knights & magic ~odic theory~ 作:Drac
「鬼神の秘密がわかったというのは本当なの?」
旧クシェペルカ王都、デルヴァンクールの王城で最高指揮者であるカタリーナがコジャーソへと問いを投げかけていた。数刻前、コジャーソがイカルガが飛翔する仕組みの解析を終え、戦略兵器に搭載するめどが立ったと報告を行った事に起因する。
「はい。それはもう完璧に」
「カタリーナ様。わしにも聞かせてもらえませぬか?」
そこにいたドロテオ・マルドネスという男が再び質問の声を上げる。彼はイカルガと遭遇しての初めての帰還者であり、クリストバルにたいし十分な報告を挙げられず、戦死させてしまったことに悔いを感じていた。惜しむらくは
そんな中、カタリーナの護衛中にコジャーソの天才的な頭脳が
「許可します。あなたには鬼神討伐のために動いてもらう予定ですから」
「なんと。ありがたき幸せ。必ず奴めの首を献上して見せましょう」
「励みなさい。それでは、コジャーソ郷。かの鬼神の秘密とは?」
「そうですねぇ。簡単に言えば超強力な
コジャーソの答えに対し、二人はいまいち飲み込めなかったのかきょとんとした顔を向ける。
「ありゃ。ちょいと省き過ぎましたね。もう少ししっかりと説明させていただきます」
「え、ええ」
「お二方とも、
「当たり前だ。
「その通りです。ではここで一つ、仮定をしてみましょう。もし魔法現象に強い反作用が働いた場合、
「それは...」
ドロテオは困ったように口を閉ざした。
「そう。
「それがどうしたのです。いまいち話が見えてきませんが?」
「いえ、ここが大事なところなのです。逆に考えてみましょう。帆で風を受けてしまえば反作用と相殺して大して動くことが出来ない。裏を返せば帆で風を受けなければ反作用の力をそのまま推進力へと転化できるでしょう」
コジャーソの言葉に二人は納得を示す。確かにその仮定であれば態々帆で
「しかし、それほどの反作用を生む魔法など
「そう。そこが盲点でした」
魔法現象の反作用は通常の物理現象に比べとても小さい。
そのことを指摘しようとするも、コジャーソは予想していたように言葉を遮る。いや、このような寸劇じみたことをしているのだから実際に予想していたのだろう。そして、そのまま話を進めていく。
「今の仮定を魔法現象で再現するのは不可能。ではどうすればいいのか。簡単なことです。魔法現象を用いて相当量の物理現象を起こせばいい!」
「「!!」」
「ヒントは話に聞く光の尾...いえ火の尾といいましょう。それでした。かの鬼神は空を翔る際、吸気音が聞こえてきたそうですが、本当に吸気していたのでしょう。まずは空気を集め、火系統の魔法現象で加熱、膨張させ指向性を持たせて排気することで空を翔るに足る反作用を得る。これが鬼神の秘密です」
コジャーソは正しく天才であった。魔法というものが存在するこの世界において、考えが及ばない事象は等しく魔法現象であるという思考に誘導されがちである。また、
そんなエルネスティから見れば偏ったとも見える常識の中で、設計図を見ることもなく、鹵獲品からリバースエンジニアリングすることもなく、実物を見ることもなく、ただ情報を聞いただけで
(
時代や場所、人によっては彼のことを怪物と表現する事もあったのだろう。実際、相対している二人には彼が人ならざるもののような印象を受け始めていた。
「あ、そうそう。ドロテオ郷。あなたが討伐に向かわれると言うことで対抗兵器を