しるえっと、ないと...」
父親の言葉を反芻して会話を続けるが、どこか心ここにあらずといった風で、その様子にマティアスは再び苦笑を浮かべる。しばらくすると、彼は訓練中だったということを思い出したように会話を切り上げる。
「それじゃあ俺は戻るよ。帰りは気をつけてな」
「ええ。それじゃあエル、帰りましょうか。お父さんが帰ってくるまでに晩ご飯の支度をしましょうね」
「は、はい。わかりました」
彼女たちは帰り道を進み始めるが、子供は名残惜しげに何度も騎士をみていた。
この日、この場所で世界は転換期を迎えていた。
この場にいる子供は普通ではなかったのである。彼は今日この時物心ついたといっていい。そして自身が何者かを理解していた。
彼はとある記憶を持っていた。
その記憶とは、一人の人間が生きてきた軌跡だが、本来彼が持っていたはずの記憶ではない。
本来は、とある企業で最終防衛ラインと呼ばれていた男の記憶を持っていた。
しかし今ここで実際に持っている記憶は、卒業を間近に迎えた学生だった男の記憶だ。
注釈するならば、彼らの性質は似ている。知識や専門性に加え、最大の夢すら近しい。
なぜそうなってしまったかは誰にもわからない。
なぜなら今生きている世界こそがそこに暮らす人々の現実だからだ。ほかの世界のことなど知ったことではない。
しいていうならば、いるかもわからない神様の暇つぶしや気まぐれでしかないのだろう。
話がそれたが、大切なのは世界が向かう方向だ。
エルと呼ばれた少年、エルネスティ・エチェバルリアはこの日
彼が夢に向かい突き進むことで、
彼がいたことで、大きな争いが生まれ、世界の形を変えていく。
彼がいることで、世界は秩序を保つことができる。
本来の彼とは違う彼となったことで紡がれる世界は、どれほどの違いが出てくるのか。
神様がいるのならば、きっと些細な違いを知るのが楽しいのだろう。