knights & magic ~odic theory~   作:Drac

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16話

 とある日、ライヒアラ騎操士学園の一角で二つの人影がだべっていた。

 

「なんというか、本格的に暇になってきたよな」

「まぁ授業はあるけど、この間のあれ経験すればね~」

 

 人影の招待はエルネスティの幼馴染みであるドワーフ族のバトソンとフィーネだった。彼らのあずかり知らない事ではあるが、いつかのダーヴィドやエドガー、ディートリヒ、ヘルヴィ達のように暇を持て余していた。

 

「エル君は全然帰ってこないし、親方達も迎えに行くってのに私たちをおいてっちゃうなんて」

「いきなりグゥエール仕上げろって手伝わされたのに放置はねぇよな。俺らもエルがどうしてんのか気になってんのに」

 

 二人は、エルネスティ達がテレスターレをカザドシュ砦へ届けたあとはすぐに帰ってくると思っていた。しかし、道中の戦闘によってテレスターレの整備をすることになって高等部鍛冶学科がかり出された。そのため、彼らが帰ってくるのに1週間以上の時を要した。

 

 いざ帰ってきたと思えばそこにエルネスティの姿はなかった。それはクヌートがエルネスティの突飛な話を理解するため、テレスターレの詳細資料作成補助などで留まる必要があったためだ。とはいえ、自分のために先輩方を長いこと拘束するのは良くないと彼以外が帰路についたのだ。

 

 とある筋からそんな事情を知ったアーキッドとアデルトルートは終わるのを待ってられないとばかりにダーヴィド達を巻き込んでエルネスティを迎えに行区と言い出した。ちなみに、ダーヴィド達もエルネスティのようすは気になっていたのでノリノリで手伝っている。

 

 とはいえ、用もなく公爵であるクヌートのもとを訪ねることは出来ない。そこで彼らの考えた作戦は、テレスターレとして改造予定だったグゥエールを仕立て直して譲渡漏れを受け渡すことだった。また、万全に操れる者が少ないことで欠陥扱いされている幻晶甲冑(シルエットギア)も新型機、少なくとも新技術には違いないと、これも理由にした。

 

 急ピッチでグゥエールを仕上げるために高等部生だけで無く、補助腕(サブアーム)に携わっていたフィーネや幻晶甲冑(シルエットギア)を中心に色々と突っ込んでいたバトソンといった一部の中等部生も呼び出されていた。

 しかし、グゥエールをテレスターレとして修復し終えた後、整備としてダーヴィド、操縦者としてディートリヒ、護衛としてエドガー、付き添いとしてオルター兄妹、といった一部の人員だけで旅立ってしまった。

 

「ほんと、気がついたらいなかったもんな」

「それに加えて...」

「ん?」

「三人の幻晶甲冑(シルエットギア)持って行ったのに私のを持っていかないってどういうことよ!」

 

 実はエルネスティやオルター兄妹以外にも幻晶甲冑(シルエットギア)を日常的に使用している人物はいた。その筆頭がディートリヒとここにいるフィーネだった。ディートリヒはエルネスティが想定していたような訓練として他の面々が早々に諦める中、根気よく使用していた。なお、初めのうちは演算不可の差から不思議なポーズで動かなくなってしまったり、本人も意図しない機敏な動きで暴走していたが、最近では三人に次いで乗りこなしていた。フィーネは幻晶甲冑(シルエットギア)が演算さえ出来れば人間以上の膂力を簡単に出せる事に注目して、鍛冶仕事に利用していた。手の先から魔法を発現させて仮止めなどを行っている様から出張所(ブランチ)運び人(キャリー)などと呼ばれている。

 

「そりゃ、ドワーフ(俺たち)の中でまともに使えんのフィーだけだからだろ。中もドワーフしか入れないスペースだし」

「わかってるけど...わかってるけどぉ!」

 

 フィーネとしてもその辺りはわかる。あれは自分用に改造しすぎてもはやドワーフ用といえる様相になっている。しかし、ドワーフの中で扱えるのは元々ドワーフにしては魔法演算能力の高い方で、エルネスティに教授してもらった自分だけというのも理解している。

 とはいえ、理性で理解しても感情が納得しないのだ。だったら自分も連れて行ってくれればいいのに。そう思わずにはいられない。早く向かいたいから最小限の人数で向かうのも理解できる。しかし、それで自分たちがおいて行かれるのが許せるかは別問題なのだ。

 

 そうこうして二人で愚痴を言い合っているところに一つの小柄な人影がやってくる。

 

「ああ、よかった。まだ学園にいましたか」

「あれ?エル君?」

「お前いつの前に帰ってきたんだよ」

 

 その人影は先ほどから話題に上がっていたエルネスティであった。2週間以上街にいなかった人間が突然帰ってきたのだから、二人の心境は驚愕で埋め尽くされていた。

 

「つい先ほどです。それよりも二人に話があって探してたんです。僕の騎士団に入ってください」

「「どういうこと!?」」

 

 そんな中、エルネスティからは正気を疑うような言葉が出てきた。彼の突拍子のなさも、長い付き合いのある二人はある程度許容できる。しかし、突然彼らが目指す集団に入れといわれたのだ。あったとしてもずっと先のはなしだと思っていたため、二人のキャパシティを超えてしまったのだ。

 

 そうやって二人が困惑していると唐突にエルネスティの頭がどつかれた。彼の後ろには呆れた様子を見せるディートリヒが佇んでいた。

 

「エルネスティ、説明しないと二人も話が見えないんじゃないのかい」

「そうだよ!流石に今回はスケールが違いすぎてついてけない!」

「仕方ないですね。話をしましょう、あれは今から36万...」

「いや、いつもの冗談はいいから早く説明してくれ」

 

 話を遮られたことに少々の不満を出しながらも話をする。それはカザドシュ砦であった魔獣襲撃からはじまった。

 

「君たちの前ではいつもあんな調子なのかい?」

「あはは、もうなれました」

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