knights & magic ~odic theory~   作:Drac

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50話

 今回の戦闘は総力戦となる。クシェペルカは防衛の要たるここを攻略できれば戦争前の状態までそれほど労せずに達成できるだろう。対し、ジャロウデクはクシェペルカにいる兵力としても当初より大分少なく、防衛戦に強いここを攻略されれば立ち向かう術を持たなくなる。

 

 しかし、始まりは静かな物だった。といってもはじめから派手な戦闘というのは存外少ない。開幕に全力を出すことは攻撃能力と引き換えに継戦能力を失う事を意味する。加えて切り札や奥の手といわれるものは不利な状況を覆したり、最後の一押しとしての役割が強い。開幕ブッパという戦法は戦闘において有効な場合も多いが、戦場として考えればリスクの方が大きい場合が多い。

 

 それでも静けさはそれほど長く続かなかった。攻城側であるクシェペルカは方々から城壁へ向かい始めた。ジャロウデクも牽制であった法撃が徐々に密度を増して城壁へ近づけさせない弾幕を形成し始めた。

 勿論それだけの戦場ではない。クシェペルカは正当性や士気のために前国王の一人娘であるエレオノーラが―新造されて二人乗りとなった国王機にもう一人従姉妹の女性騎操士(ナイトランナー)を乗せてだが―出陣していた。彼女が死亡したり捕虜になればクシェペルカは御旗を失って瓦解する。故に一部はクシェペルカ本陣へ向けて特攻を仕掛けていた。

 対し、弾幕も近づくことが出来れば脅威度は大分下がる。クシェペルカ側、防御力が高いゴルドリーオなどを筆頭にいくらかが城門を破ろうと近づいていた。ジャロウデクもこれを黙ってみているわけではなく、例えばここ最近の攻防でディートリヒと相打ちとなったグスターボが新しい機体と共に防衛に当たっていた。

 

 そんな中エルネスティはというと...空の上にいた。といってもいつものようにイカルガの魔導噴流推進器(マギウスジェットスラスタ)を用いているのではなく、鹵獲して改造を施した飛空船(レビテートシップ)の上でたたずんでいるのである。

 ただその場にいるのではなく、竜に対するカウンターとしての役割がある。イカルガが竜に勝るにはあと一歩抜きん出る必要があり、そのためにジルバヴェールと名付けられた飛空船(レビテートシップ)と共にいる。ジルバヴェールも竜用に魔導飛槍(ミッシレジャベリン)の大量投射装置垂直投射式連装投鎗器(バーティカルロンチドジャベリンスローワ)等を搭載しており、対空衝角艦と呼んでいる。

 しかし、それは竜の側も同じ。既に二度対敵しており、戦力が拮抗していることはジャロウデクも承知のうえ。竜も同じように何らかの戦力強化を行っているとエルネスティは想定していた。

 

 

 

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