knights & magic ~odic theory~   作:Drac

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29話

「新型機開発が終われば何が始まると思います?」

「えーっと、エル?」

「知らないんですか?新型機開発が始まります」

「坊主...今日はもう休め。アディ!」

「はいはーい」

 

 そんな会話が聞こえてくる程にはエルネスティに疲労がたまっていた。どれだけ好きな仕事であろうと、やはり人間疲労から逃げることは出来ないのである。とはいえ、彼の場合は好きさ加減が異常なために他の団員に比べて休みは半分以下で十分回っていた。

 

 選択装備(オプションワークス)の改良や新規開発やカルダトア・ダーシュを元にした正式量産機、カルディトーレのために国機研(ラボ)と会議であったりと色々と行っていた。前回話した戦馬車(チャリオット)も試作品の開発が始まっていたりする。そんな中、特筆すべきなのはツェンドルグの量産化だろう。

 

 実のところ、ツェンドルグの量産機、ツェンドリンブルはそれほど変化がない。なぜかというと、一番の問題点を解決するのが難しいために結晶筋肉(クリスタルティシュー)の量、配置の調整といった簡単な変更が主となったためである。

 

 ツェンドルグの問題点は大きいもので二つ、操縦系統と魔力(マナ)系統だ。

 

 操縦系統はツェンドルグ時点で2人乗りであり、息を合わせる必要があった。人型兵器ということもあって相当の技量と連携が必要であり、現実的ではない。そのため、意思伝達の必要も無い通常の1人乗りの方が騎操士(ナイトランナー)としても親しみやすいと簡単に想像できるため、2人乗りは今回限りの者であった。魔法術式(スクリプト)は側が出来上がってから競作までの期間や模擬戦での戦闘動作によってほぼ完成状態にまで出来上がっていた。あとは、最終チェックや1人乗り用に下半身の動作を自動化する必要がある程度で、極論構文技師(パーサー)だけいれば開発が進む状態だった。そのため、幻晶騎士(シルエットナイト)の操縦系を1から造るともいえるため時間はかかったが新しい問題も大きなものがでてこず、素直に開発が進んだ。

 

 魔力(マナ)系統は結論から述べれば改善でき無かった。やはり、魔力転換炉(エーテルリアクタ)を二つ使うというのは国機研(ラボ)としては量産性の低下から各騎士団に一機などの未来が見えており、国としても騎士団としても出来ればしたくない選択であった。

 そこで様々な実験が行われた。有史において、少なくとも建国後の記録には存在しない魔力転換炉(エーテルリアクタ)魔力(マナ)生成量増加に関する実験である。

 

 例えば吸入量を増加する実験があった。とはいえ、生物と同じく空気中のエーテルから魔力(マナ)へと変換する性質からすでに、魔力転換炉(エーテルリアクタ)は魔法を用いて空気の吸入を行っている。そこに手を加えるのだが、結果は振るわなかった。

 アーキッドの案で吸入速度を変えたが、そのための魔力(マナ)消費が増えるばかりで生産量は大して変化することがなかった。

 エルネスティの案で吸入する空気を圧縮したが、生産量は目に見えるほど増えたが魔力(マナ)消費の増加量のほうが多かった。

 

 そんななか、ある実験を切っ掛けに魔力(マナ)供給量増加は将来性はあるが現状実現不可能とされた。それはフィーネの案で行ったエーテライトと呼ばれる鉱物を使ったものだった。

 何度か記述したが、魔力(マナ)は空気中に存在するエーテルと呼ばれる物が変化した物である。となれば、逆説的に空気中のエーテルが増えれば魔力(マナ)の変換量が多くなる。先に挙げた二つの実験もこれが主目的となっている。アーキッドの案は量で、エルネスティの案は質でエーテル量を増やそうとしたが、そのためにより多くの魔力(マナ)を使用しているため本末転倒になっていた。以前に幻晶騎士(シルエットナイト)の大きさで見受けられたように、現状の吸入量が消費量、生産量の費用対効果的に最適解といえる。

 

 では、フィーネの案はどうなのかというと、エルネスティの案に近い質を上げるものだった。

 まず、エーテライトは現代において何の価値もない鉱石である。それは加工できないだとか、組成が不明だとか、そういった理由ではない。エーテライトは名前からも察せるようにエーテルに関連した鉱石だった。どういった経緯でこれが出来上がったのかは未知ではあるが、どういった鉱石なのかは市民でも知ることが出来るほど広く知れ渡っていた。

 

 エーテライトは物質的なエーテルの塊だと考えられている。理由は単純でこの鉱石を空気中に長くさらすと溶けるように消えていくのだ。この世界ではまだ概念として存在していないが、昇華という現象と非常に近い。また、溶けているエーテライトの近くでは通常より魔力(マナ)不足からの立ち直りが速い。

 ここまで聞くと非常に有用な鉱物に聞こえるかもしれないが、価値がないとされるには十分な理由がある。まず、先ほども言ったようにエーテライトは空気中にさらすと次第に溶けていく。鉱石と言うからには地下にあるそれがなぜとけないかというと、周囲をそれなりの密度を持った物質で囲むことで溶けなく、または非常に溶けにくくなる。つまり、一般的に利用しようとすると溶けないようにそれなりに大きく、重い何かに入れる必要があってとても不便なのだ。戦時利用と考えても苦労して運んだとして効果が魔力(マナ)不足からの回復が気持ち早くなる程度の物で正直あっても無くても変わらない。

 さらには、エーテル酔いとも呼ばれる現象が確認されている。原因は不明だが、エーテライトの近くで発生することからエーテルに関係した物で、魔力(マナ)不足に近い症状だと考えられている。エーテルについて、人類は1000年単位で研究を行っているが魔力(マナ)や魔法といったわかりやすい物に比べて進んでおらず、非常にマイナーな題材となっている。

 

 これまた綱型結晶筋肉(ストランド・クリスタルティシュー)のように試した人間がいなかったのかと疑問に思うようなものだが、エーテライトを溶かして吸気させたらどうなるのか、というのがフィーネの案である。

 一応述べておくと、騎操鍛冶師(ナイトスミス)達は構造的、性質な強化を主眼においており、そういった面で役に立たないと断言できる鉱石はそもそも覚えていない事が多い。また、エーテライトを認識しやすい人達も基本的に騎操士(ナイトランナー)構文技師(パーサー)志望であり、騎操鍛冶師(ナイトスミス)的な考えになら無かったためこういった方向に考えが及ばなかったのだ。

 本人の資質もあるが、エルネスティによって構文技師(パーサー)にもなれる騎操鍛冶師(ナイトスミス)といういままでいそうでいなかった人材となっていたため、発案できたといえる。

 

 長々と記述してきたが、先にも述べたようにこの実験をもって、魔力(マナ)生成量増加実験は打ち切られている。

 実験は極簡単な物だった。まずは理論として実現できるか、吸気口近くにエーテライトを置く。ただそれだけの物だった。実験を開始してしばらくは魔力(マナ)の供給量が増えており順調といえた。問題は稼働を続けた先にあった。吸引時において、エーテライトがどれほど長持ちするのか、エーテライト一つでどれほどの効果があるのか、といった実験を続ける価値があるかの確認だった。

 そうして、エーテライトが半分ほどの大きさになろうかというとき、唐突に魔力転換炉(エーテルリアクタ)はその機能を停止した。魔力転換炉(エーテルリアクタ)自体が貴重な部品であるため、新品とはいえなかったが今日明日壊れるようなものでもなかった。

 故に、エーテルを増やして魔力(マナ)供給量を増加させるのは魔力転換炉(エーテルリアクタ)損失の危険があるためこれを最後に実験は中止となった。

 

 

 そういった経緯があって、ツェンドルグとツェンドリンブルは一人乗りになった以外は大きな違いは無い。

 

 

 ただ、一言書くとすれば、研究家(マッド)気質なやつらは気になったらそのままにしておかない。




このあたりを書きたくて始めたのに、もう半年以上...
(ちなみにやりたかったことは大してかけてない)

見切り発進してやりたいところまで半年以上かけるヤツがいるらしい...
どうしてこんなことになってしまったのか...私にもわからん。本当に申し訳ない。

一番の敗因は考えなしにはじめから書き始めたからでしょうね。
やっとタイトル回収できるぞ!って思って今話書き始めけどまだまだかかりそう(´・ω・`)
(↑ほんとそういうとこやぞ(怒`・ω・´)ムキッ)
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