knights & magic ~odic theory~ 作:Drac
ライヒアラ騎操士学園の一部は賑わいを見せていた。だが、それは前向きな意味ではなく、どちらかといえば騒ぎといえる。
騒ぎの現場は学園に併設されている
普段は高等部鍛冶学科に所属する
そんななか、大声で人を呼ぶのが聞こえてきた。
「親方!ちょっといいか?」
「おう。すぐいく!」
親方と呼ばれたのは、ダーヴィド・ヘプケンという名前のドワーフ族で高等部生の一人だ。
彼は教官とも遜色のない実力を持っており、世話焼きな性格から鍛冶学科のまとめ役をしていた。また、彼の顔はなかなかの強面で、まさに現場監督というような雰囲気を醸し出しているため、親方と呼ばれている。
「またせたな。どうした?」
「グゥエールなんだけど」
「あ?」
ダーヴィドを呼んだ生徒はその用件を伝えようとするが、口から出てきた機体名は本来なら出てくるはずがないものだった。
「そいつは一番損傷が激しいから最後だっていっただろ」
彼らの目の前にある機体、グゥエールは他と比べるまでもなく大破や撃破といった状態だった。かろうじて識別が可能なだけで、修理というより新造といえるほどだった。そのため、ダーヴィドの判断で放っておくことになったが、誰もが賛同していた。
呼び出した生徒もそれに否定はしていなかった。
「わかってるよ。概算だけでも出しておいたほうがいいと思ったんだ」
「わかったわかった。終わったんならさっさと他の作業を手伝いやがれ」
「ちょっと待って。こいつなんだか変なんだよ」
忙しい状態で後回しにした仕事に呼び出されたことで、少々いらだった様子で作業に戻ろうとしたダーヴィドを生徒は引き留めた。話を聞けば、彼も興味を持つという確信を持っていた。
「こいつをどう思う?」
「どうって、
「僕もそう思ったさ。でも、
「あ?なんだこりゃ」
グゥエールは
そこはグゥエールの崩壊した足、特にそこからこぼれだしている
「こいつぁ疲労断裂か」
「そう。この
そこからグゥエールを改めてみたダーヴィドはさらに違和感を感じていた。
(綺麗すぎる。他のヤツは色々とひしゃげて、
ダーヴィドは新たな違和感を感じるたびに、この機体に疑問...というよりも、興味がわいていた。
個人的興味を解消するためにも、翌日グゥエールの
「かくかくしかじかなので、新型
「いやわかんねえよ。なんだよかくかくしかじかって」
「古来から伝わる説明言語です。というわけでバトソン、
「あるわけねえだろ!」
テルモネン工房からほど近く、エルネスティとバトソンが会話していた。バトソンが家を出ようとしたところにエルネスティが押し掛けてきた状態である。
そんな二人にバトソンと待ち合わせをしていたフィーネが近づいてきて会話に加わる。
「おはよう。バト君、エル君何話してるの?」
「フィーネ、おはようございます。実はかくかくしかじかでして」
「なるほどね」
「え!?言ってることわかんの!?」
「ううん。乗っかっただけ」
待ち合わせしていた二人がそろい、目的地へと歩み始め、エルネスティもそれに続く。ふざけ会いながらもエルネスティは二人に事情を話す。
「うわぁ。さすがエル君すごいことになってるね」
「もう、なんて言えばいいんだか」
「大丈夫です。人生という道に停留所が増えただけですから」
勢いよく問題ないという友人に二人はあきれながらも、いつものことだと納得していた。
ふと、行き先も聞かずついてくるエルネスティに些細な疑問を感じたバトソンは質問を投げかける。
「とりあえず、ついてきてるってことはあれが目的だろ?」
「あれ?とはなんですか?」
「あれ?知らなかったんだ」
「お前らが行った演習で
修復中の
エルネスティ達が工房に到着すると予想通りずらっと並んでいる修理中の
エルネスティが拝借した機体の特徴を聞いていた四人は損傷の理由を察していた。その原因であろう人物へと視線を向けるとどこか恍惚とした表情で機体を見ており、どこか手遅れのように感じた。
ふと、エルネスティは機体で影になっている所で会話している声があることに気づいた。気になったため近づいて確認使用とすると、そこではうずくまるディートリヒとそんな彼に問い詰めているダーヴィドがいた。
「親方、どうしたんですか?」
「あ?ああ、銀色坊主か。この赤い機体、グゥエールの壊れ方が妙でな。
「医務室...悪魔...医務室...」
「ずっとこんな感じでな」
ずっと何かうわごとを言い続けているディートリヒと困惑しながらも問い詰め続けようとするダーヴィドにエルネスティ達はこの場所へ来た目的も忘れていた。どうした物かと考えていると、ディートリヒが彼らを認識したようで今まで死んでいた目に生気が戻ってきた。
ダーヴィドは正気を取り戻したディートリヒに改めて事情を聞き出そうと話しかける。しかし、彼が放った言葉でその場は凍り付いた。
「ちょっと待ちやがれ。今なんて言いやがった」
「ん?グゥエールが壊れた時に動かしていたエルネスティに話を聞くために呼んだんじゃないのかい?」
「聞き間違いじゃねぇんだな。おい銀色坊主!?」
「...もしや私は要らぬ事を言ってしまったのか?」