knights & magic ~odic theory~ 作:Drac
小さな間違いは魔法の言葉"二次創作なので"、ということでお願いします。
ライヒアラ騎操士学園の高等部生は数を半分ほどに減らしながらもなんとか戦闘を続けていた。しかし、たった一撃によって半数の
加えて、彼らは正規の騎士ではなく、未だそれを目指す学生の身分である。長時間深い集中を続けることになれておらず、動きも緩慢な部分が目立つようになってきた。
集団の半数が沈黙している状況は、場合によって全滅判定とされることもある。本来であれば撤退を選択すべき盤面である。
しかし、未だ学生であるが故の正義感や、責任感などから彼らには撤退の選択肢は浮かんでいなかった。それ以前の問題として、先の攻防で
そんな極限状態では、正規の騎士であろうとも精神的に摩耗するのは当然のことであり、学生である彼らは余計に疲れ果てていた。その隙を突かれ、現在撃破されていない機体でまともに稼働している物はさらにさらに半分ほど減らされていた。
さらに、彼らには一つ懸念するべきことがあった。それは
誰もが自身の最期を覚悟したとき、森の中から一つの影が飛び出してきた。自分たちの乗る機体と同じ程度の大きさをしており、その全身は深紅に染まっていた。
飛び出してきた物の正体は、彼らの学友が操る機体であるグゥエールだった。
グゥエールは彼らに一瞥もくれることなく
「ディー!戻ってきてくれたのか。今、加勢に...」
いち早く状況を理解したエドガーは、加勢しようとするが動くことが出来なかった。先に述べたように、
はっきり言って、加勢に向かっても邪魔にしかならなかった。多人数での戦闘とは、絶え間ない攻撃など有利な面は多いが、その分周囲を守る不利なども抱えることになる。それを理解した彼らはグゥエールが稼働限界に陥った際に助けに入れるよう
「これが
そのころグゥエールの内部では、エルネスティが大はしゃぎしていた。学園所持の
「やはりデカ物は堅いですね。刃が通りません...となれば狙うのは!」
グゥエールは
しかし、グゥエールの振るった斬撃が
「関節まで硬いとは、やはり師団級魔獣というだけはありますね」
しかし、どれほど強力な魔獣といえどその身に宿す
「となれば持久戦による
「ん?...うぅ、こ、ここは...」
しばらく戦闘が続く中、グゥエールの操縦席から声が聞こえてくる。しかし、声の主はエルネスティではなかった。彼はいま
声の主はこの機体の本来の持ち主、ディートリヒであった。すでに彼が気絶してからかなりの時間が経過しており、すでにいつ目覚めてもおかしくなかった。そこに、通常
状況を把握すべく周囲を見渡すと、見慣れた光が目に入った。その光は
しかし、覚醒したばかりで頭の回らない彼はさらに周囲を探っていくとやがて、座席の後ろから
「んもっぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
ディートリヒは思わず絞められる鶏のような悲鳴をあげてしまった。
そして、戦闘に集中していたエルネスティはその悲鳴に驚いたことで操作を誤り、体勢を崩す。しかし、崩れた体制をすぐに立て直し、寸前攻撃をなんとか避けることに成功する。
「お、お前!何を考えているんだ!?」
「えーと、説明すると長くなるんですが、緊急事態のため連れてきてしまいました。すみません」
「謝って済む問題か!そもそもどうして戦っているんだ!?」
「あ、そうでした。先輩方を助けようと思いまして、ディー先輩をおいていくのも忍びなくて仕方なく」
ディートリヒは大声で問い詰め、エルネスティもその問いに答える。この間にもエルネスティは何事もないように戦闘を続けている。
話を聞けば、聞くほどディートリヒはエルネスティという存在がわからなくなる。この中等部生は自身の願望も見え隠れするが、自分が惨めに逃げ出した敵に向かって果敢に向かっていった。しかも、その理由の少なくとも半分は自分たち高等部生を助けるためだという。ディートリヒにとって正しく目指していた騎士を体現した存在に感じた。
「これは、騎士を目指していながら逃げてしまった罰なのかな?」
不意に、ディートリヒは感じたことをそのまま口に出してしまった。敗北もない完璧な騎士を目指していた身として、目標を打ち砕かれたような感覚だった。
ただ口に出た独り言故に想定していなかったエルネスティから言葉が返ってきた。
「騎士であっても、逃げてもいいとは思いますけどね」
「え?」
「人間は死なないため、守るために戦っているんです。戦いのために死ぬなんて本末転倒でしょう。問題はその逃走が持つ意味じゃないですか?」
ディートリヒにとってエルネスティの放った言葉はすぐに理解出来る物ではなかった。その真意を聞くためにも、もう一度エルネスティに疑問を投げかける。
「意味だって?」
「ええ。力を蓄えるため、仲間と力を合わせるため、仲間から遠ざけるため、!おっと危ない。とにかく、意味のある逃走は勇気ある行動と同義だと思いますよ。最後に勝てばいいんですから。すみません、ちょっと操作に集中します」
「...」
正直、ディートリヒにとってエルネスティの言葉に黙るしかなかった。今まで彼の中で騎士とは、誰にも負けず、逃げず、勝ち続ける存在であった。それ故に、普段は自身の負けを認められず、今回一人逃げ出したことで自分のことをあきれ果てていた。
惨めでもいい、情けなくてもいい、ただどんな行動であろうと、覚悟を持って挑むことが騎士たる資格だ。ディートリヒにとってエルネスティの言葉をそのように捉え、同時に今回の無意味な逃走を恥て次につなげろといっているように感じた。
ただ、もちろんエルネスティにそんな意図はない。純粋に落ち込んでいる先輩を励まそうとしただけである。しかし、ディートリヒはエルネスティにたいし何か大切な物を感じ取っていた。それを確認するためにも、静かに戦いの行方を見守る。
そこからさらにしばらくグゥエールと
攻撃の主は
高等部生と
ボキューズ大森海には、決闘級を超える魔獣が跋扈しており、国境を越えようとする魔獣に対処するため、国境付近には所々に砦が建設されている。数日前に国境を越えようとする
最寄りとは言っても、通常であれば2、3日以上かけるほど距離があいている。運悪く、ライヒアラ騎操士学園の演習とすれ違う形になっており、ヤントゥネンが事態を把握したのは昨日夜も更けた頃だった。
事態を把握しても、即座に行動できる訳ではない。特に、今回は人類史で見ても稀にしか現れない師団級であり、一騎士団での討伐は無謀ともいえた。しかし、師団規模の
砲撃を受けた