knights & magic ~odic theory~   作:Drac

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43話

 ジャロウデクとの決戦に勝利したとはいえ、敵はまだ強大である。

 王都はいまだあちらの手中にあり、一度滅ぼしたとしたした相手との協定に踏み切れるものでもない。それこそ歴史的敗北を経験でもしない限りは。

 

 クリストバルに牽きいられてきたのは一都市を落とすということで大部隊であったが、勿論全戦力というわけでもなく姉であり最高指揮官であるカタリーナのもとには戦争を続けられるだけの戦力が残っていた。

 とはいえ大敗北になったことには変わりなく、編成のし直しや調査、占領地の調整といった形でしばらく動きが鈍っていた。

 

 クシェペルカ側も勝利したが、ここまで及び腰だった貴族達の説得やジャロウデク側の技術検証といった形で時間を欲していた。優位に立てるようになったとはいえ、数で押しつぶされてしまえばそれまでだ。それに加えジャロウデクの戦力には未だ未知の部分が多い。一度見せた魔導飛槍(ミッシレジャベリン)がいつまでも通用するとは考えないのがエルネスティである。

 

 結果、それほど長くはないが事実上の休戦状態に陥っていた。

 

 

 そう言ったわけで、エルネスティは嬉々として飛空船(レビテートシップ)やティラントーのリバースエンジニアリングに従事していた。技術が一番進む場面とはこういった命の危機が迫った状況における模倣と改良である。

 

「それでは、人生...何度目でしょう。まあいいでしょう。魔導演算器(マギウスエンジン)直接接続!」

 

 エルネスティはなれた様子で魔導演算器(マギウスエンジン)に接続し、内部情報を精査する。通常は内包される情報量が多く、複数人で干渉、操作を行う。しかし、彼は幻晶騎士(シルエットナイト)魔法演算領域(マギウスサーキット)経由で直接操作を行え、その経験もある。それも一度や二度ではなく、第一彼の乗機であるイカルガも特別な操縦桿、操鍵盤(キーボード)である程度システム化しているが、直接制御(フルコントロール)も行える程高い演算能力が無いと満足に操縦できない。

 

 とはいえ、これはあり得ない状況といえる。魔導演算器(マギウスエンジン)に接続できるほどの腕を持つのは構文技師(パーサー)くらいであり、騎操鍛冶師(ナイトスミス)と違い彼らは通常前線に出てくることはない。機体は整備が必要であるが、それを制御する魔法術式(スクリプト)は整備の必要が無い。魔導演算器(マギウスエンジン)が破損したとしても、後方で魔導演算器(マギウスエンジン)魔法術式(スクリプト)を書き込み、前線へ送るだけで良い。

 それだけの技術を持った騎操士(ナイトランナー)というエルネスティが異常なだけである。

 

 また、テレスターレが奪取されたことからもわかるとおり、この世界の防犯観念はそれほど高くない。つい数百年前までは人同士で争う余裕がなかったためだ。

 西方の魔獣を駆逐し、森伐によってフレメヴィーラが建国がされたことで生存に余裕を持つようになった。常日頃魔獣と対峙する機会の多いフレメヴィーラでは実感は薄いが、個々人の利益や部族の思惑といったものが出てきても問題なくなったためにかつて一つだった西方は西側諸国(オキシデンツ)となった。

 つまり、対人という概念がひどく浅い歴史しか持っていないのだ。故にセキュリティという概念が確立していない。

 

 ティラントーの方は既に何度か確認しているため機構的な解析で終わる。しかし、飛空船(レビテートシップ)の方は初めてのためウキウキしながら解析を開始した。

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