気になるのはお隣さん 作:レイハントン
息抜き小説第1話です。
今回は後半の話に注目です。
それではどうぞ。
第1話 お友達から
赤司side
放課後。帰り道。
寄り道してたらだいぶ遅くなってしまった。樹には悪いことをしたし、今度飲み物でも奢るとするか。
……やっぱりフラれたことが辛いのか。はたまた次会ったらどうしようとか考えているのか。おそらく後者だと思うけど……。気にしすぎなんだよ。出会った時から。
そういえば仲良くなってからもう3年も経つのか。出会った時は本当にしょうもねぇ奴だったな。すぐ『兄さんなら』とか。『僕には』とか。『無理だよ…』とか。出来ない言い訳ばっかり並べて。
人間が誰しも強いわけじゃない。それはわかっていることだ。でも人と比べたって虚しくなるだけだってわからないもんかね。出来る人と出来ない人が居て当然。周りに優秀な奴が居ると、そう感じてしまうのは仕方ないか。
「赤司ー!」
歩いていると突然名前を呼ばれた。この声はおそらくアイツだろう。
一旦立ち止まって後ろに振り返った。
「やっぱり赤司だ〜」
「あこと
「お疲れ。今日はバイトないのか?」
「ない。教えてくれる先輩がシフト入れないらしくてな」
今話しかけてきたのは
2人とは幼なじみとまではいかないけど、たまに話したりどっか遊びに行ったりする。腐れ縁的な? 感じだ。
立ち止まってて仕方ないから、とりあえず家の方に歩き始めると2人もついてくる。
「巴こそバンドの練習はないのか?」
「今日はな。つぐみも家の手伝いあるみたいだし」
「ふーん」
「赤司はバイトどうなの?」
「俺か? どうって言われても……先輩が面白い」
「もう先輩いじりかよ。相変わらず性格悪いな」
「いやだってからかってきたからさ。やられっぱなしは性に合わん」
俺はいじるのは好きだがいじられるのは嫌いだ。自分でもわかっているこの性格の悪さ。良い言い方をすれば個性だ個性。
話を戻すとだ。俺のバイト先(コンビニ)の先輩は羽丘女子学園の1つ上の先輩。巴とあこの先輩だな。2人とも羽丘に通っているから。
とてもギャルっぽいんだけど、すごく面倒見の良い人。見た目と中身のギャプがな。これまた面白い。初日ということもあり、なかなか上手く対応が出来なかった俺をダメな弟が出来たみたいとか言うもんだから乗ってやった。
『じゃあ姉貴やってくれよ』
『え〜しょうがないな〜……っていきなり姉貴呼び?!』
『なんすか。恥ずかしいんすか? 自分で言ったのに』
『い、いや。そういうわけじゃないよ〜』
『(あっ、意外と態度に出るんだなこの先輩。面白い)』
とまぁこんな具合だった。とても話しやすい良い先輩だと思う。本当に姉貴みたな感じだったな。
「お前の悪そうな顔が目に浮かぶよ……」
「わかってんな〜巴は」
「その先輩可哀想……」
「まぁまぁ。そんな頻繁にいじるような真似はしないって。たまにいじるからこそ、面白いんだから」
苦笑いを浮かべる2人をよそに俺はとても意地悪そうな笑みを浮かべた。
その先輩はとてもフレンドリーな人ですぐ打ち解けた。バイト以外でもわからないことがあったら聞いてと言ってくれて、連絡先まで交換したという。残念なことにバイト以外の時間でバイトのことを気にすることはないんだがな。まぁせっかくそう言ってくれているわけだし? 少しは考えてみるか。
ちなみに名前は
「赤司、例えばだけど。1人だけ離ればなれになったときってどうすれば良いと思う?」
急な話題転換。
「……なんだ遠回しに。また5人一緒にならなかったのか?」
「あはは……まぁ」
図星か。
巴には4人幼なじみが居る。
1人はさっき話した
次は
あとは
そして最後が"あの人"。
「また誰か1人違うクラスなのか?」
「まぁ……そうなんだよな」
「蘭か?」
「あ、今めんどくさって顔しただろ?!」
「バレた?」
俺にはよくわからない感情だ。確かに腐れ縁みたいなところはある。それでも長い時間共に過ごしたわけじゃないし。そんな友達もいなかった。
だけど……なんとなくは。察せる。一緒がいいって気持ちはわかるけど、拗ねたところで変わりやしない。みんなと距離を取るくらいなら、どうやったら一緒に居られるのかを考え方がいいんだ。その結果が今のバンドという形だが……また離れてしまったのなら。それ以上のことが思いつかないとか言う話なんだろうか。
「……しつこいくらい付きまとってやればいいんじゃね? 素直じゃないし」
「赤司も大概だけどな」
「うるせ。家のこともあるだろうし? 大変なのはわかるけど」
蘭の家は由緒正しい華道の家系。お堅い家柄だしな。そんな縛りみたいなのは、俺たちの年の子には辛いところだろう。縛られるのはとことこん嫌いみたいな感じだしな。
「まだ何かあったわけじゃないけど……何かあったらな」
「考えすぎだろ。蘭を信じてやれよ」
「赤司ってたまに良いこと言うよね」
「たまには余計だ」
まぁ。なるようにしかならないだろ。蘭みたいなタイプは樹とはまた違っててめんどくさい。
するとスマホに何かの通知が届いた。相手を見ると樹からで。
「あ?」
「どうしたの?」
「なんでもない」
ふーん。何があったかは知らないけど、たまにはやるな。
樹side
放課後。
運が悪いことに今日はすぐ帰ることが出来なかった。6時間目の数学の授業を終えた後、まさかノートの回収があるなんて……。しかもたまたま先生の近くを通った僕。断れるわけもなく。全員分あるか確かめて持って行って。
赤司君は気づいたらいなかったな〜。きっと察したんだろうけど……。こういう時の回避スキル本当に羨ましい。
しばらく歩いて、ようやく自宅付近へとたどり着いた。毎日そこそこ遠いところに通っているのは少しすごいのでは? と思ってしまう。もちろん歩くの遅い僕からすればの話だけどね。
もう少し歩けば家に着く。それなのに僕は足を止めた。目がおかしくなっていない。もしくは夢じゃなければ。一旦身を隠す必要がある。
神様はいつだって急に試練を与えてくるんだ。
「(どうしよう…昨日逃げちゃったけど……話聞いてくれるかな? わたしも…気になってたし……)」
とりあえず近くの電柱の後ろに身を潜める。隠れていると悟られないため、スマホを出して操作をしているふりも。偽装は大事だからね。
落ち着いてさっきみた光景を思い出す。前に言った通り、僕の家と白金さんの家は隣同士。いや、わかるよ? ちょうど帰りが一緒で〜みたいなこと。それが僕のやらかした日のことでもあるし。
「(まずは…お友達からってあこちゃんにもアドバイスもらったし、大丈夫)」
でも今回は絶対違う。僕の目が節穴じゃない限り。なぜ………白金さんが外に居るの?! しかも制服姿で! 前は突然だったから考えられなかったけど、制服姿は目に毒だよ(制服似合っているが言えない)! どうにかなりそう………。
「(ピアノの話…してみたいな。すごく綺麗な音って伝えたい……)」
まずは考えよう。えっと……なんかやらかしたっけ? うん。やらかしたね。間違って告白したね。と…いうことは?! 正式にごめんなさいと言ってトドメを刺しに来ているのかー!!
「(星野さん……まだ帰らないのかな? それとも……昨日のことで引きこもりに……! ちゃ…ちゃんと伝えないと…!)」
あ……でも。僕に用事があるってわけじゃないよね。友達待ってるとか、僕じゃなくて兄さんや美月を待ってるとか。考えすぎだ。
なんだか急にあたふたし始めたけど、とりあえず近づいてみよう。ゲームでもリアルでも近づくのは大事。
電柱に身を潜めるのをやめて歩いていく。すると、僕に気づいたのか白金さんが視線を向けてきた。
平常心平常心。この気持ち大事に──。
「こ、ここ、こここ、こんにちは……?」
僕のバカー!!
「(お、落ち着いて……平常心)」
なんでまともに話せないんだ……。
「こ、こ……こん…にちは…」
え? 心なしか視線逸らしてない?
「あのっ……!」
「は、はい……! 兄に用ですか? そ、それとも……妹ですか…?!」
「い…いえ。違うんです………その」
思い込みは僕の悪い癖だ。それはよくわかっている。……わかっている…けど。時には良い方向に向くこともあるみたい。
白金さんの先の言葉を催促することなく、ゆっくり待った。言葉が詰まってしまう気持ちは痛いほどわかるから。
「星野さんに……話が…あります」
「僕に……ですか?」
「き、昨日の……ことです」
ふと思い出すのは黒歴史と言ってもいい記憶だった。それと同時に赤司君が爆笑している姿が目に浮かぶ。……回想の中でもそんなに笑うんだね…君は。でもそれは……僕のためだよね?
「星野さんの……気持ち。嬉しかった……です。なので…よければ………まずは……」
いつも通りに接して余計に気にさせないためだって……僕は信じてるよ。赤司君。
「お友達から……で」
ん? お友達?
理解するのにかなり時間を要した。失礼ながら正式なお断りだと思ったから全く聞いていなかったよ……本当に申し訳ない。
でも確かに聞こえたのはお友達という言葉。それはつまり。
「ぜ、ぜひ! お友達からで!」
赤司君……! 僕頑張ったよ…! 友達出来たくらいで調子乗るなって罵りが聞こえるけど……。
「(よかった……ちゃんと伝えられて)」
ど、ど、どうしよう。とりあえずよろしくお願いしますって言った方がいいのかな? でも友達になっただけだしなぁ。
「よろしく……お願いします」
「いえ…こちらこそ」
いったんは……いいか。僕の気持ちがちゃんと伝わったことだし。
「じゃあ……また今度話しましょう」
「は、はい……」
白金さんと別れて家の中へと入っていった。手洗いうがいもせずに自分の部屋に直行してベッドにタイプする。
「よがっだ〜〜!!」
珍しくテンションが上がっている。だってずっと気になってる人と友達になれたんだよ?! テンションくらい上がるよ! とりあえず赤司君に報告しよう。そうしよう。
『やったよ! 白金さんと友達になれた!』
『どういう経緯かは知らんが、お前にしてはやるな』
『でしょ?! 頑張った!』
『調子のんな笑。たかが友達になったくらいで。だから足元すくわれるんだよ』
やっぱりどぎついんだけど……? 予想以上に。詳しくは夜ゲームをやる時にでもとだけ返して、手洗いうがいをしに行った。
手洗いうがい、着替えを済ませた僕はリビングへと訪れた。どうやらお母さんは居ないようだ。近所の人と話でもしてるのかな?
「ただいまーって樹兄しか居ないの?」
「おかえり、美月。外じゃない?」
「ふーん。あたし、ランニングしてくるから」
「気をつけて、暗くなる前に帰ってくるんだよ?」
「大丈夫よ。竜希兄と樹兄よりも強いし」
それなら大丈夫だね。なんて言う兄はおそらく居ないと思う。実際柔道とか空手とかやってるから強いのは事実なんだけどね……。性格も赤司君とはまた違って強い感じだし。
「じゃあ着替えて行ってくる」
「いってらっしゃい」
美月を見送り、僕はソファーへと座ってスマホをいじりはじめる。
そんな時。ふと思い出した。
「連絡先っていつ交換すればいいだろう……」
新たな問題が発生してしまった。
こうして始まった2人の勘違いストーリー。運命はいかに……。
樹の友達の赤司はAfterglowのキャラクターとは腐れ縁という設定です。
果たしていろいろすれ違ってしまっている2人の運命はいかに……!
次回は次回で新たな問題が発生……。
それではまた次回。