ダイヤのA〜世代最強右腕〜   作:ホークス馬鹿

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19話です。


19話

パァン!

 

栄純「どうっスか、今の球!!」

 

しかし、クリスの回答は

 

クリス「バックスクリーンに3連発だな・・・」

 

だった。

 

栄純「何故!?」

 

クリス「バッターは、バース・掛布・岡田だからな。」

 

栄純「ミットは良い音してるのにー!!」

 

クリス「人は急激には変化などしない。焦って結果を求めるなと何度も言ってるだろ。」

 

そう諭すも

 

栄純「そうは言いますけど・・・メニューはこなしてるのに、俺の持ち味ってのもまだ教えてもらってねーですし・・・」

 

栄純は不満だった。

 

クリス「柔軟な関節で、球持ちの良いフォーム・・・。お前ボールをどう握っている?」

 

クリスのこの問いに

 

栄純「え・・・ボ、ボール?え、ええっと・・・!」

 

栄純は答えられなかった。

 

クリス「成程な・・・何も考えていないのがよく分かった。」

 

栄純「!」

 

クリス「握りの深さ・・・指の間隔・・・親指や縫い目の位置・・・ボールの握り方を意識していないがために、毎回リリースポイントがずれる。その不安定な投げ方だから、クセ球になるんだ。」

 

栄純「え?俺は真っ直ぐ投げてるつもりなんですけど?」

 

すると

 

クリス「・・・だが、そのクセ球こそが、お前の最大の持ち味・・・」

 

とクリスは言った。

これに

 

栄純「・・・え?」

 

栄純は疑問の表情を浮かべた。

しかし、クリスは真っ直ぐ見て

 

クリス「体全体を不足無く使い、上から叩きつけるようなフォームから強烈な縦回転のボールを投げる、速く伸び上がる足立の快速球と全体重を指先に集約し放たれる、重く速い降谷の剛速球。」

 

クリス「対照的にほんの僅かな指先のズレが、ボールの様々な変化を生み出すキレのあるお前のボール。今まではそれで通用したかもしれんが、ミートポイントの広い金属バットを使う高校野球じゃ、力で押し切られるだろう。」

 

栄純「!」

 

クリス「球威も変化球も無い、そんなお前がこのチームで生き残る道はただ一つ・・・そのクセ球を磨き上げろ。」

 

そう、栄純に言った。

 

クリス「土台となる身体が、しっかり出来上がり球威が上がれば、お前の球は今以上に暴れる筈だ。」

 

それを聞いて

 

栄純(ちょっと待て・・・それじゃあクリス先輩は・・・最初から俺の事を考えてあのメニューを!?)

 

栄純はクリスがちゃんと自分の事をしっかり見て、考えて練習メニューを作ってくれていた事を知った。

 

クリス「・・・お前の目標はエースになる事だろう?御幸なら、どんなクセ球でも受け止めてくれるさ。」

 

栄純「け・・・けど、それじゃあクリス先輩は?」

 

クリス「フッ・・・引退の迫ってる3年の俺が・・・お前に出来るアドバイスなどこれぐらいなもんだ。焦らず上を目指せ。お前には、まだまだ先があるんだからな。」

 

そう、クリスは優しく栄純に言い

 

クリス「アイシングだけは忘れるなよ。」

 

その場を後にしたのだった。

 

 

 

 

 

 

その夜

 

 

 

 

 

 

 

片岡(予選まで残り1ヶ月・・・選手の疲れもピーク・・・。そろそろ合宿に入る時期だな。)

 

そう、片岡は夜のランニングをしながら思っていると

 

ドン

 

片岡「?」

 

どこかで何かが壁に当たる音が聞こえた。

音がした方へ向かうと

 

栄純「ハア・・・ハア・・・ハア・・・」

 

栄純が壁に向かってボールを投げていた。

 

栄純「後10球・・・」

 

それを見た片岡は

 

片岡「フォームがバラバラだ。速い球を投げようとして、逆に体が開いてる・・・」

 

そう栄純に言った。

 

栄純「ゲッ・・・グラサ・・・」

 

栄純「い・・・いえ・・・お疲れさんです、監督様・・・」

 

失礼な事を言いかけた栄純は、咄嗟に言い換え、土下座した。

 

片岡「ハァ・・・今何時だと思ってる。やみくもな練習は、故障を誘発するだけだぞ。」

 

片岡「土台作りが大事だと、クリスに言われなかったか?」

 

栄純「!」

 

片岡「確かにクリスの要求が理解出来ずに、離れていく投手も沢山いた。だが・・・自身の経験から基礎トレーニングを重視したやり方は・・・決して間違ってないぞ。」

 

片岡「これ以上キャッチャーの言う事が聞けないようなら、バッテリーを解消した方が良いな。」

 

これに

 

栄純「あの人は・・・俺にキャッチャーとして、最初から接してくれてたんです。このまま、持ち味のクセ球を磨け・・・焦るなって・・・。けど・・・このままじゃ・・・俺・・・あの人に何も返せない。後数ヶ月で何が出来るか分かんねぇけど、あの人が引退する前に、少しでも成長した姿を見せたいんです!!」

 

と恩返ししたいという顔で言った。

それを見た片岡は

 

片岡(ったく・・・呆れた奴だ・・・。二軍から2人の選手が一軍に昇格できる事など、すっかり忘れているようだな。)

 

そう心の中で呟きながら首に巻いているタオルを取って

 

片岡「とにかく無茶な投げ込みは、もうするな。これから自主練をやるなら、シャドーピッチングにしろ!」

 

片岡「良いか・・・いくら力を込めて投げようが、速い球は投げられん。重要なのは、グローブを持つ手の方だ。」

 

栄純(え?)

 

片岡「見ていろ。」

 

片岡「全身の力を如何に指先に伝えられるか。サウスポーのお前は、その右腕でカベを作るんだ。」

 

片岡「体重移動した体を支える右足・・・そして、その力を逃さず溜めておく右手のカベ・・・弓矢のようにギリギリまで体のタメを作り、下半身から伝わるそのエネルギーを・・・一気に振り抜く!!」

 

丁寧に教え、実践した。

 

栄純(すげっ・・・風が・・・)

 

片岡「やってみろ。」

 

そう言い、片岡は栄純にタオルを渡した。

 

栄純(右手のカベ・・・体のタメ・・・)

 

栄純「右手でカベを作り・・・振り抜・・・」

 

栄純も早速やったが

 

ビターン!

 

栄純「ゲッ!」

 

片岡に当ててしまい

 

栄純「ひーっ!!すいません!!ワザとじゃ・・・ワザとじゃ無いんですー!!」

 

そう必死に弁明したのであった。




投稿出来ました。

ホント、こうして見てると、クリスさんは素晴らしい選手ですね・・・。

それでは、また。
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