気になるのはお隣さん 作:レイハントン
息抜き小説第3話です。
もう気づいている方もいるとは思いますが、あの人が出ていますね笑
どう言う風に主人公に絡んでいくのか楽しみにしててください。
それではどうぞ。
第3話 ライブハウスってなんだか怖い
開演時間が迫った僕たち2人はCiRCLEの中に入り、ステージのある会場へと来た。周りには花女や羽丘、月ノ森女子学園の生徒も多く居る。つまり、ほとんど女子ばかりで男子は本当に両手で収まる程度しか見つけられない。もちろん僕と赤司君を含めて。
「女ばっかりだな」
「そ、そうだね……」
「え? なに? 緊張してるの? ふーん」
「なにさ、その楽しそうな目は……!」
「べーつにー。なんでもないけど?」
嘘だ! そんなこと!! 目が面白そうなおもちゃを見つけたって目だもの! こういうときの赤司君は本当にたちが悪い。反撃しようとしても逆に追い詰められてしまうし、どうしようもなかったりする………。以前反撃したら10倍くらいになって返ってきたよ。
「まぁなんだ。周りに女が居るくらいで、そんな緊張することはないと思うぜ」
「緊張というかなんというか……。こんなにも女子が多いのって初めてだから」
「クラスに居るだろ? それに全校集会とかいうやる意味の必要性を全く感じない集会とかでも」
「んー。そうじゃなくてさ」
「じゃあなんぞや?」
「男子の数が少なくて、女子が圧倒的に多いのって初めてだなぁ~と思ってね」
「なるほど」
荒瀧高校は女子が少ない高校。理由としては、花女や羽丘が近くにあること。そしてその2校に行けなかった時に滑り止めとして受ける花咲川高校。あとはお嬢様高校の月ノ森。どこの女子高にも行けなかった人が最後の砦ともいう荒瀧高校に入ってくる……らしい。クラスの人がそう言ってた。
「つまりそういうのを緊張というんだよ、樹君」
「そ、そっか……」
「100円な」
「お金取るの!?」
「は? 逆に取らないと思った?」
「いや、言うとは思ったよ……」
赤司君の基本的なボケパターンの1つだからね。もう慣れたよ。
他愛もない話をしていると、ようやく始まるらしい。舞台袖から最初のバンドがステージに現れると同時に鼓膜が張り裂けそうな程の歓声が会場に響いた。思わず両手で耳を塞ぐ。
「すごい歓声だね」
「…………」
「赤司君! 聞いてる!!?」
曲が始まると同時にまた大きな歓声が会場に響き渡った。ステージに目を向けると、楽しそうに演奏する女子4人が視界に映る。
「みんな盛り上がってるーー!!!?」
3度目の鼓膜が破れそうな歓声が会場を包み込む。耳を塞いだところで、対して変わらないことに気づいた僕は耳を塞ぐのをやめた。もしかすると赤司君はあまりのうるささに気絶してしまったのだろうか。ふと隣に視線を向ける。……よく見ると。
「なんで耳栓してるのさ!!」
「は? ほいほい炒飯?」
「言ってないよ! そんなこと!!」
「そう騒ぐなって。お前の分はないから」
ないんだね! 薄々わかってはいたよ!? そんな都合よく貸してくれたことなかったもん!!
1人心の中で騒ぐ僕。赤司君のことはほおっておいて今はライブに集中することにした。正直どんな曲かはわからないけど、ステージに立つ彼女たちはすごく輝いて見える。心のそこから楽しんでいる証拠。美月も格闘技をしているときは本当に楽しそうにしている。それと同じものを感じた。
「すごいなぁー…………」
人前に立ってそんなことが出来るなんて……僕には到底出来ることじゃない。あまり話したことがないクラスメイトに話しかけられるだけで緊張してしまう僕なんて。
「いつか僕も………」
緊張せずに話せるだろうか。
そんなことを考えながら、ライブを見続けた。
2、3バンドの演奏が終わり、いつの間にか耳栓を外していた赤司君が口を開いた。
「ライブハウスのライブってこんな感じなんだな」
「どうなんだろう」
「まぁ悪くはないな。知ってるカバーとかあると割と楽しい」
「珍しいね」
「そうか?」
オンラインゲームにしか力を入れているイメージないから本当に珍しいと思う。ゲーム以外で楽しいってあんまり聞かないし。
また1つのバンドが演奏を終えた。そして今度ステージに上がってきたのは、4人組のガールズバンド。そのうち青色のギターを持った人はなんだか見覚えのある髪の色だ。今朝見たような気もする。でも背中まで届くほど、長くはなかったはず。姉妹? それとも他人の空似?
見つからない答えを探していると演奏が始まった。素人だから演奏に関してはまるでわからないけど………あの今朝見たかもしれない髪色の女の人。威圧感というかなんというか……言葉での説明が難しいけどただ物じゃないって感じがする。
「あの人……」
赤司君も僕と同じことを思ったのか、表情が険しくなった。
「あ、赤司君……?」
「真面目そうで絶対ソリが合わないな」
「今!? しかも話したことがないのに!?」
「真面目な人とか、厳しい人はオーラでわかるんでよ」
「でよって…………」
真面目なことを考えてると思った僕がバカだった…………。でもなんとなく真面目そうな雰囲気は伝わってくる。
そして演奏はあっという間に終わってしまった。それだけ聴きこんでいたってことになる。
「トイレに行ってくるね」
「ほーい。ひっかけるなよ?」
「ひっかけないよ!」
赤司君に声をかけて僕はいったんライブ会場を後にした。
会場を出てロビーにあるトイレに向かい用事を済ませた。手洗いで濡れた手をハンカチで拭きながらトイレを出てくると、話声が聞こえてくる。
「あなたは何も言わないのね……」
「得に言うことはないからな。強いていうのならば、もう少し言い方はあったんじゃないかってことくらいだ」
この声は……さっきのスタッフさん? もう1人は誰だろう。女の人ってことはわかるけど。
「ああでも言わないとわかってくれないわ」
「全部をわかってもらうのは無理だ。人間は相手の言葉を100%受け取れはしない」
「そうかも……しれないけれど……」
「気持ちはわかる。次は……ちゃんと自分の目指さんとする所が一緒の人だと思うし、よく見てみることだ」
会話はそこで終わったみたいで、2人がロビーに現れた。その女の人はさっきステージに上がっていた人みたいだ。近くで見るとより、今朝見た人にそっくりだと思う。
会場へと入っていく2人を見送り、僕はロビーを見渡した。ライブの日でもスタジオの貸し出しはやっているようで、受付に背の低い女のスタッフさんと背の高い男のスタッフさんが居る。
「背が高いといろんな勧誘受けて大変なんだよね」
「でも背が低い人は勧誘受けないので、それよりはいいと思います!」
「いや〜俺は運動得意じゃないし」
いったいなんの会話だろう……。話は読めないけど、なんだか楽しそうだなぁ。教室ではいつも赤司君としか話さないから、ああいうスタッフさん同士の何気ない会話って憧れる。
ここでバイトをするのも面白そう……かな。
受付を見ていると、お店の扉が開いた。入ってきたのは宇田川さんと白金さんの2人だ。
「いらっしゃいませ」
「ライブ見にきました!」
そう言いながら宇田川さんがチケットを受付の人に見せると。
「はい。チケット確認したので、会場へどうぞ」
「行こう、りんりん」
「うん……」
あっさり入れた。開演時間過ぎてても大丈夫なんだね。ライブは初めてだからイメージがつかなかった。
「いっくんは行かないの?」
「あ、今行こうと思ってたよ」
「そっか! じゃあ行こう!」
え? 行くのはいいけど……白金さんとー?!! いやまぁ同じライブのチケットを買っているんだし、そうなんだけどね! でもさ、あれだよ………あれだよね。後半あれしかいえなかった。
2人の後ろをついて行き、再び会場へと訪れた。
「あっちの方に赤司君居るよ」
「あっ、本当だ。りんりん、こっちだよ!」
なんだか白金さん、顔色悪いような……。気のせい…じゃないよね? あまりの人の多さに圧倒されちゃった…とか。僕も人のことは言えないけども。
なんとか赤司君のところまで辿り着くことが出来た。
「おー遅かった。もうすぐ本日の目玉? 1番人気? が出てくるらしいぞ」
「誰かが言ってたの?」
「いや、パンフレットに書いてあった」
自分のパンフレットを制服の上着のポケットから取り出して見てみると、本当にそう書いてあった。歌姫……なんだかすごそうな人だ。
僕はまだ知らない。"なんだか"すごそうな人ではなく。本当にすごい人なんだと。
歌姫と呼ばれる湊友希那さんはすぐにはステージに現れなかった。なにかトラブルがあったらしい。それでも会場の熱気は増すばかり。今か今かと待ち侘びている。
あまり興味なさそうにしている赤司君もここまで熱気があれば気にもなるのだろう。じっとステージの方を見ている。
「(あー今日から新しいイベントじゃね? 事前告知でみた限りではめんどくさそうだったな。さっさと終わらせよ)」
宇田川さんと白金さんの2人はなんだか騒いでいる。人混みが苦手な白金さんの顔は真っ青だ。すぐにでも帰りたそうな表情を浮かべている。その気持ちはすごくわかる。
そして僕は左の方から鋭い視線を感じていた。冷や汗が止まらない。おそらくさっきスタッフさんと話していた髪の長い花女の人だろう。騒いでいる宇田川さんが気になるのかな?
そうこうしているうちに再びステージの方に視線を向けると、歌姫が現れた。白い長い髪。キリッとした目に黄色い瞳。なんだかすごいオーラを感じる。
同時に会場の熱気は一気に最高潮へと達したと思う。この熱気の中でも赤司君は微動だにせずステージを見つめている。すごい集中力だ。
「腹減ったし、ライブ終わったらさっさと帰りてー。なんか忘れてる気もすっけどいいや。今日のご飯なんだろうなー)」
───曲が流れ始め、歌姫の歌が会場へと響いた。
僕の目は釘付けだった。
その顔はとても綺麗……いや。とても可愛らしい顔で目が離せない。
さっきまで真っ青だった顔もいつもと変わらない顔色に戻っていた。湊友希那さんの歌に惹かれている。本来ならそうだけど。僕は違った。
じっと見ているのは白金さんの顔だった。
心臓の高鳴る鼓動はライブに歓喜されたものではなくて、彼女の横顔によるもの。
別の意味で叫びたい。
そんな思いをグッと堪えて、ステージの方へと視線を向けた。僕はその後にむけてくれた彼女の視線に気づかないままライブが終わった。
「(今……わたしのこと……見てたよね? どうしてだろう……。なんだか…恥ずかしい)」
僕はやっぱり鈍感なのだろう。
燐子は推しではないですが、あんな子が隣に居たらライブそっちのけで見てしまいますよね笑
赤司くんは……赤司くんです笑
おそらく次回は大活躍ですぞ!
それではまたそのうちに。
水曜日に別の方を更新します。