knights & magic ~odic theory~   作:Drac

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31話

 エルネスティとフィーネがこそこそと何かを企んでいる中、銀凰騎士団に一つの依頼が舞い込んできた。それは王族のアンブロシウスとエムリスの専用機作成であった。

 

 騎士団の仕事といえば通常、魔獣の間引きであったり、珍しいが商隊等馬車の護衛であったりだ。しかし、銀凰騎士団はエルネスティの突飛なアイデアを現実にするために設立された側面がある。そのため、―国機研(ラボ)以外からは今回が初で、仕様相談など顔もであるが―幻晶騎士(シルエットナイト)製造について依頼が来ることがあった。

 

 ちなみに、国王のみが騎乗することが許される国王機、レーデス・オル・ヴィーラが存在している。アンブロシウスはつい最近までこれに騎乗することが出来たが今は出来ない。カルディトーレの完成を機に、時代が移り変わったと王位を息子のリオタムスへ譲ったのだ。そのため、今まで王族機をウォートシリーズで代用していたこともあって金型となる機体を銀凰騎士団へと依頼したのだ。それを偶然耳にした孫であり、隣国のクシェペルカから帰ってきたばかりのエムリスが俺の分もついでに造ってくれとアンブロシウスに付いてきたのである。

 

 なお、エルネスティが機体の要望を二人に聞いた際、アンブロシウスはエムリスへと譲り、エムリスは1にパワー、2にパワー3,4が無くて、5にパワーと言わんばかりにパワーばかり発言していた。それを聞いていたエルネスティはメモを一度めくり(無かったことにして)、新しい紙にただ一言()()と書き直していた。

 

 

 膂力に秀でた機体を造ろうとした際、頭によぎる機体が存在する。ディスクゴード公爵直属の朱兎騎士団団長機ハイマウォートだ。何事にもいえるが前例という物があるのなら真似をしない手はない。古今東西あらゆる場所で言われているのが、新技術を支えるのが古い技術である。

 

 実際、銀凰騎士団産の技術はカルディトーレ開発の際に国機研(ラボ)が磨き上げているが、まだまだ新しい不安定な技術である。わかりやすい所で言えば、板状結晶筋肉(クリスタルプレート)は"魔力(マナ)貯蓄量に重点を置く"という新しい発想によって生まれており、蓄魔力式装甲(キャパシティブレーム)に使用するため硬度に注目する事が増えたこともあって、発展型が開発されるスパンがかなり早い。また、密接な関係にある結晶筋肉(クリスタルティシュー)板状結晶筋肉(クリスタルプレート)の技術から派生形の型が時折開発されている。

 例えば、将来的な話だがハイマウォートの後継機は魔力貯蓄量(マナ・プール)をある程度捨てて膂力に秀でた結晶筋肉(クリスタルティシュー)で開発する計画が出ている。

 

閑話休題

 

 思い立ったが吉日と、エルネスティは早々にクヌートを頼ってハイマウォートの設計図を見せてもらった。なお、このときアンブロシウス達の話も出したためクヌートは「またか」といわんばかりの苦い顔を見せていた。

 

 そんなこんなで王族からの依頼ということでもらった設計図を元に二人の専用機を王族ということで防御力にも秀でた形で設計を始めていた。そんななか、エルネスティのいつもの悪癖が飛び出してきた。魔導噴流推進器(マギウスジェットスラスタ)然り、ツェンドルグ然り、銀凰騎士団産の技術にいえることだが、エルネスティが―前世知識の再現を含めた―ひょんな思いつきで持ってくる無駄に完成度の高い設計図、計画表が元凶となっている。

 今回もそのひょんな思いつきを騎操鍛冶師(ナイトスミス)に渡す前に仕込んできたために製造を始めてから発覚しダーヴィドにこってり絞られていた。

 

 今回の思いつきとは、複数の魔導兵装(シルエットアームズ)を連動起動させて超火力と連射速度の汎用性を持たせようと言うことだった。少々方向性は違うが、エムリスは補助腕(サブアーム)のことも関心した様子を見せていたため、物理一辺倒ではなくわかりやすい物を好むだろうという判断である。

 なお、一番の被害を被ったのは騎操鍛冶師(ナイトスミス)ではなく構文技師(パーサー)だった。とはいえ、エルネスティはハードウェア、ソフトウェアの両方に対してアプローチするため今回は構文技師(パーサー)だったと言うだけである。

 

 連動実験として、はじめは火力といえば初めに思いつく火系統の魔導兵装(シルエットアームズ)を使用した。しかし、四連杖形態に近い形になっただけで、期待していたような大火球になったりはしなかった。

 よくよく考えてみれば当然のことで魔導兵装(シルエットアームズ)は負荷軽減に使用される物で、時々によって発現方法を変えることは考慮されていない。となれば、火球や火槍などを生み出して発射するだけの火系統魔導兵装(シルエットアームズ)では同時に撃ち出すだけの結果となる。

 

 連動起動は生成、投射を行う魔導兵装(シルエットアームズ)ではなく、生成がそのまま攻撃や投射に移る魔導兵装(シルエットアームズ)に方向が決まった。雷撃系統の魔導兵装(シルエットアームズ)や火炎放射のような魔導兵装(シルエットアームズ)など様々なもので実験していった結果、風系統の魔導兵装(シルエットアームズ)が第一候補となった。雷撃系統はそもそもが消費魔力も高く、攻撃性能が高いためそれほど効果が見込めなかった。火炎系統は多少は威力を増したが、効果的な威力増強には長時間の発現が必要であり、実用的とはいえなかった。風系統は空気の圧縮や流れを操るため、連動させればそれだけ多くの空気を操れた。加えて、他に比べて比較的とはいえ消費魔力(マナ)が少ないため連動起動させてもまだ十分動くことが出来た。

 

 そういったそれなりに時間をかけた実験から魔導兵装(シルエットアームズ)連動起動、獣王轟咆(ブラストハウリング)と名付けられたこれは風系統の前方を地面ごとえぐるような機能となった。

 なお、後の世において脳筋なエムリスは度々この機能を使用しているが、長年の経験から堅実に行くことも頭にあるアンブロシウスは滅多にこの機能を使用しなかった。

 

 

 ちなみに、アンブロシウスの異名からとって獅子と対をなしそうな虎、二つと言えばで金銀とわけて、ゴルドリーオ、ジルバティーガと命名された。

 

 お披露目の際には、二人共がゴルドリーオを指名したために決闘騒ぎとなり、エムリスが意地を見せたことで勝利した。結果ゴルドリーオはエムリスの乗機となり、ジルバティーガはアンブロシウスの乗機となった。

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