knights & magic ~odic theory~   作:Drac

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19話

「そんなこんなあってテレスターレの原案を考えた僕の護衛とさらなる新型機の開発を目的として、僕を団長とする新しい騎士団が設立されたのです。その名も銀凰騎士団!」

「「「大事なところはしょりすぎだ!!!」」」

 

 唐突に話を切って再び結論だけを述べたエルネスティに対し、事情を知らないバトソンとフィーネ、お目付役としてついてきたディートリヒが総じて突っ込む。

 

「そう言われましても、ディーさん達に何があったのかは聞いただけですし、陛下との謁見で話したこともこの一言に収められるんですよ」

「エルネスティ、団長となった身なのだから、欠けた情報でもできるだけ部下に話す場面も多くなる。第一、騎士団の構成員など話せることがあるだろう。そんななりでは親方当たりに幻晶騎士(シルエットナイト)へ乗れないようにされるぞ」

「それはいけませんね!では、もう少しだけ頑張ってみましょう」

 

 そんなやりとりをしつつエルネスティは再び語り出す。余談だが、体験したことと伝聞したことではやはり話の密度が変わり、二人は淡々とした印象を受けた。

 

 

 ダーヴィド他、エルネスティを迎えに行った一行は道中、二機のテレスターレと遭遇した。どうしたものかと語りかけるも返答を返さず、むしろ武器を構えだした。事情はわからくも、非常事態が発生したと察したエドガーとディートリヒは臨戦態勢を整えるが、テレスターレ二機は別々の行動をとった。一機はこちらへと斬りかかってきて、もう一機は一目散に逃げ出した。

 性能差や魔力貯蓄量(マナ・プール)を考慮して襲いかかってきた一機はディートリヒが対処して、逃げた一機はエドガーが追いかけて足止めすることになった。

 

「というのは見栄を張りたいエドガーの言い分でね。その実、逃げたのがトランドオーケスがベースだと気づいたあいつがこちらには目もくれず走り出したからなのだけれどね」

 

 ディートリヒの方は、敵味方どちらも慣れていない事もあって膠着状態に陥っていた。そこへ、エルネスティより一足早くアーキッドとアデルトルートが幻晶甲冑(シルエットギア)に搭乗して援護に向かった。エルネスティとの違いは、彼が撃退を目的としていたのに対し、ひたすら補助に回ることを目的としていた。

 

「彼らは幻晶甲冑(シルエットギア)の実戦が初めてのことで、彼ら自身も幻晶騎士(シルエットナイト)を交えた戦闘が始めてだということをわきまえていたからね。どこかの猪突猛進な団長予定はかまわ無かったみたいだけど」

 

 幻晶甲冑(シルエットギア)の二人は魔法による目くらましや、「駆逐してやる!!」といいたくなるようなワイヤーを使って立体的な機動を行う装備、ワイヤーアンカーを別の用途(足かけトラップ)として使用するなど、ひたすらディートリヒに戦況が傾くよう立ち回っていた。そのおかげもあって、苦戦しつつも三人にたいした怪我はなく、敵を戦闘不能に追い込むことが出来た。

 

 一方でエドガーの方は、彼がかなり防御に振った戦闘が得意であり、テレスターレが性能上攻撃に振らざるを得ない事も重なって優位とはいえずとも対等といえるほどだった。しかし、ヘルヴィとの模擬戦でもわかっているようにサロドレアでテレスターレに勝つには相応の技量と集中力が必要になる。蓄魔力式装甲(キャパシティブレーム)によって当時より魔力貯蓄量(マナ・プール)の増加した今、より困難になっている。加えて敵は、()()()相応に慣れが必要な膂力が強すぎるテレスターレをそれなり以上に操縦出来ている。

 結果、エドガーの機体は腕をもがれる程の損傷を負った。なんとかそんな状態の機体でエルネスティたちが近くに来るまで持たせる事は出来たがあと一歩及ばず、敵は機体の奪取を成功させた。とはいえ、エドガーは重傷を負いつつもとどめを刺す余裕をなくす程の戦果―とどめを刺すのをためらうほどの魔力貯蓄量(マナ・プール)の消費やエルネスティ達増援の到着―をあげた。もちろん状況を把握したエルネスティ達も追撃しようとするが、再度()()()異常に集まった魔獣によって進路を防がれてしまい、追うことは出来なかった。

 

「あのときは気が気じゃなかったよ。アールカンバーを見つけたと思えば生きているのが不思議なくらいボロボロだった。仇を討とうとすれば見たことのないほど複数の種類が混ざった魔獣の集団に襲われたからね」

 

 ちなみに、賊のほとんどは服毒して自殺し、逃走に成功した一部の賊の進行方向には闇夜に紛れる黒くて細身な影の目撃情報が出ている。国王やクヌート他、国営に関わる人物は、それが隠密に特化した幻晶騎士(シルエットナイト)だろうと予測を立てている。

 

閑話休題

 

 今回は技術の奪取が目的だったが、今後金の卵(新技術)を生み出すエルネスティやそれに携わった人物が標的になら無いとは限らない。故に国は彼を守ることが必要と考えた。しかし、テレスターレ開発の功績も考え彼の頭にある、今後思い浮かぶ新技術を早期に実現したいという思いもある。

 結果、自衛手段の意味合いとエルネスティ()扱える人たちで新技術の研究開発という意味合いから彼を長として、テレスターレ開発に関わった学園生全般を団員とした騎士団の設立が決定された。

 

 

ところで...

 

「ん?」

「そこまで解説するならディーさんが説明すれば良かったのでは?」

「まあいいじゃないか。さっきも言ったけど経験だよ経験」

 

 そんなやりとりをする二人を見つつ、バトソンとフィーネは今後の苦労を考えて顔に疲労の色を浮かべるのだった。とはいえ、エルネスティに振り回されるのはいつもの事かと若干諦めの考えも含みつつ笑い合った。ちなみに、二人とも騎士団への加入に関しては特に文句が無かった。突拍子のなさが過去一のスケールだったために取り乱しただけなのである。

 

 

「ちなみに拠点とかはどうするんだ?場所があんまり思い浮かばな」

ここ(学園)です。もちろん陛下に許可は取ってあります」

「「え?」」

「しばらくは学園の設備を貸してもらいます。平行して鍛冶学科新入生の一部に入団してもらって、近くに砦の建造を予定しています。僕が卒業する頃までにそちらへ移る予定ですね」

「「...」」

 

 百歩譲って場所や設備の話に納得できても、ここまでの話にラウリの名前がなかったことに、本当に加入して良かったのかと早々に不安に駆られる二人だった。

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