knights & magic ~odic theory~   作:Drac

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46話

 エルネスティが大好きな幻晶騎士(シルエットナイト)の研究を行うためにも戦争を終わらせる必要がある。とはいえ、それがイコール鹵獲したものを放置する事にはつながらない。

 

 クリストバルを退けた勢いを殺さないため、状況を全土へと伝えるために早く広く行動を起こす必要がある。そのために彼らは数週間もし無いうちから行動を開始し、様子見にとどめていたクシェペルカ貴族達をも巻き込んで各地を開放していった。

 

 エルネスティ達がそういった活動をしている最中、騎操鍛冶師(ナイトスミス)達やジャロウデク側も指をくわえてみていたわけではない。

 

 騎操鍛冶師(ナイトスミス)達は来るべき決戦へ備えて新しい国王機の設計を手伝っていたり、鹵獲した飛空船(レビテートシップ)を扱えるように多少の改装と慣熟訓練を行っていた。ジャロウデクでは飛空船(レビテートシップ)の操縦も騎士の役目なのだが、現状人材に余裕があるとはいえないクシェペルカ側では仕組みをある程度理解した銀凰商会が取り扱うこととなり、騎操士(ナイトランナー)達は攻勢作戦へ従事しているために比較的仕事があいているといえる騎操鍛冶師(ナイトスミス)へとお鉢が回ってきたのだ。ついでに言えば、エルネスティは知識からロボットを操縦する人間と母艦のクルーは必要とされる能力が異なるために騎操士(ナイトランナー)以外で技術を獲得する必要があるという認識に至ったためでもある。

 それに改装とは言っても装甲や形状に手を加えて判別しやすくする程度である。先にも述べたが技術検証や改良などは暇がある時に行うべきものであり、現状その余裕があるとはいえない状況であった。また、魔導飛槍(ミッシレジャベリン)という対抗手段もあるために必要性が低いという認識になっていることも挙げられる。

 

 そしてジャロウデク側の行っていることはといえば、秘密裏に新兵器の開発...と言う形でコジャーソがコツコツ作ってきていた戦略兵器の実用化であった。

 

 

 

 

 

(それにしても鬼神が空をかけるのはどういった理屈でしょうね~?)

 

 エルネスティ達が攻勢作戦を行い始めた頃、ジャロウデクの占有する王都の工房近くで一人の男が思案を巡らせていた。彼こそがジャロウデクへ飛空船(レビテートシップ)という今回の戦争へ踏み出させる切っ掛けを与えたオラシオ・コジャーソであった。

 彼が思いをはせる鬼神というのはジャロウデク側でイカルガへ付けられた異名である。頭部の外装(アウタースキン)が人を思わせる造形をしており、伝承に伝わる鬼のような恐ろしさを感じていた。自由自在に空を駆け回る様から神のごとき御業を行う恐ろしき鬼という印象から”鬼神”と呼ばれるようになっていた。

 

 クリストバルが起こした決戦以前からイカルガの姿はそこそこ確認されており、攻勢に出ている最近では撤退してきた兵達から聞く情報も多くなってきていた。曰く、「鬼神は空を自由にかけて、軌跡には光の尾が出来上がる」そうだ。とはいえ人も多くなれば勿論注意深い人間がおり、「光というよりは爆炎のように見えた」「魔力転換炉(エーテルリアクタ)の吸気音に似た音が聞こえてきた」と現実的な観点を持った情報も多く集まってきていた。

 そこでコジャーソはイカルガが高速で空を移動する方法がわかれば研究費をちょろ...個人的に作成を行っていた戦略兵器に分類されるそれを現実的に運用できる範囲まで完成度を上げられると考えていた。それは特に根拠も無く思い浮かんだことではない。それは戦略兵器と呼称できるほどに巨大であり、とてもではないが魔力(マナ)供給が追いついていなかった。過去、蓄魔力式装甲(キャパシティブレーム)を知ったときに導入したことで一応起動実験を行える程にはなった経験があり、その技術元であるフレメヴィーラに所属するであろうイカルガに対しある種の信頼を持っていたのである。

 

 とはいえ、実験はまだ始まったばかりでとりあえず爆炎というところから爆発で空を飛ばせるのかという検証を一度行ったくらいだ。クリストバルが戦死したことで天秤がクシェペルカ側へ傾き始めているとはいえ、主戦力はまだ銀凰商会であり純粋なクシェペルカの戦力は徐々に拡充している段階である。加えて、奪還のために行う攻城戦なためジャロウデク以上に慎重に行う必要があり、ジャロウデクにはまだ余裕があった。結果的にクシェペルカが予想外の猛攻を行ったためにすぐになくなったが、この時は―時間をかけ無ければ―開発研究を行える程度にはあったのだ。

 

(さっきのは違うな。魔力(マナ)はすぐに使い果たすし、何よりも機体がもたない)

 

 一度目の実験は幻晶騎士(シルエットナイト)の背面で爆発を起こして機体を押し上げる方法だった。聞けば聞くほど”鬼神”の飛ぶ方法は炎系の魔導兵装(シルエットアームズ)だと推測された。しかし、そこからは聞いただけではわからず、とりあえず一度確認してみようと行ったところである。補助腕(サブアーム)に爆炎系の魔導兵装(シルエットアームズ)を持たせて背面でそのまま起動すれば確認だけは出来る。

 しかし、予想通りといえば良いのか幻晶騎士(シルエットナイト)は多少空中へ躍り出たが魔力(マナ)は瞬時に枯渇し、魔力(マナ)不足へ陥ったために外装硬化(ハードスキン)も十全に働かず機体がボロボロになっていた。なお、騎操士(ナイトランナー)はもう乗りたくないといったが盲目的な研究者に聞き届けられるはずもなく続投されることとなった。

 

(どういうことなんだろうな光の尾ってのは。...あとは吸気音が鳴ってたんだっけか?...まてよ。吸気に尾か...)

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