knights & magic ~odic theory~   作:Drac

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32話

 王族機の製造などがありつつも、気ままに幻晶騎士(シルエットナイト)開発を続けていたエルネスティ達だが、アンブロシウスから一つの依頼がやってきた。それはこれまでの幻晶騎士(シルエットナイト)製造に関するものではなく、騎士団としての仕事であった。仔細は省かれたが、国内のとある砦へ群れをなす魔獣、殻獣(シェルケース)が向かっているという。

 銀凰騎士団へ依頼を行った理由は、その場所ができるだけ秘匿しておきたい場所であるというのが一つ。また、自由に動くことができてツェンドリンブルがあるため迅速に駆けつける事が出来るためだった。他の騎士団では、所属する貴族に説明する必要が出てきて、その場所が広まる可能性が高まる。さらに、物理的な問題として近隣に騎士団が存在せず、駐屯している一部隊が存在しているのみであった。

 

 はじめはエルネスティ達もそんな重要な仕事をこなせるのかと少々ためらっていたが、アンブロシウスがエルネスティに耳打ちすると一転して積極的になった。その内容とは、砦の奥にある地域、魔力転換炉(エーテルリアクタ)の生産地である森都(アルフヘイム)の存在についてであった。万が一、砦が陥落して森都(アルフヘイム)まで侵攻を許した場合、最低でもしばらくの間は魔力転換炉(エーテルリアクタ)の製造が滞り、国防に不安が出てくる。最悪の場合、森都(アルフヘイム)が壊滅し、魔力転換炉(エーテルリアクタ)の製法、生産能力が失われてしまい、復旧にどれほどの時間が必要か想定できない。

 

 殻獣(シェルケース)は群れによって分類され、最低でも中隊級、大きさによっては師団級にもなる。

 二世代も前のサロドレアで同じ師団級の陸皇亀(ベヘモス)と戦闘経験を持ち、ヤントゥネン守護騎士団と共同ではあるが、討伐経験も持つエルネスティ達に期待が寄せられている。

 

 そう長くない時間で準備を終えた彼らにアンブロシウスや付いてきていたエムリスは感心していた。なお、複数の荷馬車(キャリッジ)が並ぶ中に一つだけ他と様子の異なるものを見つけたアンブロシウスはエルネスティの悪癖にやや困った表情を浮かべた。

 

 

 駆け出した銀凰騎士団はアンブロシウス達の想定通り、相当早く砦まで到達した。しかし、そこで一番槍を買って出たのはエムリスだった。アンブロシウスの若かりしころの獅子と呼ばれたやんちゃな性格にちかい彼は積極的に前線へと進んでいった。

 

獣王轟咆(ブラストハウリング)!!」

 

 駐屯していた騎士達が劣勢の中飛び出したエムリスがエルネスティ指導によって、技名を大胆に叫びながら必殺技ともいえる獣王轟咆(ブラストハウリング)を放った。

 彼が率先して前に出たのにも一応、しっかりとした理由がある。ゴルドリーオの獣王轟咆(ブラストハウリング)は地面をもえぐる程の火力を誇る。風系統でそれほどの威力があれば、当然射線上以外の周囲にも大きな影響をもたらす。ゴルドリーオ自身も影響を最小限に抑えるため、獣王轟咆(ブラストハウリング)発射時には背面のスパイクを地面を突き刺して固定している。後方では射線上に味方が巻き込まれる可能性もあり、前線でも安直に放てば味方へ被害を出すことになる。故に、ゴルドリーオは後方で指揮をするより前線で戦闘するときの方が真価を発揮する。

 

 試作とはいえ、王族機がこんな仕様なのはいかがなものだろうか。アンブロシウス達が受領してからしばらく、王族機や連動起動魔導兵装(シルエットアームズ)ということで興奮していた面々が冷静になった際にそう思う人間も多かった。

 

閑話休題

 

「フゥッハッハ!見たかゴルドリーオの力!...って、なんじゃこりゃあ!?」

「四つの魔導兵装(シルエットアームズ)を連動させて連続稼働させてるので、その威力の代償ですね」

 

 とはいえ、エムリスはその辺りを感覚でなんとなく知覚しているだけで、理屈として把握しているわけではなかった。先にも述べたように本人の性格で後先をあまり考えず突っ込んでいる節もある。そのせいか、理解しているつもりであった獣王轟咆(ブラストハウリング)の欠点、消費魔力の多さを実際目にして尋常ではないほど驚愕していた。

 すでに一度放っているが十分戦闘出来るほど、最悪もう一度放つ程度の魔力(マナ)が残っている。そのため、開発元であるエルネスティ達は、こういった細工を施す際の風系統の燃費に関心していたのだが、それを知らないエムリスはそんなものかとあっけない反応だった。

 

 かくして、エムリスの獣王轟咆(ブラストハウリング)によって殻獣(シェルケース)を大きく減らして戦闘が開始された。

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