エルネスティ達が技術検証を行ったり、捕虜から情報を聞いた結果として、飛空船はこの世界独自の気球のようなものであると判明した。
飛空船には機密度の高い源素浮揚器と呼ばれる機械が存在しており、そこで浮力を発生させて浮上している。そこには高濃度のエーテルが封入されており、そこに接続されているエーテライトをエーテルへと変化させる源素供給機というもので濃度を操作する構造になっている。高濃度にするには源素浮揚器へひたすらエーテルを注ぎ込み、低濃度にするには気密度を下げてエーテルを逃がしている。
エルネスティには、この高濃度のエーテルが浮力を持つ性質は前世の知識からは思いつかない性質で単純にこれを発見したジャロウデクを賞賛したのだが、聞けばこの法則を見つけたのは最近ジャロウデクへやってきたよそ者だそう。
さらに言えば、飛空船の構造を発案したのもそのよそ者で、幻晶騎士にも一部声をかけていたそうである。そこに自分と何か似たような空気を感じたエルネスティはそのよそ者、オラシオ・コジャーソに興味を持ち始めた。
ちなみに今回の理論、純エーテル理論を発見したのは正確にはオラシオ個人ではない。過去に、通常魔力の研究を行う中エーテルに注目した異端者達がいた。彼らは国や周囲の人達からくる非難の目をうっとうしく思い人里を離れて生活、研究を始め、いつの間にか隠れ集落のようになっていた。彼はその集落出身で高濃度エーテルが浮力を持つ性質に感心をもって研究を始めた。
しかし、オラシオは集落での研究に限界を感じた。彼は何の制限を受けず自由に空をかけたかったが、人里からはなれた場所では高度な設備が無く、あるときから研究に滞りを感じ始めた。それを解消するためあえて集落から離れ、西側諸国統一を目指していたジャロウデクへと理論提供を行い、研究を行う交渉を行った。結果として飛空船が完成したという経緯がある。
閑話休題
そこから連鎖的にティラントーにあった謎の機械についても判明した。それは源素供給機の改造品で魔力転換炉に高濃度のエーテルを送り込むものだった。
覚えている者もいると思うが、魔力転換炉は使用している触媒結晶によって魔力生成量が変換する。しかし、触媒結晶によって多少魔力転換炉が巨大化するとはいえ吸排気される大気量はそれほど変わらない。それでも生成量が増加しているということはつまり、エーテルの魔力変換効率が上昇していることを意味する。
そう。“効率”が上昇しているのだ。つまり、効率を上昇させずとも吸入するエーテル量が上昇すれば効率がそのままでも生成量が増加する。それはエルネスティ達もツェンドリンブルのために行った実験で理解していた。しかし、大気からエーテルをかき集めようとすればそれだけ吸入に必要な魔力が増加して消費量が上回ってしまう。そのため、エルネスティ達は現実的ではないと判断したが、源素供給機はエーテライトと少量の魔力で高濃度エーテルを生成出来る。
使い道のなかった鉱物だったためにそれほど惜しむ理由もない。それほど掘り出されなかったから鉱山には大量に埋没している。将来的に考えれば重要な資材ではあるが、今次大戦を勝てば他領の鉱山持てに入るため問題ないとジャロウデクは考えた。
しかし、そこには一つ落とし穴があった。“エーテル”にのみ注目を向けており、幻晶騎士にそれほど興味を示していなかったからこそ、魔力転換炉の魔力生成量に対する研究を行っていた銀凰騎士団だからこそ気づいたの落とし穴が。