惇の様子に何とも言えない違和感を感じた唯。
その様子に
藤原「どうしたの、唯?」
藤原が気付き声をかけ
吉川「唯さん?」
唯「あっ・・・いえ、ちょっと・・・」
それに、唯はそう答えた。
藤原「足立君がどうかしたの?」
これに、藤原が惇絡みか聞くと
唯「・・・上手く言えないんですけど、惇君おかしくて。」
唯が、素直にそう言った。
藤原「おかしい?」
唯「はい・・・」
唯のこの言葉を聞いて
藤原「・・・取り敢えず、次の真田君に投げる姿見てみようか?」
藤原はそう唯に言った。
これに、唯は素直に従いマウンドを見た。
そして、真田が打席に立ったその初球
ククッ!
外へ逃げるスライダーを空振らせ2球目
ズバアアンッ!!!
同じく外に144㎞の真っ直ぐが決まり、あっさり追い込んだ。
3球目
ストンッ!
インコースにSFFを投げたが、真田がギリギリでバットを止め、御幸も何とか身体で止めていた。
真田(っぶね~!ホントに真っ直ぐと区別つけらんねーから・・・!)
これには、真田は内心そう呟いた。
4球目
キン!
143㎞の真っ直ぐをファールにした。
5球目
キン!
少し落ち幅を変えたSFFを引っかけ、それを前園が難なく捌き、ベースカバーに入った惇にトスして2アウトを取った。
この様子を見て
藤原「特におかしい様子は無かったわね・・・」
藤原はそう唯に言った。
吉川「私もそう思います。唯さんの気のせいでは無いでしょうか?」
吉川も、唯にそう言ったのだが
唯「・・・けど、何だかおかしいです。」
唯は、それでも意見を変えなかったのだった。
しかし、惇の違和感に気付いたのは唯だけじゃなかった。
光舟「・・・惇さん、おかしいな。」
拓馬「は?」
この日観戦に来ていた光舟も気付いた。
拓馬「何がおかしいんだ?」
これに、光舟と一緒に観戦に来ていた拓馬がそう尋ねると
光舟「ほんの僅かにリリースポイントがずれた。」
光舟「轟さんを空振り三振に打ち取った時の真っ直ぐ、スピードもノビも悪くは無かったが、少し抜け気味だった。」
光舟「また、真田さんに投げた3球目のSFFも少し引っかけ気味だった。」
光舟はそう拓馬に言った。
拓馬「疲労が出たんじゃねーのか?」
拓馬もそう言ったが
光舟「この程度の球数で、惇さんが疲れる筈が無い。」
光舟はそう返した。
拓馬「・・・お前、惇さんの事、よく見てるな・・・」
光舟「あの人のボールを多く受けたのは俺だ。俺が一番よく知ってる。」
光舟は、拓馬にそう言ったのだった。
そして、次の平畠もファーストゴロに打ち取り、3アウトチェンジとなった。
その際
惇(何か・・・さっきから指に違和感あんな・・・。少しボールが引っかかる・・・)
惇はずっと指の違和感を感じており
惇「・・・。」
自身の手を見て、少し指を動かしてみたら
惇「・・・?」
惇(んだこれ・・・?何か・・・ちょっといてー・・・?)
少し痛みを感じたのだった。
御幸「・・・。」
一方の御幸も、自身の左手を見ると
御幸(たはは・・・こりゃヤベーな・・・)
明らかにヤバいと誰が見ても分かる程腫れていたのだった。
そして、9回の青道の攻撃が終わり、惇がマウンドに向かうと
片岡「足立!御幸!」
片岡は惇と御幸を呼ぶと
片岡「全て任せたぞ!」
そう、2人に檄を飛ばし
惇・御「「はい!」」
惇と御幸は、気迫のこもった表情を浮かべながらそう返事をした。
片岡「最後まで決して気を抜くな!!」
そして、ナインにそう声をかけ
「「「おおおーっ!!!」」」
ナインもバッテリー同様の気迫を見せ、それぞれの守備位置に散った。
「青道ー!」
「御幸ー!」
「足立ー!」
「足立くーん!」
観客席から来る声援をバックに
惇「で・・・大丈夫なんすか、カズさん?」
惇は、御幸にそう聞いた。
御幸「お前は心配すんな。無理だったらさっき監督に止められてるよ。」
御幸「んな事より、お前だよ。」
惇「え?」
御幸「お前も指は大丈夫なのかよ?」
すると、御幸は惇の指の様子を尋ねた。
惇「・・・何でっすか?」
御幸「お前、さっきから指を気にしてた素振り見せただろう?」
御幸「今更こんな事言っちゃあなんだけど、多分監督も気付いてるぞ。」
この問いに
惇「・・・んな大した事ないっすよ。試合が終わったら、一緒に病院っすかね?」
惇はそう御幸に言った。
御幸「かもな。ボールは悪くねーけど、少しでも違和感あったら遠慮しねーからな。」
惇「わーってますよ。」
御幸「そんじゃあ、初球な!」
そう言うと、御幸はキャッチャーボックスに戻り、構えた。
それを見た惇は、少し笑みを浮かべ投げた初球
ズバアアンッ!!!
阿部「クッ!」
インサイド144㎞の真っ直ぐに手が出なかった。
2球目はスローカーブが外れ3球目
ズバアアンッ!!!
外に143㎞の真っ直ぐが決まり、追い込んだ。
4球目は何とかスライダーをファールにして、5球目
ズバアアンッ!!!
阿部「うおっ!」
145㎞のド真ん中の真っ直ぐだったが、衰えを感じないボールに思わず避けるように後ろに下がってしまい、見逃し三振に終わった。
「シャアアアッ!!」
「1アウト1アウト!」
『真ん中の真っ直ぐで見逃し三振ー!まずアウト1つ取りました、足立!』
次の米原の初球
ズバアアンッ!!!
外低めの144㎞真っ直ぐに手が出ず
米原(ここでこのノビとコントロールかよ!)
この絶妙なボールに、米原は内心そう愚痴った。
2球目
ストンッ!
SFFで空振らせ、御幸はそれを体で受け止め、米原を追い込んだ。
3球目
キン!
高め143㎞の真っ直ぐを何とかファールにしたのだが
ズバアアンッ!!!
インサイド144㎞の真っ直ぐに手が出ず、見逃し三振に終わった。
『三振ー!これも三振!最後もストレートで見逃し三振!』
この状況に
「「「・・・。」」」
内野の4人は緊張で無言になり、顔も強張っていた。
倉持「ツ、2アウトな!足立!」
いつも特徴的な笑い声を出す倉持も、流石に緊張していた。
当の本人は
惇(やっべ・・・マジ楽しいわ・・・指の状態とか関係ねー・・・!マジ楽しい・・・!)
投げるのが楽しすぎて堪らなくなっていた。
そして、森山の初球
ククッ!
スライダーが決まり2球目
キン!
144㎞の真っ直ぐが逆球になったがファールにし、追い込んだ。
その時
「「「後1球!!後1球!!後1球!!」」」
球場に、後1球コールが木霊した。
そんな中3球目
ズバアアンッ!!!
外低めに143㎞の真っ直ぐが来たが、ほんの僅かに外れてしまった。
御幸(かー!コレは手厳しい!)
受けた御幸は、この判定に内心苦笑を浮かべた。
4球目
ズバアアンッ!!!
アウトサイドに144㎞の真っ直ぐを投げたが、コレも僅かに外れ
惇「アハハ・・・マジかよ・・・」
惇は、これに笑みを浮かべながらそう呟いた。
その姿は、まさに心の底から野球を楽しんでるようだった。
この様子に
唯(惇君・・・)
唯は、スタンドで両手を握り締めながら見ていた。
栄純「決めろー、惇ー!!」
信二「後1球だ!!」
山口「後1球!!」
川上「行けー!!」
ベンチも、惇に声援を送っていた。
そして、5球目
ズバアアンッ!!!
最後は145㎞の真っ直ぐで空振り三振に打ち取り、一瞬の静寂が流れ
「「「わあああっ!!!」」」
球場中に大歓声が木霊し
惇「よっしゃあああっ!!」
惇は、それに負けないくらいの雄叫びと同時にグラブを叩きながらクルっと一回転し、両腕を広げた。
それと同時に他のナイン、そしてベンチ入りメンバーが一斉にマウンドに駆け、人差し指を立てながら集まった。
『最後は気迫のストレートで空振り三振ー!!「東都の怪腕」足立、27人斬りの14奪三振の準完全試合という圧巻の投球を見せましたー!!』
『秋季東京都大会を制し、センバツの切符を手に入れたのは青道高校!!』
『今年の夏に続いて春も切符を手に入れました!!』
『薬師高校、また足立の前に何も出来ず、無念の完封負けに終わりました!!』
前園「やったでー!!ホンマにやったでー!!」
倉持「シャアアアッ!!」
樋笠「シュシュシュー!!」
春市「やったー!!」
そう言いながら、皆マウンドでもみくちゃになった。
伊佐敷「シャアアアッ!!」
増子「うがうがらー!!」
門田「よっしゃあああっ!!」
亮介「やったね・・・」
結城「ああ・・・」
青道側スタンドも、喜びを抑えきれなかった。
「5-0で青道高校!!礼!!」
「「したぁっ!!!」」
そして、整列して挨拶して緊張の糸が切れたのか
倉持「御幸!」
前園「おい御幸!」
御幸はふらついたが倉持と前園に支えられ、何とかベンチに戻り
惇「緊張の糸が切れたんだな、カズさん・・・」
その様子を見た惇は、そう呟きながらベンチに戻ると
片岡「良くやってくれたな、足立。」
片岡がそう惇に労いの言葉をかけた。
惇「ありがとうございます。」
片岡「足立・・・指の状態はどうだ?」
片岡は、惇にそう尋ねた。
惇「・・・やっぱり、気付いてたんすね。」
惇は、そう苦笑いを浮かべながら
惇「少し痛みを感じます。特に力を込めると・・・」
素直にそう答えた。
片岡「・・・話をしておく。御幸と一緒に病院に行け。」
それを聞き、片岡は惇にそう言うと
惇「・・・分かりました。カズさんと一緒に行きます。」
惇は、そう答えた。
片岡「それが良い。お前の野球人生は、まだまだ先が長い。」
片岡は、惇の言葉にそう言うと
惇「因みに監督はいつ気付いたんすか?」
惇は、自身の違和感にいつ気付いたのか尋ねた。
片岡「お前がベンチ裏に行って戻ってきた時だ。ほんの一瞬、右手の指を見ただろ。その時からだ。」
これに、片岡はそう返した。
惇「ネクストサークルに行った時っすか。流石っすね。」
惇「けど、変えようと思わなかったんすか?栄純や暁、それにノリさんも控えてましたし。」
この質問に
片岡「・・・変えるつもりだった。だが、点差はあれどあの薬師。余計な隙を見せたくなかった。」
片岡「お前の将来より、目先の勝利を優先してしまった。すまなかった。」
片岡はそう言い、惇に謝罪した。
惇「そんな・・・謝んなくて良いっすよ。」
これに、惇は慌てながらそう答えた。
そして、惇は御幸と一緒に病院に行った。
こうして、青道高校は秋季都大会を制し、センバツ切符を手に入れたのであった。
投稿出来ました。
随分グダグダと長くしてしまいましたが、お許し下さい(土下座)
ダイヤのAですが、漫画を読み返したりHuluで観たりしてるけど、やっぱり面白いですね!
この作品本当に最高です!!
この作品に出会えて、本当に感謝です!!
ありがとう!!
それでは、また!!