もし継国縁壱さんのような人が無職転生の世界に居たら   作:ばしお

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文章力がない自分に挫折して気力を失ってたところ、二期0話を見て少しだけ再燃しました。


おばあさん

家を飛び出した後は、思うままに大地を走り抜けた。

 

このまま星空を追って、どこまで続いているのかが純粋に気になった。

 

 

やがて朝日が昇り、また日が沈み、朝日が三回ほど登ったところで、道端で座っていたような婆さんを見かけた。

 

「どうされましたか?」

 

私はその婆さんに声を掛けた。

 

婆さんは私を一瞥した後に視線を正面に戻し、返事を返した。

 

「なんだい坊や、私が何か困っている様に見えたかい?」

 

顔を縦に振ってこくりと頷く。

 

「はんっ。私も年だねぇ…こんな坊やに心配されるなんてさ。」

 

「気に障ったのなら、申し訳ないことをした。」

 

「いや、別に気分を害しちゃいないさ、安心しな坊や。所でアンタはどこから来たのかい?」

 

来た道を指さしてから正直に答える。

 

 

「ここの道を半日ほど渡り、後は二つ程山を越えました。」

 

 

婆さんは無言で私の顔をじっとみた。

 

 

それから私の身体を触り始めた。

 

 

「あんた……ただものじゃないねぇ……」

 

 

手を離し数秒間の沈黙の後、婆さんはそう答えた。

 

 

 

「いえ、私なんてそう大層な人間ではありません。」

 

 

「アホ言っちゃいけないよ。普通の坊やが山を一つも越えられるかい。最近活発になってきて、魔獣もたくさん居たろうに。」

 

 

確かに、道を行く最中、獣のようなものをたくさん見かけた。

 

 

襲われるようなことがなければ素通りしていたが、いくつかの魔物は攻撃してきたので、仕方なく撃退していた。

 

 

「坊やあんた、剣は握ったことあるかい?」

 

 

「一度だけ握ったことがあります。」

 

 

「剣を握ってどう思った?」

 

 

「剣を握る事にはあまり何も思いません、ですが人を打ち付ける感触は不快でした。」

 

 

「なるほどねぇ……」

 

 

婆さんは再び目を瞑り息を深く吐いた。

 

 

そして、婆さんの全身を覆うローブからちらりと一本の剣が見えた。婆さんはそれに両手で寄りかかっていたのが分かった。

 

 

「あんた、私と少し手合わせするかい?」

 

 

いきなり婆さんはそういい、私に闘気を飛ばして来た。

凄腕の剣士なのだろう。

その闘気は清流のように研ぎ澄まされており、生まれて初めて私は背筋がひやりとした。

しかしその他にも私の目には婆さんの心は穏やかで誠実なのが透き通って見えていた。

だから私は気を取り直して婆さんにこう述べた。

 

「私は剣を握りたくありません。それよりも私は花を摘んだり、凧揚げがしたいです。」

 

私が戦う気がないと意思を伝えると、あきれたような顔をし、再び疲れたような顔に戻った。

 

「ほんとに剣の腕を磨くことに興味がないんだねぇ。残酷な事だ、神様っちゅう奴はこんな坊主に才能を与えちまうとはね。」

 

「私は貴方に言われるような大層な人間ではありません。」

 

婆さんはさらに呆れかえった表情をみせた。

 

「私も長い事生きて色んな人間をみてきたが、あんたみたいな闘気が全く感じられない化物は初めて見たよ」

 

婆さんは結果的に私をそう評していた。

 

ふと、私は婆さんの名前を知らない事に気が付いた。

 

 

婆さんの名前を聴こうと口を開けようとしたが、その前に他方から別の声が聞こえてきた。

 

「お待たせしました、お師匠様……そちらの子供は?」

 

 

綺麗な同い年くらいの少女が横から現れ、私の方を見てそういった。

 

 

「やれやれ、そいつを見て何も感じとれないなら、お前もまだまだだね……」

 

 

「……?」

 

 

「あの…」

 

 

「なんだい坊主」

 

 

「お聞きするのを遅れてしまい申し訳ないですが、貴方の名前を聞いても?」

 

 

「ん?ああ、私はレイダだ。レイダ・リィアさね」

 

 

「私はヨリイチと言います。」

 

 

「ヨリイチか…私の名前を聞いても特段驚かなんだねぇ……あんた、この後の行先は決まっているのかい?」

 

 

「いえ、決まっておりません」

 

 

「なら、私たちと一緒に来るかい?」

 

 

「なっ!?おばあちゃん!急に何を言われるのですか!?」

 

少女の方は驚いて呆気に取られていた。

 

「やれやれ……そうだ、坊やあんた、私に困っている事がないか聞いてきてたね。」

 

「はい。」

 

「丁度この娘も剣を習っていてね。才能のある子だ。」

 

婆さんは横にいる少女を細目で見ながら語る。

 

「お、お婆ちゃん…えへへ……。」

 

女の子は照れている様に笑った。

 

 

「だけど才能があるばかりで、同じくらい強い剣士がいなくて少々天狗になっちまっている所があるんさね。そこでだ坊や、どうかこの子と手合わせしてくれはしないかね」

 

「急になにを言われるのですかお師匠様。相手は手ぶらでただの子供です。まるで闘気も感じられませんし……剣士の様には見えません。」

 

少女は私の方をみてそう言った。

 

私の相手になどまるでなるはずがない、と。

 

「まったくだめさね。さて坊やどうだい。私の願い聞き入れてくれやしないか?」

ヨリイチは少しだけ熟考した後に答えた。

 

 

「……素手でいいのなら。」

 

 

「なッ!?」

 

 

素手で、と聞いた少女は顔を真っ赤になるぐらいに怒った。

 

 

「よし決まりだね。イゾルテ、剣を構えな」

 

 

婆さんは少女に向かってそう言った。

 

 

「お師匠様……くッ!。貴方、怪我しても知りませんよ。」

 

 

睨みつけるように言う。

 

 

少女は剣を構え、私と正面に向かった。

 

 

「それじゃあ、私の投げるコインが地面に落ちたら合図としようかね。」

 

そういって婆さんはコインを弾く準備をして、少女の呼吸が整うまで待った。

 

タイミングを見て、婆さんはコインを弾いた。

 

少女はより精密に構える。

構えからみると、カウンターが得意なのだろうか。

 

コインが地面に落ちた。

 

そう考え、ヨリイチは自ら仕掛けるようにダッシュした。

 

 

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