knights & magic ~odic theory~   作:Drac

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55話

 ヴィーヴィルの撃墜はそのまま戦争の終結を意味していた。

 

 航空戦力同士の戦闘は、多くが制空権確保を目的の主とする。それは、主力に航空能力の付与が難しかったり、物語によくあるような小型兵器で大型兵器を簡易に撃破できるためであったりと理由は様々である。

 

 しかし、今回では事情が異なる。仕組みが違うものの、互いの主力が航空能力を保有していた。それは一種の決闘や代理戦争の様相を呈していた。勿論当人達にそういった思惑があったわけではなく、結果として客観的にそう映るというだけの話である。

 

 ただ、実際に主力を失うという場面を見た兵達の士気は大幅に下がっていた。中には投降する者まで出始めた。勿論グスターボをはじめ、最後まで抵抗する者達もいたが、若干であっても機体性能に劣り、物量で対抗していたジャロウデクは徐々にその数を減らしていた。また、クシェペルカ(銀凰商会)の工作部隊によって掘りを渡る橋を兼ねる城門が開かれたことなども士気の低下へつながっていただろう。最終的に対抗を続けた者は、一部の幸運に恵まれた者以外次々と戦死していった。

 

 

 勿論、これで戦争が終わりというわけではない。ジャロウデクとしてはここでエレオノーラを討伐すれば終わりだが、クシェペルカとしてはまだ王都が残っている。故に、そのまま王都へと進軍を行った。

 とはいえ、ジャロウデクに余力は残っていない。最終兵器ともいえるヴィーヴィルは破壊され、通常の飛空船(レビテートシップ)も残りわずかであった。もはや、物量ですらクシェペルカ軍に劣っており、戦争を続ける事は出来なかった。

 

 しかし、このまま純粋に撤退を行ってもクシェペルカの溜飲を下げることは出来ない。王都にて抵抗を行えば、最悪本国まで侵攻を許すことになる。仮に勝てたとしても戦力を大きく減らしたジャロウデクにクシェペルカの統治は難しく、本国含めて全てを第三国に蹂躙される可能性が高い。

 故にこそジャロウデクは敗戦を認めて、王族であるカタリーナ他幾人かの将校を残して本国へ撤退、無血開城を行った。戦争の歴史自体が未だ浅いために、戦後交渉などはおぼろげな姿があるのみである。

 

 

 今回の戦争でクシェペルカは先王を失うなど、痛手を受けたが国家としては東方様式(イースタン・モード)の導入や法撃戦仕様機(ウィザードスタイル)などによって大規模な前進があった。

 ジャロウデクは戦後も国力を減らした隙に、東方様式(イースタン・モード)の秘を狙う他国に侵攻を受け、さらなる境地に立たされた。それは後述の出来事でなんとか持ちこたえたが、最後まで国家を支えた者は剣を全身に装備した幻晶騎士(シルエットナイト)に搭乗していたという。

 

 一方、エルネスティ達フレメヴィーラとしては飛空船(レビテートシップ)の詳細設計など、技術的に様々なものを得た。隣国の危機を退けたことで、間接的に自国の危機を退けたことにもなる。

 しかし、このままジャロウデクが滅ぼされれば勢いに乗ってクシェペルカ、フレメヴィーラにまで被害が及ぶ可能性がある。故にこそ一つの策を打った。

 

 それは飛空船(レビテートシップ)の簡易設計をあえて西側諸国(オキシデンツ)全体へと流したのだ。ジャロウデクを狙っていた国家は、あわよくば王都まで攻め上がり、飛空船(レビテートシップ)の設計図を狙っていた。

 東方様式(イースタン・モード)は見かけ上に限ればそれほど苦労なく再現できる。2、3体程戦場から廃材を回収できれば完全再現も夢ではないだろう。しかし、飛空船(レビテートシップ)は完全に謎であった。なぜ船が空を浮遊できるのか、どのように推進しているのか。そういったものが全て不明で、この技術を取得できれば他国より優位に立てる。

 

 その目論はいい意味でも、悪い意味でもで裏切られた。

 エルネスティ達が飛空船(レビテートシップ)の設計図をばらまいたことで、国を一つ滅ぼすという労を行わずに技術を手に入れることが出来たのだ。次に殲滅戦争を仕掛けられる可能背がなくなるという点からも、それがもたらす恩恵は計り知れないだろう。

 しかし、それは一つの流れを生み出した。

 

 航空戦力である飛空船(レビテートシップ)の強力さはジャロウデクとクシェペルカによる全面戦争、大西域戦争(ウェスタン・グランドストーム)によって証明されている。また、エルネスティ達によって制空権の概念も広まり始めていた。

 結果として、他国に制空権を奪われないよう、また奪えるように飛空船(レビテートシップ)の開発競争が始まったのだ。

 

 状態だけ見れば、エルネスティの前世における冷戦と近しいものがあるが、実際に戦争が起こり、西側諸国(オキシデンツ)の全国家やフレメヴィーラまで含めた第二次大西域戦争(ウェスタン・グランドストーム)が発生するよりはましだろう。

 

 ただ、フレメヴィーラとしてもその開発競争へ参加する必要がある。これまでは山脈によって行き来が難しかったが、飛空船(レビテートシップ)が主流になればそれほど難しくない道程となる。故にこそ、西側諸国(オキシデンツ)各国のように戦争に備え無ければならない。

 エルネスティもその辺りは考えているが、彼は欲望に忠実な男である。簡易に物を浮遊させる技術を手に入れれば、後は簡単に想像できるだろう。厄介なのが前世の知識から政治的抜け道を探すのが得意でもあるのだ。

 

 そうして、一つ大きな大戦が終わっても世界は続いていく。




というわけで、一応完結です。
一年強付き合っていただきありがとうございました。

いや、まあ適当に始めて最近は雑が過ぎるなと感じたから無理矢理ともいえますが...
次の機会があればもっとちゃんとした物を書きたいですね。

趣味の一つとして続けていければなと考えています。

では、またどこかで会う機会があれば
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