気になるのはお隣さん   作:レイハントン

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初めましての人もこんばんはのひとも。
息抜きに書いている小説があるので投稿したいと思います。
不定期更新なので悪しからず。

それではどうぞ。


プロローグ

プロローグ

 

 僕は昔から……臆病だった。

 

 『だって』

 

 『僕なんかには……』

 

 『無理だよ』

 

 人と話すと緊張するし。すぐ弱音を吐くし。家族に泣きつくし。

 

 飽きられてもおかしくなかったと思う。それなのに……兄さんはどこまでも優しかった。僕と違ってなんでも出来て。周りから頼りにされて。分け隔てなく優しい兄さんが自慢で。同時に……。

 

 

 

 

 嫌いでもあった。

 

 

 

 その気持ちに僕自身。気づいていない。

 

 そんな弱虫で臆病な僕でも。少しだけ。ほんの少しだけ。友達と出会って変わることが出来た。

 

 

 

 

 

 

 

 教室。朝のホームルーム前。

 

「え? なに? 間違って告ってフラれたの? それは面白い話だなおい。詳しく聞かせてくれよ」

 

 その友達はすごく煽ってくる。そして今言ってくれた通り。僕はある言葉と間違って告白まがいなことを言って、フラれてしまったのだ。

 

 落ち込んでいるところに追い討ちをかけるように煽ってくる友達は本当に楽しそうだ。

 

 教室の廊下側の1番端。前から3番目の自分の席で突っ伏しているけどわかる。楽しそうな表情を浮かべているんだろうな〜……。

 

 そんな友達──角崎赤司(かどざきあかし)は僕の前の席(本人の席は僕とは間反対の位置)でゲラゲラ笑うと、急に声が聞こえなくなった。ふと顔をあげると、遠くを眺めているようだ。

 

「飽きた」

「早いよ! もう少し話聞いてよ!」

「どうせまた兄貴と比べてるんだろ?」

「そ、それは……」

 

 図星だった。昔からの悪い癖だ。

 

「そもそもなんで間違って告白するんだよ」

「そ、それは……」

「まず結論から言え」

「えっと……それは」

 

 結論から言うと、"友達になってください"を"付き合ってください"に言い間違えてしまいました……。いや、これは様々な事情がありまして。人間考えすぎるとごちゃごちゃになってしまうし。

 

 

 

 話は1週間前に遡る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 僕には気になっている人がいる。

 

 その人は大人しい雰囲気で、清楚って言葉すごく似合う人だと思う。あまり話したことはないけど、話すのが少しばかり遅い。僕と同じで、人と話すのは苦手なんだと思う。年は1つ上。しかも家が隣同士。そして名前は──白金燐子(しろかねりんこ)さんという。

 

 隣同士なら家族の付き合いくらいあるだろって? あるにはあるけど……出かけたりとかはないよ。お母さん同士が仲良いくらい。まぁあったとしても、臆病な僕じゃ話しかけることすら億劫だし……。

 

 そん風に考えて、なにも行動出来ないまま3年の月日が流れていた。つまり中1から気になっていたことになる。

 

 そんなある日。

 

 お母さんと2人で夕飯の買い出しをしている時。たまたま商店街でお隣さんと出会った。

 

「あら、白金さん奇遇ね」

「星野さんもお買い物?」

「そうなのよ〜」

 

 お隣さん。白金家の人とちょうど買い物の時間が被ったらしい。こうなると少しまずいんだよな〜……。

 

 おばさんの横には僕と同じように気まづそうな表情を浮かべる白金燐子さんが居るからだ。お母さん同士はいいけど、僕たちは…ね?

 

 なに話せばいいんだぁ〜!! 誰か話題を与えてくれー!

 

(いつき)君はいつも荷物持ちしてくれて偉いわね」

「い、いえ……そんなことは」

「そうなのよ。樹と竜希(たつき)だけなのよね、手伝いしてくれるのは。美月(みつき)なんて柔道ばかりでね〜」

 

 おっと……話が長くなりそうな予感。これは……これは非常にまずい状況だ。一刻も早く帰宅コースへと持って行かなければ僕のメンタルが……!

 

 だけどすぐに思いつくほど、僕の頭は良くない。成績なんて全学年で真ん中くらいだし。運動能力も。なにもかも平凡。平凡なのに臆病ってマイナス面あるのやばいな。

 

 なにも思いつかないまま数分経った頃。僕のスマホに通知が来た。ふと見てみると。

 

『今日のご飯なに?』

 

 家族グループに兄さんからのメッセージだ。お母さんは話に夢中で気がついていないから、一応返事返しておくかな。

 

『カレーだって』

『マジか?! 早く帰るわ!』

 

 カレーと言ったら美味しいイメージだけど、連続で食べるとね……飽きない? 僕だけじゃないはず。朝は家でカレー。昼は学校の給食でカレー。晩は家でカレーの3連続経験した人を。今時戦隊ものでもカレー好きなキャラ居ないよ……。

 

 そうだ。これならいけそう。

 

「お母さん、兄さん帰ってくるってよ。早く帰って支度しないと間に合わない」

「もうそうな時間? それなら帰らないとね」

 

 よしこれでこの気まずい場から解放──。

 

「一緒に帰りましょうか。ほら、樹。白金さん家のも持ってあげなさい」

「わかっ……え?」

「嫌なの?」

「い、嫌じゃないよ? 任せて」

 

 任せてじゃないよ!? だって荷物持ってるの白金さんだよ?! どう頑張っても手が触れてしまうじゃないかー! 待てよ。これはご褒美なのでは? 打開策を思いついた(絶対違う)。

 

 渋ってても神様もお母さんも許してくれないので、白金さんから買い物をした袋を受け取った。これでもれなく両手が塞がり、手も触れてしまったわけで。

 

 めっちゃ柔らかかった気がする。

 

 

 

 

 

 

 帰り道。

 

「竜希君今年受験で大変ね〜」

「あの子は働く気なのよ」

「あらそうなの? 竜希君らしいわ」

「早く働いて家計を楽にしたいって」

 

 本当に。兄さんらしい考えだ。兄弟の中で1番頭良いのに。家のことなんて気にしなくていいって言ってくるのにさ。僕は……どうするんだろう。働くのかな。それとも……進学? 平凡な僕が……?

 

 わかってはいる。こんな暗い考えではダメなことくらい。それでも……思わずにはいられないんだ。落ちこぼれの僕じゃ……。

 

「あの……荷物…重たい……ですよね?」

「あっ、いや……そんなことないですよ」

 

 ヤバい。余計な心配をかけてしまった。

 

「慣れているので大丈夫ですよ」

「いつも……お手伝い…していて……偉いと…思います」

「これくらい…なんでもないです。逆に……手伝いしか出来ないので」

 

 優しいなぁ……白金さんは。荷物持っているだけなのに心配されたことなんて今までなかった。

 

 それが。少し嬉しくて。少し…情けなく感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その報告を赤司君にメッセージでしたら。

 

『んなくだらねぇことでいちいち報告してくんな。潰すぞ』

 

 ってメッセージが返ってきた。相変わらず罵り方がヤバい。Mに目覚めた方が一緒に居るの楽しいのでは? と時折思ってしまうほど。目覚めないけど。

 

 冷たいけど、いつもNFOって言うオンラインゲームを一緒にやってくれるし。困ったことがあると助けてくれるから、優しい人でもある。結局なにかと気にかけてくれているんだよね。

 

 

 

 

 

 

 

 あの日から数日。放課後、部活もバイトもしていないザ・ニートな僕は真っ直ぐ家に帰宅していた。赤司君は最近コンビニでバイトを始めたみたい。たぶんだけど、稼いだお金は課金行きなんだと思う。

 

 ちなみに僕と赤司君は高校生になってからまだ1週間程度しか経っていない。ようやく学校に慣れてきた感じ。でも未だに慣れないのは……。

 

 通学路にまばらに見かける花咲川女子学園の生徒や妹が通う羽丘女子学園の生徒。ただでさえ女の人苦手なのに….…。被害妄想ばかり膨らんでしまうあたり、本当に情けない。

 

 それでもしばらく歩いて曲がり角を右に曲がってしまえば大丈夫。これで僕以外の人は居な……。

 

 運命という神はなんて残酷なのだろう。

 

 立ち止まり、ちょうど後ろに振り返った直後。安堵している僕の目の前に現れたのは。

 

「あっ……ほ、星野…さん」

 

 白金さんだった。

 

「こ、こんにちは……」

 

 ヤバいヤバい。こんにちは以外の言葉が出てこない。本日はお日柄もよく? お見合いでもないし、えっと……。き、奇遇ですね。今帰りですか? よし。こ、これでいこう。

 

「き、奇遇…ですね。今帰りなんですね」

「はい……」

 

 はい終わった〜。会話終わったんだけど? これは僕が悪いの? そうだようね! 話のネタがない僕ですよね!?

 

 冷や汗が止まらない。気のせいかお腹も痛くなってきたような……。

 

「とりあえず歩きません……?」

「そう…ですね」

 

 家に向かって歩き始めたのはいいもの会話という会話はない。前回あれだけ(と言ってもそれほどの会話ではない)話が出来たのに……。よし、とりあえず一旦ここは。

 

 ユウゴハンノコトヲカンガエヨウ。

 

 なんだろうなー。ハンバーグかなー。それともまたカレーかなー。

 

 現実逃避をしながら歩くこと数分。歩いているはずなのに、全く進んでいる気がしない。それもそのはず。僕と白金さんの歩くスピードは決して早くない。むしろ遅いまであるのでは? と思う。数日前もお母さんたちに追いつくために何度早歩きしたことか。

 

 兄さんなら……。いけない。赤司君も言ってたじゃないか。

 

『兄貴と自分を比べんな。そんなことしてたらいつまで経っても弱虫なチキン野郎だぞ』

 

 後半悪口な気がするけど……。あながち間違ってないところが、反論出来ない部分だ。

 

「「あのっ……あっ、先どうぞ」」

 

 同時に話してしまった。一言もズレることなく。それが少しだけ面白かったのか。白金さんがクスッと笑ってくれた。本当に一瞬だけの笑顔だったけど。すごくドキッとしてしまった。

 

「白金さんは…部活もバイトもしてないんですね」

「はい……人前に出るの…苦手で……」

「……わかります。僕も…その。人前とか……こうして話すのが苦手で……」

 

 違う。その言い方だと白金さんと話すのも苦手みたいになってしまうじゃないか〜!!

 

「あ、いや…! 白金さんとは……嫌じゃないというか」

「えっ……?」

 

 口走ったー!!

 

 お互いの顔が徐々に赤くなっていくのがわかる。これじゃあ白金さんと話したいみたいなニュアンスに….…いや、実際そうなんだけども。それを悟られてしまうのは非常に。非常にマズイ状況なわけで。

 

「わたしも……その…。星野さんとは……お話するの……嫌じゃ…ないですよ」

 

 えっ……? 

 

 まるで時が止まったかのような感覚だった。白金さんの言葉を理解するのに時間を要したのは言うまでもない。それはつまりワンチャンスあるということではないか。

 

 恋愛経験なし。なおかつ緊張しやすい。

 

「あ…あのっ、白金さん…僕と」

 

 今なら言える。友達になってくださいって。

 

 お隣さんとはいえそこまで接点はないし、むしろ話したことがある回数の方が少ないからまずは。

 

『気になってる人との距離の縮め方? まずは友達になればいいんじゃね? 知らんけど』

 

 お隣さんだけど。まずは友達。それで仲良くなって。連絡先交換して。そして後々は……付き合ってくださいって言うんだ。これで───。

 

「僕と……」

 

 意を決して。

 

 

 

 

 

「付き合ってください」

 

 

 

 

 

 伝えた。

 

「……えっ…?!」

 

 間違ったことを。

 

 その瞬間。自分の顔が真っ青になった気がする。先のことを考えすぎて、思わず違う言葉を言ってしまった。いや、間違いではないよ?! でも今は違う!

 

「わたし……えっと……ご、ごめんなさい!」

 

 いったん立ち止まり、顔を真っ赤にしてそう言うと白金さんは走って行ってしまった。僕はその場で立ち止まり空を見上げる。

 

「バカ野郎〜!!」

 

 滅多に出さない大声が、虚しく空へと消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぶっ……さすが…樹。笑っちゃいけないのに笑っちまう」

 

 思いっきり笑い堪えてるし……いっそのこと笑ってくれれば少しは惨めさは晴れる気がする。いや……そんなことはないか。

 

「まぁでも、言葉を伝えられたのはデカいんじゃね? 進歩だ進歩」

「本当…?!」

「たかが半歩だけど」

「余計な一言……」

 

 ちっとも救われない……いったい僕はどうすれば……。

 

「あんまり落ち込むなよ? お前にしては頑張った」

 

 そう言うと赤司君は自分の席へと戻って行った。

 

 正直気にするなって言う方が無理だ。けれど……少しだけでも。例え半歩でも歩みを進めることが出来たのなら……いいのかな。

 

 あ…次会った時どうしよ……。

 

 

 

 




純粋な恋愛ものってあまり書いたことがない(重たい話とか好きで書くけど)ので今回はこのくらいで勘弁してください笑

次回はいつになるかはわからないですが、書きあがったら出します。

主人公
名前 星野樹(ほしのいつき)
年齢 16
学校 荒滝高校
趣味 ピアノ、読書
人物
・友達からたまにチキンと呼ばれる
 なにかと理由を付けて行動出来ない臆病なやつだから
・最近NFOを始める
・白金家の隣の家に住んでいる
・兄に強いコンプレックス(あまり自覚なし)
・3人兄弟の真ん中
・断れない性格
・よく家の手伝い(荷物持ちをさせられる)

それではまた次回。
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