knights & magic ~odic theory~   作:Drac

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53話

 竜の秘密兵器が発動してからしばらく。決着は意外にもあっさりと着いてしまった。

 理由は二つ。一つが魔力(マナ)供給の問題、もう一つが兵器分類の違い。

 

 魔力(マナ)供給については至って簡単。竜は浮遊時間など、航空戦力としての命を削っている。対しイカルガは竜の本気に比べれば劣る物の同規模の魔力(マナ)変換を永続的に行っている。端的に言い表せば、竜は常に帰投や見せ札といった“次”を考えて行動する必要があるが、イカルガはそういった物事を考える必要が無い。大規模な補給作業が必要になる竜だが、イカルガは戦場でしばらく立ち尽くすだけで再び戦闘が行える。―搭乗者の狂気ともいえるが―竜以上に後先考えない戦法も可能なのである。故に、あと一歩の所で竜はイカルガとの力比べに負けてしまった。

 

 兵器分類はもっと根本的な部分の問題である。

 竜、ヴィーヴィルはその性質上戦略兵器として扱われる。戦場でどのように扱うのか、ではなくどこの戦場で扱うのか。防御能力と殲滅能力に秀でたヴィーヴィルは対多数戦が主戦場といえた。

 対し、イカルガは少々異常な部分もあるが純粋な戦術兵器である。対多数戦が出来るスペックを持つというだけで本命は一対一の戦闘。今回は規格外同士の戦闘であったためにそれほど違和感はなかったが、この状況はイカルガ有利に働く部分が多い。

 

 つまり、純粋な火力故に問題も少ないがヴィーヴィルの攻撃は分散する傾向にあり、イカルガの攻撃は集中する傾向がある。故にこそ、瞬間的にでも魔力(マナ)量を圧倒できていたにもかかわらず、ヴィーヴィルはイカルガの突破力に敗北したのだ。

 

 

 しかし、ジャロウデク王国に最大限の忠義を持つドロテオは最後の意地を見せた。

 

 イカルガに機体の武装を破壊され、これ以上の戦闘行動は行えない。切り札を使ってしまったために勝利を見いだすことも出来ない。

 ただ、戦場においてはまだ希望があった。

 

 一戦闘に置いて、勝敗とは純粋に最後まで立てていたかどうか出来まる。

 しかし、戦場においてはそれ以外で勝敗が決する場合がある。その代表格ともいえるのが大将首だ。いかに負けていようと、勝っていようと、自分たちをまとめ上げる人間がいなくなれば統制はとれない。戦う意味を失ってしまうのだから。

 

 そうして、ドロテオは一つの戦法をとった。それはありふれた物でありながら、この世界でいまだ大規模に行われていなかったもの。

 満足に戦闘を行えなくなったヴィーヴィルを質量兵器としてクシェペルカ軍の本陣へ直接たたき込もうとしているのだ。

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