knights & magic ~odic theory~ 作:Drac
読み返して(流し読み)思い出しながら書いているのですが、初級魔法の存在を忘れて中級からしか明言されていないと勘違いしてました。-投稿直前まで気づかなかった-
エルネスティが運命との出会いを果たして数年がたった。
これまで彼は大きな行動に出ることができなかった。
彼はまず、前世の記憶を思い出していた。
しかし、仮に当時から騎士を目指して訓練を始めようとしていたとしても家族に止められていただろう。
当時はたった3歳で、現代社会でも具合の良いトレーニングを見極めるのは難しい。
加えてここは、前世に比べ医療技術が発展途上であり、慣例としてけがのしやすい子供が訓練を行うのは怪我が癖になる可能性があり、よろしくないとされている。
5歳を迎えた年、彼は満を持して父親であるマティアスへ騎士を目指すため、騎士になるための指南をお願いをしていた。
しかし、マティアスは不安を持っていた。
彼の務める騎士の養成所、ライヒアラ騎操士学園は3年毎に初等部、中等部、高等部と進級していく。そこから彼は、体は3年毎に次の段階へ進むという認識だった。
加えて、エルネスティは周囲と比べ小柄だったため、まだ訓練を行えるほど体が成長していないと判断した。
それでも、エルネスティは諦めなかった。彼は前世でオタクと呼ばれる人種であり、中でも巨大な人型の機械ロボットが登場するものが特に好きだった。彼の記憶は学生で卒業を間近に迎えたところで終わっている。死んでしまったのかもわからない。
ふと人生を思い返せば未練や後悔がたくさん出てくる。本来なかったかもしれない人生で、前世では踏み出さなかった後悔がたくさんあった。人間とは選択をすれば必ず後悔をする生き物だが、彼は以前とは違い踏み出した後悔を求めようと心に決めていた。
目の前にかつて夢に描いていた実物のロボットがあり、乗るための道をよく知る人物がその場にいる。
故に、彼は一日でも早くことに取りかかり、一日でも早く乗るために行動していた。
そんなエルネスティの気迫に押されたのか、マティアスも折れた。
折れたといっても、肉体的な訓練は未だ早いという認識は変えていなかった。
今後の方針として、まずは彼の妻であるセレスティナから魔法について学び、6歳を目処にトレーニングを開始することを提示した。
エルネスティも家族を困らせたい訳ではない。渋々ながら了承しているようだったが、彼の心は表面に出ているよりも賑やかだった。
彼は魔法にたいし、ロボットに並びうるほどの憧れを持っていた。前世の彼曰く、魔法・剣・ロボットはオタク三種の神器だとか。
ともあれ、強い興味を持っていた魔法を学べるということで彼は密かに喜んでいた。
魔法の勉強は翌日から始まった。ちなみにセレスティナはエルネスティに魔法を教えることについて、マティアスから相談された際、ノリノリで承諾していた。
彼女は夫の仕事を度々覗いた結果、人に教えるという行為に憧れを持っていたのだ。
初日で彼女は興奮気味に教え始めた。
「それでは、これから魔法についての講義を始めます」
そう言葉を発するほどだ。誰しも、小さなことでも憧れが現実になることは楽しいのだろう。
ちなみに、エルネスティも悪ノリをして彼女を先生と呼んだりしており、問題なく進みつつも収拾はついていなかった。
まずは、魔法を使うために必要な前提の勉強から始まった。
魔法とは
「
この世界の生物は呼吸によって
”素材がエーテルと呼ばれるものであること”、”すべての生物が
そういった、大きなくくりとしての法則は理解している。
”
単体の法則とも呼べる小さなくくりとしては、1000年を超えるこの世界の人類史においても、未知である部分は未だ数多く存在する。
判明していることで最も有名なものの一つは、保有している
「すごいですね、母様。ですが、僕は魔法を父様の職場でしか見たことがありません。生活に活用すれば便利そうなのに、なぜでしょう」
「それはね、人間は元々魔法が使えない種族だからなの」
人間は元来魔法を使うことができない。
魔法の発現には触媒結晶と呼ばれる物質が必要で、それを器官として持つ生物は多くいるが、人間には備わっていなかった。
彼らの祖先は魔法という現象に気づいてから研究を重ねてきた。そして、身体に触媒結晶が備わっていないとしても、触媒結晶に触れ
「そうして、戦うときに使いやすく形を変えて、杖の先につけているの。普段から杖を持って生活するのも大変でしょ?」
「なるほど。たしかにずっと持っているのは大変そうです」
エルネスティは前世のゲームにおいて、魔法とは杖を使う物という認識があったためこの説明で納得していた。
しかし、歴史には記されていないが理由はそれだけではない。実は、触媒結晶に直接触れて魔法を発現させることは困難だった。
魔法とは発現するときに方向を定める必要があるが、手に持っている状態ではそれが安定しなかった。
発現の方向は触媒結晶に
直接触れて発現する場合、手のひら全体から
その影響で、自身へ向けて発現してしまうことが多かった。
ほかにも、いろいろとあるが、そのどれもが自身に被害が及ぶものだった。
そして、物体を通して
スムーズに魔力を流し込むため、数少ない魔力に親和性の高い木材であるホワイトミストーを持ちやすく加工し、杖先に触媒結晶を取り付けた。
そういった長年積み重ねたことの集大成が杖という武器なのだ。
魔法に使う物に対する話が終わると、具体的に発現させるための話へと切り替わっていった。
「魔法を発現させるには、頭の中にある
「...あまり想像できません」
「そうね、こればっかりは一度体験してみないとわかりづらいわよね。今度試してみましょうか」
魔法は、必要な魔力量や
最も簡単な階級は
そこから、中級魔法、上級魔法と分かれており、上級魔法は騎士以外は使えない場合が多い。
さらにもう一つ上に戦術級魔法と呼ばれる階級が存在するが、人間では発動できないほどの魔力量が必要になる。
戦術級魔法は主に
数日後、セレスティナに指導されながら魔法を使ったエルネスティはその感覚に既視感を覚えていた。
その日は、下級魔法だけ実践を行う予定だったが、彼女の想定以上にエルネスティに筋があったため一つ中級魔法を試していた。
中級魔法を扱ったとき、彼はより強く既視感を感じていた。
魔法の実践を終えてから一日考えていたが、夕餉を終えた頃その既視感は前世に起因することに気づいた。
(何か既視感を感じると思っていましたが、そういうことですか。実際に現象を処理する基礎式、それをつなげて実行させる制御式...これは前世で学んだ情報処理に紐付けることができそうです)
情報処理、一般的にプログラミングと呼ばれる分野では、”画面に文字を表示させる”、”キーボードから入力を受け取る”といった表に出る動作の処理を行う文章と、”値を計算する”、”無限に繰り返す”といった処理を行う部分をつなげたり表に出さない動作を行う文章で、パソコンにさせたい行動を決める。
そのことに気づくと、今までなんとなくで理解していたことを自分なりの解釈で理解を深めることができた。
原理の理解が深くなることで、魔法の勉強は順調に進んだ。何事も基礎が大切なのだ。
そんなある日、エルネスティは上級魔法である
しかし、そのためには魔法を何度も使う必要がある。より階級の高い魔法を使えば回数は減るだろうが、威力が高くてそう簡単には使えなかった。
その点、
そうして
ほかにも、手足の長さや姿勢といった身体情報の取得といった問題点を見つけた。
そこで数日をかけて彼は省略、関数化、共通化と
しかし、改造が終わってから満を持して