knights & magic ~odic theory~   作:Drac

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20話

 銀凰騎士団が設立してからしばらくたったある日、エルネスティによって団員達はいつも会議室として使っていた場所とは別の工房の広めな一角に集められていた。なお、エルネスティ他一部は学園に在籍しており、授業に出ているものもいた。ちなみに会議室として使っていた場所は銀凰騎士団が借用するということで、簡易的ではあるが仕切りなどが作られて名前通りの体裁が出来上がっていた。

 ここしばらくの仕事はそういった学園の簡易改造―建造予定の砦へ移るとき元に戻せる程度―だった。他には学園に残っている数機のサロドレアの整備くらいで団員達は手持ち無沙汰な状態になっていた。

 そんなしばらく暇な時が多そうだと話し合っている中、エルネスティから呼び出されて仕事始めの声がかかる。

 

「それでは、銀凰騎士団最初の仕事を発表しようと思います」

「もうおっぱじめようってのか。だが、機体はどうすんだ?」

「そうだぞエルネスティ、学園所有の機体は学生が使用している分しかない」

 

 ダーヴィドとエドガーが疑問をこぼす。現在、ライヒアラ騎操士学園が所有している幻晶騎士(シルエットナイト)の数は両手で数えられる程度のサロドレアだけだ。

 

 遠征時の陸皇亀(ベヘモス)との戦闘で学園所有の半数程度が大破という状況になった。中には修復が不可能な程破壊されたものもあった。そして、修復可能だった機体はエルネスティの提案によってテレスターレへと改修された。旧式のサロドレアということもあって機体の補充は現行機のカルダトアになるため、年単位で望めない状況だった。

 また、エドガー達が高等部を卒業しても騎操士課程履修者は毎年入ってくる。学園に存在する騎士候補生の数が大きく増減することは滅多になく、昨年までよりも半分程度の機体を上手く回す必要があった。

 

 そういった理由があって、学園所有の機体は以前より少なく、それを学生達が絶えず使用している状況だった。ちなみに陸皇亀(ベヘモス)との戦闘による補充ではなく、テレスターレの受け渡し分や騎士団稼働分としてカルダトアを併せて20機、二個中隊程度が数ヶ月後にディスクゴード家、朱兎騎士団経由で送られてくる予定である。

 

 エルネスティは二人の疑問への回答として背後を指し示した。そこには人よりもいくらか大きな甲冑、幻晶甲冑(シルエットギア)が存在していた。しかし、それは過去に製造したものと少しばかり様子が違った。エルネスティやオルター兄妹が動かしているのと遜色無いほど動きが良かった。そこにいた全員が誰が動かしているのかと考えたが思い浮かばなかった。目の前で立っているエルネスティはもちろん違う。オルター兄妹はエルネスティのように免除を行っていないため、現在は授業に出ている。他にもディートリヒやフィーネといったまともに動かせる人間は一緒になって頭を抱えている。

 よくよく見てみると、頭を覆う兜がいつの間にか取り外されていた。一体誰なんだろうとその顔をのぞいてみるとそこにはよく見知った人物、バトソンがいた。その事実に疑問をもったダーヴィドが再び疑問を投げかける。

 

「...ちょっと待ちやがれ!バト坊はお前らほど魔法が得意じゃねぇだろ。どんなからくりだ」

「親方、いいところに気づきましたね。実は小型の魔導演算器(マギウスエンジン)を搭載したんです」

「今までのは魔導演算器(マギウスエンジン)の補助なしだったから魔法に精通したエルみたいなのか、ディーさんみたいに相応の慣れが必要だったけど、幻晶甲冑(シルエットギア)自体が小さいから俺でも動かせるくらいには補助出来るんだ」

「少々単価が上昇してしまうのが傷ですが、許容範囲でしょう」

 

 淡々と答える二人になんともいえない表情になる面々だった。小型魔導演算器(マギウスエンジン)の搭載自体は幻晶甲冑(シルエットギア)の扱いづらさが発覚してすぐに提案されたことではあった。しかし、魔導演算器(マギウスエンジン)の自力製造が難しく、幻晶騎士(シルエットナイト)の重要部品であるため、小型化するために潰す事になるため踏み込めなかった。

 

「小型の魔導演算器(マギウスエンジン)なんてどこから...」

「それでしたら、ディスクゴード公が提供してくれました。僕たちの活躍をみて有用性を感じてくれたみたいで、小型化が簡単だったのでお願いしたらすぐに提供してくれました」

 

 誰かがこぼした疑問にエルネスティが若干興奮気味に答えた。幻晶甲冑(シルエットギア)の抱えていた問題が解決して普及する可能性を考えて、日常で機械(ロボ)に触れられるようになるのを妄想していたのだろう。

 そんな中、ダーヴィドは重大なことに気づいて声を上げた。

 

「ちょっとまて、バト坊が扱えるって事は俺たち全員がフィーネのやつみてえに動けるって事じゃねえか」

 

 その言葉を聞いて、フィーネの幻晶甲冑(シルエットギア)による活躍を思い返した面々はそそくさと自分たち用の幻晶甲冑(シルエットギア)を製造するために動き出した。

 

 

「ところで、それを使えばより幻晶騎士(シルエットナイト)の操縦に近い訓練が出来るということになるな」

「あ、それなんですけれど、教導用は魔導演算器(マギウスエンジン)を搭載して補助を、訓練用は搭載しないか演算に負荷をかける形にしようかと考えています。とりあえずは色々試したいですし、鍛冶師用の幻晶甲冑(シルエットギア)が優先ですね」

『...』

 

 エドガーが幻晶甲冑(シルエットギア)を使用した訓練に光明が見えたかと思って話しかけたが、むしろ厳しくなる可能性を話されて他の騎操士(ナイトランナー)達と一緒に口を結んだ。




三巻の挿絵を見て気がついたんですけど、幻晶甲冑(シルエットギア)って小さいロボに座って搭乗するような形だったんですね。(気づくのが遅い)
本当、何回も見ているはずなのに見逃していて、読み返しってこういう新しい発見があるから面白いですよね。

アニメや漫画がパワードスーツのように着ているので、それ満足に動ける?、と思っていましたが、あれなら納得です。(revisionsのストリング・パペットなんかが近いかな?)

まあ、「バトソン用で簡易的に急造したから」や「初期型だけそういう形」などの可能性もありますけど。(7巻の挿絵で降下甲冑(ディセンドラート)はしっかりパワードスーツとして着ていた)

とりあえず、ややこしくなりそうなんで拙作ではすべてパワードスーツの形でいきます。
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